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第二十一話 誕生日パーティー後にて

「お2人共、もう寝てください!明日も学院へ行くんですよ!」


パーティーが終わり穂澄は酒でベロンベロンの2人に懐かれてしまった為。片づけが出来る状態ではなかった。まあ、そこは灯真が気を利かしてくれたのでまず、真琴に2人を入浴させた。

流石に風呂に入れば酔いも治りそのまま静かになってくれると思っていたのだが、真琴に二人を預けてから数十分キッチンでパーティーの後片付けをしていたらやつれた真琴が戻ってきた。今にも倒れそうな真琴を抱きかかえ理由を聞くとフロの中で雁字搦めにされた後、酸欠寸前までキスされたらしい。真琴の後ろには風呂に入って少しは酔いが醒めたのか大人しくなった栞と尊がいた。


「穂澄さん。お水ください。」


「・・・・・・尊。これでいいんじゃない?」


テーブルの上に置いてあったペットボトル。


「あ゛ー!それは飲んじゃダメ!」


珍しく真琴が大声を出すが時既に遅し2人は一本のペットボトルを半分ずつ飲み干した。

そして真琴の顔はどんどん青ざめ、変わりに栞と尊の顔はどんどん赤くなっていった。


「真琴さん。もしかしてあれは・・・・・・」


「うん、ウォッカ。」


注)ウォッカは酒の中でもアルコール度が40%以上の超級のお酒です。しかし味はせず子供でも一気飲みするぐらいは出来るらしい。だが小学生などが一気飲みしたら死にます。


「何でそんな物、ペットボトルに入れておくんですか!」


「だ、だって、灯真がお酒嫌いだから私が持っているところ見ると没収されちゃうんだよ!」


「はっ!そんな事よりも、お嬢様方大丈夫ですか!?」


幸いおいてあったペットボトルは200ml2人で仲良く半分ずつ飲んだのでまだマシであった。が、十六歳の、それも小柄な少女たちがウォッカを一気に飲んだのだ。はっきり言うととても大変な事である。

穂澄は抱きかかえていた真琴を手放しそのまま2人へ寄り添う。


「ほ、穂澄くん私の心配―――」


「―――薬飲んでさっさと寝てください。」


「ヒドイッ!薄情だよ穂澄君、私ぐれちゃうよ!?」


「大丈夫ですか?さあ、早く寝ましょう。」


マルっきり真琴を無視してそのまま足取りが覚束ない2人を連れて穂澄はキッチンを後にした・・・・・・

取り残された真琴はキッチンの隙間風に当たりながら身体を振るわせた。理由は寒いから、そして・・・


「あれ程酒の持ち込みは禁止と言っていたでしょう?」


それは限り無く静かに優しい声、だが後ろから漂ってくる気配は殺気。

その後真琴は灯真にきっちり怒られたのは言うまでも無い・・・・・・









「穂澄さんって良い匂いしますね〜」


「肌も柔らかい。すりすり〜」


誕生日の日だから2人で寝ると言ってきかない二人に穂澄は『それではどちらの部屋で?』と聞くと2人は間髪居れず『穂澄の部屋』と答えるのであった。と言う訳で今、穂澄の部屋で遊んでいる2人。(正確には穂澄で遊んでいる2人。)


「穂澄、誕生日プレゼントは何くれるの?」


ふいに言う栞、尊の方も見ると期待で目を輝かせている。


「ええ、一応。手作りで団子を作ってありますが明日のお昼にでも渡そうかと。」


「えへへ、お団子かぁ。早く明日にならないかな?」


2人は満面の笑みを浮かべ笑っている。何だかこの2人を見ていると微笑ましい限りである。

しかしまだ顔の赤い2人であるからして多分酔いはまだ醒めていないのであろう。まあ、栞はともかく尊は酔っていなければ穂澄の部屋で足を投げ出しくつろぐなんて考えにくい事でもあった。


