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第十九話 借金が増えてしまって

どうも作者です。

初めての前書きですがどうしても言いたかった事があるので言わせてください。

執事になる50の方法で感想をくれた十五歳主婦よりさん、夜さんありがとうございました、これからも頑張りやす。

他の人も出来れば感想、&評価をしてくれたら幸いです。。。

とても困っていた。いやはや、それはもう今までの中で五番目ぐらいに困っていた。

まあ、たいした事無いと思う人も居るかもしれないがダメ親父と生活をし続け挙句の果てには借金を押し付けられたなんて人生を送ってきて今の状況が人生で一番困難だと言うほどでもないのである。


「兄様。おんぶして!」


穂澄は駄々をこねる真希菜を背負い栞と尊の四人で帰宅途中であった。

元々体力の無い真希菜は穂澄に再会できた事ではしゃいだせいか暫く歩いていると穂澄の背中で小さな寝息を立て始めた。


「そう言えば真希菜ちゃんっていくつなんですか?」


「・・・・・・小学三年生?(予想)」


栞と尊は穂澄の背中で眠っている真希菜を起こさない様に小さな声で話しかける。


「えっ?ああ・・・・・・年齢ですか?いやっ。その・・・・・・」


明らかに言いずらそうな穂澄。歩きながらなにやら考え事をしているようだ。

そして決心がついたのか、不意に一言。


「中学三年です・・・・・・」


一瞬。本当に一瞬、栞と尊の顔が引きつった気がした。そして足も止まってしまう。

真希菜は体躯的には栞達より一回りか二回り小さい、そして何より真希菜の必要以上に高い兄への独身欲。

これは小さい頃子供に夢を聞いたとき『おとーさんのお嫁さん。』的な感じの無垢な心。つまり真希菜もまだ年端も行かない子供だと思い、まあ目を瞑ってきたが・・・・・・中学三年って・・・・・・


「今年真希菜ちゃんって受験の年なんですか?」


「・・・・・・14歳?」


「はい、今年受験で、今は15歳です・・・・・・」


15歳。つまりそれは栞たちと同い年と言うことだ。

(ちなみに栞たちは二月生まれ。)

その事でショックを隠せないのか顔を少し青ざめる2人。


「まあ、人にはそれぞれの愛の形って言うものがあるし・・・」


「・・・・・・うん、私たちだって竣夜兄様の事好きだしー・・・・・・」


「お2人とも無理にフォローしなくて良いです。逆に悲しくなるので気持ちだけで結構です・・・・・・」


明らかに下手なフォローを入れる2人。心なしか先ほどより心の距離的なものが離れている気がする。いや、マジで、本当に。

そのまま3人(+1)はそのまま気まずい雰囲気をかもし出しながら帰宅への道を歩いていった・・・・・・









「ただいま、帰りました。」


気まずい雰囲気を抜け出した穂澄は溜息を一つ。

櫻坂の家に来てしまってまだ背中で寝ている真希菜の顔を見る。


―――まず灯真さんに言わないとな。


一応栞たちは真希菜の歳の話をする前にO.K.を出してくれていたが流石に灯真に無断で真希菜を櫻坂の家に置いて貰うのには気が引けた。

そしてそのまま真希菜を背負ったまま穂澄は食堂へと歩を進めた。

時刻は七時過ぎ、考え事をしている間に栞たちは着替えと手洗いを済ませ既に食堂の自分の席についていた。しかし食事をしている様子はない。

ちなみにここでは七時以降ならば食事が並べられているので2人は座っている場合いつもは食事を始めているはずであった。しかし2人は食事をしていない。だが廊下から少し見えるテーブルにはしっかりと食事が並んでいるから、食べれないというわけでは無さそうだ。つまり、食べる雰囲気ではないということなのか?

