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第十五話 出会ってしまって

竣夜の事を終え一息ついた穂澄は灯真に連絡をすると『特に大事なことは無いので今日はそのまま休みを取って良いですよ』と言われた。

特にする事も無いのだがせっかく休みを貰えたので街を見てまわることにした。

借金を親父に押し付けられてからそろそろ二週間になろうとしていた。元々学費も自分で稼いでいた穂澄は当然遊ぶ時間。遊ぶ金などは持ち合わせておらず、よくよく考えるとこうしてノンビリと街を歩く事なんて多分母親が死んでからは初めてだと思う。

だがしかし困った事も必然的に多くなる例えば執事服と言うのはスーツとは違い少し珍しい服なのだ。と言う訳で人混みを歩いていると凄く目立つのだ。歩いていると数人の若者は執事服と認識できるらしくまるで珍しい物を見るような目でこちらを見てくる。(まあ、確かに珍しい物なのだが・・・・・・)

これが秋葉原などだったらコスプレや従業員の服で通るのだが残念ながらこの街はそんな人は穂澄以外はいないのだ。

・・・それが一つ目だ。そして今。現在進行形で起きているもう一つの難関は・・・・・・


「ここは・・・何処だ?」


先程から通行人の目が気になり人目のつかない裏道を通ったのが仇となったか大通りの方角が分からなくなりすっかり道に迷ってしまった。


「ま・・・まあ、携帯があるから灯真さんに今の居場所をGPSで調べて貰えば・・・・・・」


ピー


灯真に電話を掛けようと携帯を取り出すと何やら不吉な音が穂澄の耳に届く。

穂澄が携帯の液晶画面を見ると

『バッテリーを充電してくれないと電源切っちゃうんだから!!』


ブツンッ


「ちょ、おまっ!?何でツンデレ!?せめて何故ここでツンデレをチョイスしたかを言ってから電源きれろー!!」


穂澄の盛大な突っ込みも虚しく携帯は動かなくなった・・・・・・・







暫く穂澄は見覚えのない道を歩いていた。

しかし道を知らないだけで何で心細くなるのだろうか?