「それでは明日がありますのでお2人共今日はもう寝ましょう。」


時計を見ると既に時刻は日付が変わっていた。十六歳とはいえ灯真からあまり夜更かしはさせない様にと言われているので早く寝かせないといけない。とり合えず2人が穂澄の部屋から大人しく出て行くわけはないので此処で寝かせて、穂澄は二月の冷え込む応接室のソファーで寝ようと思っている。


「わかったよ、穂澄さん。」


「うん、寝る。」


「えっ?」


以外に素直に言う事を聞く二人。穂澄は少し拍子抜けしたのは間抜けな声が漏れる。と言うよりここまで素直に言う事を聞いてくれたのであれば自分の部屋に行けと言っても言う事を聞いてくれたかもしれないな。と今更ながら後悔する穂澄。

2人はそのまま穂澄のベッドの中に潜り込む。


「ほーすーみーさん♪」


「ほーすーみー♪」


2人がめっちゃこっちを向きながら掛け布団をめくり手招きしている。


―――これが狙いか!


まるで悪魔の誘惑のように二人は笑みを浮かべながら穂澄を誘っている。

穂澄は一瞬誘惑に負けそうになるが寸前の所で我に返り足を止めた。そして平常心を保ちながら気付かないふりをする穂澄。


「ど、どどどど、どうしたんですか?お2人共。」


「穂澄さ〜ん。挙動不審です。」


「わかってるくせにぃ〜」


更に逆効果だったらしく2人は更に激しく手招きをしてくる。

そんな2人に逃げ道をなくしどうしようかと迷っている穂澄。そして天の助けか、ただ運が良かったのかその時。


「ひぃぃぃーーっっっ!!」


下の階から真琴の悲鳴が聞こえてくる。多分ウォッカの事で灯真に怒られているのであろう。

まあ、いつもなら放って置く出来事なのだが今、穂澄にとってはこの状態を打開する為の最高のチャンスであったので。


「ああ、真琴さんの悲鳴が聞こえます!多分酒に酔った灯真さんが野獣の如く・・・etc」


そんな適当な理由を言い穂澄はとり合えずダッシュする。後ろから声が聞こえるが今はそんな事気にしている余裕はない。そのまま部屋を出る時扉の隣にある電気のスイッチを消し、ドアを閉め、そのまま階段を二段飛ばしに一階に向かっていった・・・・・・











バンッ

勢い良く食堂のドアを開けて飛び込む。そして目の前にいた2人の人影。

うつ伏せに倒れて半べそをかいている真琴、その真琴を押さえつけ良い笑顔で背骨を押さえつけている灯真。

ゴキッベキッゴリゴリ

まさに骨に異常があって当然と言う感じの音が食堂に響く。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッッッッッッ!!!」


「じゃあこの痛みを骨に染み込ませて酒なんて持ち込まないようにしてやりますよ♪」


その前に背骨やら肋骨やらがなくなりそうな勢いであるとはいえない穂澄。

とその時痛みに悶えながら泣いている真琴の目が穂澄を捉える。


「ほ、穂澄く―――」


―――ん、助けて!

と続くであろう。しかしその言葉は灯真によって遮られ灯真からは『邪魔しないでくださいよ?』と言う感じの笑顔を向けてくる。が笑顔の裏には殺気のようなものが漂ってくる。


「HAHAHA,真琴さん。マッサージですか?良いですね〜それじゃあ!!」


身体を反転させ食堂から出て行く穂澄。また、後ろから助けを求める声が聞こえるがここで助けたら痕が怖い事は明白である。

穂澄はそのまま応接室に向かい、そして就寝した・・・・・・








・・・・・・次の日、真琴の姿が無かった為、灯真に聞いてみると『通院しています』と笑顔で言われ少しゾッとした。









どうも作者です。前々回ぐらいに前書きで感想&評価を待ってますと書いたら本当に来ました。

辰さん。どうもありがとうございました。

とても励みになっています。

それでは投稿頑張ります。。。

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