穂澄が疑問を抱きながら食堂に入ろうとしたその時


「3000万を肩代わりしてくださった事は感謝します。しかし3000万返せばもう穂澄はここで働く理由もありませんよね。」


穂澄は足を止め瞬時に食堂からは視角に入る廊下側へと身を隠した。

聞き覚えのある声、凛とした表情。黒髪を一つに束ね、レディーススーツを着こなしている女性。

そうあの人は穂澄の姉、桂凛かつらりんであった。


「ここに3000万の小切手があります。これで穂澄は自由ですよね。さあ穂澄を返してください!」


食堂を覗くと強張った顔の栞と尊、苦虫を噛み潰したような顔をしている真琴、そして冷静を保っているがどこかいつもより笑顔が暗い灯真。

凛は灯真に3000万と書かれた小切手を渡す。


「どうして穂澄君を返して欲しいと?」


まるで何かの時間稼ぎをしているのだろうか。いつもの冷静な灯真が安易な質問をする。

凛もその事に気がついたのか怪訝な顔をするがすぐに凛とした表情を取り戻しそして言った。


「私は真希菜の治療の為に穂澄をあのダメ男の所に置いて行ってしまった。そして穂澄は特進クラスで成績を維持しつつ寝る間も惜しんで毎日バイトの日々・・・・・・私はそんな穂澄が可哀想でずっと自分を憎んでいました。そしてお金を貯めて穂澄と一緒に暮らす為、陸奥庵に言ったら既に売却済みで・・・そして秋水さんから今日此処に穂澄が働いていると聞き来ました。幸いここには櫻坂の人が肩代わりしてくれた3000万が丁度あります。これで穂澄には学業に専念してもらうつもりです。」


しっかりとした口調で言う凛。その言葉を聞いた穂澄は何故か息を呑んだ。多分緊張していたのであろう。


―――執事を辞めれる。普通に暮らせる。


頭の中でその言葉が駆け巡る。しかしそれと同時に心臓が痛いほどに高鳴った。

理由はわからない。もしかしたら自分は辞めたくないのか?と考える。確かに肩代わりをしてもらった事は感謝している。その恩を少しでも返そうと今日まで一生懸命仕事をしてきたのだから。しかし3000万を返せば肩代わりをして貰っていた金は全て返せる。

