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第二十話 誕生日パーティーにて

凛が櫻坂の家に乗り込んできて借金が増えてから早一週間・・・・・・

穂澄は増えた借金5億3000万を返すべく一層自分の身体にムチを打ち働いていた。

そして今日はその中でも比較的楽な仕事・・・と思っていたのも一瞬であった事をこの行事が終わった後に知る事になるとは穂澄はまだ気付いていなかった・・・・・・





『櫻坂栞、櫻坂尊誕生日パーティー♪』

そう書かれた横断幕の下櫻坂気の庭では栞たちの誕生日パーティーが開かれていた。

当初親戚と家族、そして灯真、穂澄、真琴だけで祝おうと思って居たらしいのだが親戚が次々と用事でキャンセルの知らせが届き人数的に合わなくなってしまったので急遽、学院の友達を誘う事になった。

穂澄的には自分が執事をやっている事を知られたくないのだが灯真に『それでは今年のパーティーは無しですね・・・お2人とも楽しみにしていたのに・・・いや!良いんです。穂澄さんのことが学院にばれたら困ると言えばお二人も泣きながら許してくださると・・・・・・etc』

などといつの間にか断り辛い雰囲気にされてしまい始まってしまったこの誕生日パーティー。

とり合えず穂澄が知っている顔触れは蛍と愁寺と奉里だけであったので大丈夫であろう。この3人は穂澄の友達ではないかと思うが蛍は毎朝登校時に会っているので親しくなり、奉里は元々同じクラスだったらしい。(気付いていなかったが)

そして奉里の兄、穂澄の友達と言う事で愁寺も誘われたと言う事であった。

後は学院の一年生と竣夜様、ドナルドぐらいで少し変装すればバレる事は無かった。

が、しかし


「穂澄さーん!」


「・・・・・・穂澄ー!」


大声でこちらに手を振りながら走ってくる今日の主役達。


「はい、なんでしょう。飲み物でしたら、どうぞ。」


冷静を装っているが心の中では絶叫する穂澄。瞬時に用意してあったメガネを掛けて顔をわかりづらくする作戦を決行した。

そしてステンレスのお盆(?)に置いてあったジュースを二人に手渡す穂澄。


「違います、これ預かっていて。」


「・・・・・・生徒証。」


穂澄に手渡されたのは紛れも無く穂澄の生徒証。前に竣夜の会社に寄った帰りにM女に盗まれた生徒証。


「って事は!」


「そう、来ていますよ。穂澄くん。」


後ろから声を掛けられ一瞬にして戦闘態勢を取った穂澄。もう明らかに来客の目は穂澄に向いていた、がそんな事は気付いていない。穂澄の目は目の前にいる女に向いていたから。

頭に包帯右手は布で吊ってあり、座っているのは車椅子。


「・・・・・・・・・」


言おうとした。

よくも生徒証を盗んだな!あの後大変だったんだぞ!としかしその前に聞きたいことが霧音を見て思ってしまった。


「如何したんですか?その怪我。」


「私があなたの生徒証を預かった後、彼氏の所に行ったら生徒証を持っているところを見られて『俺以外の男の物を持つんじゃねえよ!』と言われ散々暴こ――――」


暴行―――多分そう続いたのだろうが、誕生日パーティーが開かれている場所では少しヘビー過ぎる話。穂澄は慌てて霧音の口を塞いだ。


「ヤメろ、その話は今此処ではヘビー過ぎる。って言うか俺より大変な目にあってたんですね!」


栞たちに聞こえないように霧音だけに聞こえる声で喋る穂澄。そう言うと何処か光悦とした表情を浮べる霧音に穂澄は後ろへ飛び退く。何か今一瞬。いや、本当に一瞬、S心が芽生えそうになった自分に少し怖くなる穂澄・・・


「穂澄さん。紹介するね。こちらは霧山霧音ちゃん。私たちのクラスメイトなの。」


「・・・・・・おとMOだち」


「言葉の中に無理矢理Mを入れるのは辞めてくれませんか。」


穂澄はこの数分でどっと疲れたような気がする。とり合えず理由を取り繕ってその場から離れたは良いがこのパーティーがまだ続くと思うとゾッとする。

その後は料理の片付け、新しい料理を出すなどをしてそれなりに有意義な時間が過ぎていった。栞たちはそれぞれの友達と話をして盛り上がっている。と、ふと、ここで少し穂澄は思った。