とここで穂澄は足を止める。何故止めるかと言うとそこに止まる理由があるからだ。

その理由とは・・・


「人が倒れている・・・・・・」


嫌な予感がしたが流石に倒れている人を放って通りさるほど穂澄は太い神経を持ち合わせていない。


「だ、大丈夫ですか?」


恐る恐る倒れている人に話しかける。とその人は唸りながらゆっくりと起き上がった。


見た目は穂澄より若く少し長めの黒髪の少女。しかしそれより気になったのはその少女の着ている服が血で滲んでいたことだ。


「あ、あの?だ、大丈夫ですか?」


「血のことでしたら大丈夫です。・・・・・・スミマセン、少し立つのが辛いので肩を貸して頂けませんか?」


少女は穂澄の体にしがみつき生まれたての小鹿みたいな感じの足取りで何とか立ち上がる。よく見ると服で隠れていて見えにけったが体中包帯だらけであった。


「どうしてこんな怪我をしているんですか!?もう一人じゃ歩けないんでしょう!」


穂澄が少し強く言うと少女は頬を赤く染めて惚けた目で穂澄を見てきた。


「どうしてこんな怪我をしたかって聞いているんです!」


更に強く言うと少女はまた頬を赤く染める。

とふいに何かを言ってきた。


「私の彼氏はSなんです。」


「・・・・・・はっ?」


「私の彼氏は特殊な性癖の持ち主で私に暴力を加えることで性的興奮を得ているのです。」


「だ、だけどここまで酷いと流石に傷害事件になります。今ならまだ傷も癒えるでしょう?」


「良いんですよ。私の同意の上でしてますのでそれに私はいじめられるのが好きなようですから。」


なんと言う衝撃的告白。いじめられるのが好きなんて普通通りかかった見ず知らずの男性に言う言葉ではない。

と言うか。一秒でも早くこの場から全力疾走で逃げたい気分です・・・・・・


「そ、そうなんですか。それじゃあ俺は用事があるので。」


少女の顔を見ないように踵を返し来た道を戻る


「ちょっと待って。」


ことが出来なかった。少女は穂澄の足を掴み穂澄は掴まれた事によりバランスを崩し盛大にこけた。


「何するんですか!」


「包帯巻いてください。」


鼻をぶつけた穂澄はその鼻をおさえながら振り向くと少女は何処からか出した包帯を穂澄の手に握らした。

もちろん穂澄は一刻も早くこの場から立ち去りたい、が穂澄は見てしまった。少女の助けを求めるその目を・・・・・・


「・・・・・・わかりました。怪我をしている所を出してください。」


その時穂澄は小さな溜息を少女に聞こえないようについた。


「そ、そんな・・・こんな路上で、外で脱げだなんて・・・・・・」


少女は顔を真っ赤に染めしかし光悦とした顔をしていた。

穂澄はそんな彼女を無視してまず、腕から包帯を巻いていった。

何故突っ込まないかと言うとそれはもう、疲れるから。ただそれだけ。




それから暫くして包帯を巻き終わると何とまあ、見事な半身ミイラの出来上がり♪


―――いやいや、ふざけてる場合じゃないよ。こんなの街で歩いていたら絶対捕まるよ。って言うかそんな事どうでも良いからさっさと帰ろうよ、俺。



何だかんだ言って付き合ってしまう自分に嫌悪していると。



「ありがとう、私は霧山霧音きりやまきりね。あなたは何て言うの?」



「スミマセン。知らない人に名前教えちゃいけないって母にきつく言われてるんで・・・・・・」



「ふ〜ん桂穂澄くんか。」



穂澄の言葉を無視しただけではなくいつの間にかポケットに入れてあったはずの学院の生徒証がすでに霧音の手の内にあった。



「それじゃあ、またいつか」



霧音はペコリと頭を下げたと思うと体を翻し全力失踪で逃げていった。


もちろん手には穂澄の生徒証が握られてある。



「ちょっ。待て!ドロボー。」



「次にあったときに返しますよー」




そうして霧音は視界から消えていった・・・・・・








「た、ただいま帰りました。」


穂澄が玄関の扉を開けて中に入ってくる。

今、時刻は夜の十時。ちなみに竣夜の用事が済んだのは昼前。霧音に生徒証を奪われたその後。取り合えず自分が迷子になったと言う事実を認め近くの民家にここはどこかなどを聞き始めた。

しかしそれが間違いだったかもしれない。手ごろの家のインターフォンを押すと出てきたのは自らを100歳越えと言うお婆ちゃん。

とり合えず交番が何処にあるかを聞いた・・・・・・はずだったが、いつの間にか先に亡くなったおじいさんの話やら戦前、戦後の話やらを聞かされて気付いた頃にはすでに七時をまわっていた。しかもそれだけでは終わらず、ずるずると時間は過ぎていった。


「おお、穂澄くん、遅いよぉ。ご飯作ってよ!」


真琴が今までで一番早いスピードで走って、穂澄の腰辺りにタックルする。


「ごふぅっ!?」


もちろんそんな攻撃予想していない穂澄はそのまま玄関まで吹っ飛ばされ頭をドアノブに強打する。視界の端に星が回っていた気がしていたがここで気にする所はそこではない。


「と、灯真さんは、居ないのですか?」


鳩尾にタックルを喰らい酸欠気味の身体を抑えて一番の疑問を聞く、


「灯真は竣夜に呼ばれてどっか言っちゃったんだよ!」


「真琴さんは作れないんですか?」


「「・・・・・・・・・」」


2人の間に沈黙が流れる。


「ふっ。私は庭師。庭に命をかける女。小さい頃から外国へ行き庭芸を学び続けた、言わば庭師の英才教育を受けていたのよ!」


「・・・・・・つまり出来ないんですね。」


「はい。」


穂澄は小さく溜息をつきまだ痛む腰を押さえながらそのままキッチンへと向かった・・・・・・




なんか疲れた50話で完結させるつもりで書いてたんだけど後三十五話・・・・・・かけるかなぁ?

頑張ります。。。

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