そんなことを考えていると後ろで声がする。


「んん〜?兄様どうしたの。怖い顔して?」


その言葉は食堂にも聞こえたのであろう。続いて話し続けていた凛の言葉が聞こえなくなっていた。穂澄は真希菜の口を押さえるが既に遅かった。


「穂澄!」


食堂から出て来た凛は穂澄を抱きしめる。目尻には涙を浮かべ力いっぱい抱きしめる。


「ゴメンね。今まで辛い思いをさせてしまって・・・・・・」


「ね、姉さん。俺―――」


「穂澄君。ちょっと来てくれませんか?」


穂澄が何か言おうとした時灯真が言葉を遮る。凛は穂澄に抱きついていて見えないが穂澄を見る灯真の目は真剣そのものであった。

穂澄は小さく頷き凛と連れて席につく。


「穂澄さん。もしかして辞められてしまうのですか?」


「・・・・・・穂澄。」


2人が今にも泣き出しそうな顔でこちらを見てくる。


「灯真さん。と言いましたね。3000万は返しました。これで穂澄が此処に居る理由もありません。契約書を渡してください。」


ついに灯真も苦虫を噛み潰したような表情に変わる。穂澄はこんなに追い詰められた灯真を見たのは始めてであった。

運動から家事まで何でもこなしてしまう灯真は今まで平然としてきていたのでこんな顔は見た事は無かった。それだけ今の状態が不利と言えよう。

栞も尊も穂澄には辞めてほしくないと願っている。だからそれを知っている灯真は真剣に向き合っているのであろう。


「ほ、穂澄君はどうなんですか?」


灯真らしくない逃げ腰だ。しかし穂澄にもわからない。辞めたくないと思っているのだろうがそう口に出していえない。

そしてこの返答を読んでいたかのように凛が口を開く。


「必要ないわ。借金は返した。もう此処にはいる理由が無い。それだけの事。行きましょう穂澄、これ以上は無駄だわ。」


穂澄の手を取って立ち上がる凛。そして穂澄はその手に引っ張られて立ち上がってしまう。

振り払う事はできるがただ一言。『俺はここで執事がしたい』それだけの言葉が出ない。どうしても言いなりになってしまう。

そうして歩き出し、食堂を出ようとした。


「Hey,cute girl!チョットタンマネ。」


食堂の入口に立ちふさがったのはドナルド。


「なっ!何ですか!?私たちはもう此処には様は―――」


「―――いえいえ、あるんですよ。桂凛さん。」


出てきたのはスーツを着て不敵笑う青年。


「しゅ、竣夜様!?」


そう出てきたのは竣夜。そして指をパチンッと鳴らすとドナルドが凛と穂澄を持ち上げそのまま先ほど座っていた席に座らされる。

そして竣夜は向かえの席に座った。その顔は不敵にそして今までで一番良い笑顔で笑っていた。


「すみませんが穂澄君を返すわけには行きません。」


「なっ!何故です!私はちゃんと3000万。」


「確かに私どもはそれを肩代わりしそしてその3000万で穂澄さんが押し付けられた借金はチャラです。」


「な、ならっ!」


「押し付けられた借金はね。」


まさに悪役の笑み。穂澄はその笑みを見て背筋がゾッとするのを感じた。楽しんでいるのかは知らないがとても生き生きとし喋る竣夜。

そして再び指を鳴らす竣夜。ドナルドは懐から紙の束を凛に手渡す。


「こ、これは!」


「はい、食事代、電気代、光熱費、制服費、娯楽費、学院の授業料、仕事について三日目に壊した皿・・・・・・etc。合計2000+1000万。もし穂澄君を返して欲しいのであればこれを払って下さい。」


つまり今払った3000万に+3000万=6000万払えと竣夜は言っているのだ。

凛の顔がどんどん青ざめていく。


「し、しかし。この+1000万の記載は何処にも―――」


「―――ああ、それでしたからある人に融資を頼まれまして、団子屋の再建の為。」


「えっ?それって・・・・・・」


「ええ、あなた方のお父様です。今は酒もタバコもギャンブルもお辞めになって団子作りをしていますよ。まあ、融資金は穂澄さんに押し付けている所は変わりませんが。」


「そ、そんなの認めない!穂澄は連れて帰ります!」


「そんなのは認めないのはこっちです。借金をまだ返していないのに執事を連れて逃げるのか?ふざけるな。穂澄を返して欲しいのであれば残り3000万持って来い!」


竣夜が立ち上がりドスの効いた声で凛を脅す。

パチンッ

本日三回目の指鳴らし、それは・・・


「お帰りだ。ドナルド、丁重にお返ししろ。」


「了解シマシタ。」


「えっ!待ちなさい、穂澄!」


ドナルドに抱えられた凛と真希菜はそのまま櫻坂の家から追い出された・・・・・・









「穂澄さん!」


「穂澄!」


栞と尊が泣きながら穂澄に抱きついてくる。

竣夜は溜息をつきネクタイを緩める。


「あ、ありがとうございます、竣夜様。」


「ああ、別に良いって、妹達のお気に入りの執事を手放さずに済んだんだから、まあ、借金は増えたけど後5億3000万頑張れ。」


「はい、頑張り―――って?5億?」


おかしい、借金は+3000万のはずじゃあ・・・・・・

穂澄は首を傾げドナルドが出していた紙を見る。確かに融資金を合わせて+3000万だ。

って言うか五億って・・・・・・


「あの、5億って何ですか?」


「いやぁね。さっき灯真から緊急の呼び出しが合ったから会議すっぽかして来ちゃったんだよ。そしてその案はボツになって会社は5億損したってこと♪だ・か・ら。後5億3000万頑張って♪」


そう言い残し、竣夜は笑いながら家を後にした・・・・・・


「穂澄さんこれからもよろしく!」


「・・・・・・よろしく(一生)」


「えっ!ちょっとっ!5億って働いて返せる額じゃないですよー!」







夜。穂澄の声が夜空に響きめでたく執事続行!&借金+5億3000万円♪

ちなみに次の日ゲッソリと寝不足の穂澄が居たので理由を聞くと働きすぎの過労死する夢を見たと涙ながら語ったらしい・・・・・・











 

どうも作者です。前書きにも書きましたが感想をくれた方ありがとうございます。

と、ここで話は変わりますが今回の十九話、友達に見せたら『もう完結で良いんじゃね?』と言われました。いえいえ、一応五十話完結と言う事で書いておりますので大丈夫ですが、一応五十話完結の後もキャラ語り、アナザーストーリなどなどを模索中・・・


まあ、今回の話をまとめると凛が不憫でしょうがないと

竣夜が凄くカッコイイと言う事です。結構この二人は好きなのでこれからもちょくちょく出そうかと思っています。

まあ、後書きなのに長くなってしまったと言うツッコミはさておき、感想&評価待ってます。

それでは投稿頑張ります。。。

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