女子より男子の比率が高いのだ。特に男好きと言うわけでもない二人が男子をこんなに呼ぶであろうか。それどころか、穂澄は学院に再び通い出してから一度も栞たちが男子生徒と話をしている所を見た事は無かった。


「まあ、それ程でも気にする事はないか・・・」


そう思い穂澄は新しいジュースを持ってくるため邸の方へ向かっていった。と、その時声が聞こえて来た。


「俺と付き合ってくれないか?」


穂澄は足を止めて好奇心からかそちらの方を見てしまうとそこには男子生徒と尊が邸の陰になる場所に隠れていた。

どうやら尊が告白されたらしい。相手は・・・どこかで見た事あるような。


「ありゃ、サッカー部の奴だよ。ほら、この前選抜に選ばれてテレビに出てた。」


「ああ、ナルほ?・・・ど!」


後ろに居たのは蛍。何処からか持ってきたアイスの棒を加えながら尊たちの方を見ている。


「今日はアイス何て出してないぞ。何処で見つけてきたんだ。」


「冷蔵庫に入ってた。」


「勝手に人ん家の冷蔵庫開けんな!」


2人で小声で争っていると、尊の方で進展が合ったらしい。声が聞こえる。


「すみません。私好きな人が居るんです。そ、それじゃあ・・・」


立ち去ろうとする尊の手をその男子生徒は掴んだ。


「な、何で!そんな奴より俺の方が良いに決まってるだろ。俺だったら大事にするし。」


尊を邸を壁に押し付けてもう片方の手も握る。


「い、痛い。離してください。」


しかし男子生徒は離す気配はない。それどころか無言で顔を近づけキスをしようとしている。尊は涙ぐみながらそれを阻止しようと頭を振り回すが手を抑え付けられている時点でそんな事は不可能だ。男子生徒の顔が近づいて、後数センチと迫る。


「おい!」


男子生徒が声に驚いて振り向く前に蛍がその男子生徒を殴りつける。

その男子生徒は思わぬ攻撃を受けそのまま地面に倒れこんだ。


「嫌がってんだろ。さっさと帰れ!」


蛍が少しドスの聞いた声を出すと男子生徒はだらしなくそのまま逃げていった。


「お嬢様、大丈夫ですか。」


穂澄は今にも倒れそうな尊に駆け寄った。青ざめてはいる様だが助かったと思ったのか笑みがこぼれる。


「蛍さんありがとうございました。穂澄さんも、もう大丈夫ですから。」


尊はそう言い穂澄の手を借りず立ち上がった。しかし何処か足が覚束ない。

そんな尊を心配したのか蛍が近づき。


「尊ちゃん。俺と一緒に話しない?そうすればまた、楽しくなれるからさ!」


蛍はふら付いている尊に手を貸す。

尊も蛍の笑顔で少し気が楽になったのかそのままパーティに戻っていった。

穂澄はとり合えず、機転を利かしてくれた蛍に感謝し、安心したのかその場で小さく溜息をついたのであった・・・・・・










パーティーも終わりに近づきチラホラと帰る人も出てきたこと穂澄は仕事を済ませたのでパーティーから少しはなれて所の芝生で小休止していた。

とそこに音も無く栞が在られたのであった。

隣に座り一言も喋らない栞。ちょっと怖いが何があったのかと思い聞いてみる事にしたが


「ほすみぃ〜キスさせろ。」


「ああ、キスですか。それぐらいなら・・・って何言ってるんですか!?」


穂澄は近づいてくる栞に対し慌てて距離をとる。と暗がりでもわかるぐらい栞の頬は赤い事に気がつく。

そして片手に紙コップ。しかしパーティーで出していたのはグラスであったので栞が紙コップを持っているはずが無い。穂澄はまさかと思い慌てて栞からコップを取ると、


「これって、お酒じゃないですか!?どうしてこんな物が。」


「ほたるくんに貰ったの。キスさせろ。」


穂澄がガックリとうな垂れる、多分尊を元気付けるためにしたことなのだがそれが栞の手に渡りそして今、穂澄が絡まれているのであろう。って言うか尊も酒は飲んではいけません。


「聞いているのか?穂澄。キスさせろ。」


「お嬢様、語尾にキスさせろが定着してますよ!?」


これはなんなのであろうか、穂澄も酒にはあまり詳しくはないがこれは酒乱なのか?いや、どう考えてもキス魔か・・・いや、酒乱がキス魔になるのか?ああ、もうどっちでも良い。今重要なのはここでどう切り抜けるかだ。

とり合えず穂澄は栞から距離を取る。と・・・


「うっ・・・ひっく」


「何で泣くんですか!」


「らってぇ、ほすみが私のこと避けるから、私のこと嫌いなんらって」


もはや呂律すら回っていない。って言うか酒乱の泣き上戸ってどんだけ難しいんだよ。


「大丈夫です。私は嫌ってなんか居ません。とり合えず、部屋に戻りましょう。」


「やだぁ!キスさせろ!」


駄々をこね始めた。しかたなく穂澄は栞の近くによりバタバタと暴れたせいで服についてしまった草を払う。


「キスさせろ!」


「ダメですよ。そう言うのは結婚する人としかしちゃいけないんですよー。それにキスしたら妊娠しちゃいますよ。」


まるで何処かの幼稚園児に説教するかのごとく穂澄は言う。まあ、ぶっちゃけ相手をしているのが面倒になったのかもしれない。

芝生に寝転んでいる栞を起こし背中の草を払う穂澄。


「じゃあ、結婚する。」


そして栞は一瞬の隙をつき穂澄を押し倒したそして唇を重ねる。

場所がパーティーをしている場所から遠い関係で誰にも見られていないが、穂澄は生きた心地がしない。


「んん〜!」


何処にこんな力があるのか、まるでタコの吸盤の様に張り付いた栞の唇は穂澄から離れない。

しかし根気良く離そうとしたため少し離れそうに成った次の瞬間。栞は穂澄の首に片手を回し、そしてもう片方の手で穂澄の鼻をつまんで来た。

注)マジで窒息するので真似はしないでください。

それから二分ほど。穂澄は無呼吸でキスされ続けた。そろそろ意識が遠退き始めたころ。満足したのか栞は満面の笑みを浮べたまま鼻と口を解放する。

そして荒い息で空気を吸う穂澄。

今始めて穂澄は酸素のありがたみを知ったであろう・・・・・・


「えへへ〜結婚だぁ♪」


凄く上機嫌な栞。だが押し倒されて下敷きになっている穂澄は酸欠で視界が歪んでいた。

ガサッ

とその時誰かの足音がし穂澄がそっちの方を向くと。


「穂澄さん・・・・・・栞・・・・・・」


そこには呆然と立ち尽くす尊が居た。蛍は周りに居ない。他の所に言っているのか?


「ち、違うんです!尊お嬢様。これは。」


「―――るいです。」


「えっ!」


穂澄の良いわけの声の方が大きかったせいで聞き取れなかった。

しかし次の瞬間穂澄は聞いたことを後悔する。


「ずるいです!私も穂澄さんとキスしたいですー!」


「はぁっ!?」


良く見ると頬が赤い尊。そして片手には紙コップ。


「蛍ッッッッッッッ!!!」


次の瞬間。尊が穂澄に向かってダイブしそのまま再び酸欠寸前までキスされたことは言うまでも無い・・・・・・









何か感想を貰ったせいか。テンションが上がりついに二十話まで来てしまいました。

七話ぐらいで躓き、二ヶ月間投稿無しの苦難を乗り越えそれから十三話投稿。何だか自分的にも嬉しい限りです。

ああ、後思った事なんですが、話数を進めるごとに一話一話の話が長くなっている事に気がつきました。これからどんどん長くなると思うと五十話に辿りつく時にはどうなっているのであろうと思う今日この頃。。。

投稿頑張ります。。。

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