step12デュフフだったら危なかった
「じゃあ、お父さんがいない間もしっかり頑張るんですよ。妖精さんの言うことはしっかり聴いて、辛くなったらお父さんに連絡しなさい」
「大丈夫よ!妖精さんは優しいもの」
多分感動シーンを後目に、読書している私に、オッサンが話しかける。
「俺になんか用があるなら娘に言ってくれ。出来るだけ応えてやる」
そう言い残し、オッサンは旅に出た。
無駄にカッコいいセリフはやめて欲しい。
「妖精さん、私は何をすればいいの?」
「ん、本でも読んでおいて。居るだけでいい」
「何で?」
「人間と仲良しって見せるため」
そう言うと、なるほどと言った風に、彼女は本を読み始める。
さて、私はオッサンから金貨一枚を貰っている。娘の一ヶ月の生活費との事だが、DPで食事を出すから問題無い。
もう全ての本を読み終わる直前なのだ。わざわざ一斉に同じ量のページを消費して時間を稼いだが、もうそろそろげんかいだ。
ポンッ!
本が4冊手に入った。
もう日が落ち始めた頃、
バンッ!
「本くれぇぇぇ!!」
「断る」
パタン。と扉を閉める。
バン!
「本を読ませて下さい!」
「いらっしゃいませ。入館料をお支払い下さい。あと、本は持ち出しは出来ません」
「あ、はい」
ちゃんと入館料を払った彼女は、早速本を読み始める。
金髪、メガネ、篭手に尖った耳。エルフか。
エルフは人間とあまり関わらないが、稀にエルフの村から出る者もいる。魔法の扱いに長けており、人より長い時間を生きる。人間と仲は良好ではないが、むしろエルフを亜人として嫌う人間の方が多い。
参照イノンテモツの歩き方より
そのエルフはと言うと、
「凄い!古代から有るとされていた、幻のレイザン・ネメシスの初期の作品がある!ぐへへへへへへ!」
エルフってこんな変態だったかな?本に頬ずりしている。あ、水に強いからってヨダレ垂らさないでほしい。
「あ、いらっしゃいませ。妖精さん、おもてなししなくていいの?」
「あの手のタイプは何も見えなくなるから、余程お腹が空かないと食べない。私達は食べよう」
5DPで、サンドイッチを出す。すると、
「わ、私にも下さい!」
と、エルフが言ってきた。しょうがないのでもう一つ出す。
「いやぁ、町で《二人で一人》がチラシ配ってたから、魔物多くても最短距離で図書館に来ちゃって、お腹空いてたんですよ。魔物撒くのに走ってたせいで最初あんなふうに・・・」
へぇ、どうでもいい。それにしてもいつ帰るんだろう。もう暗くなってきたけど。
「いつ帰るの?もうそろそろ暗くなるよ」
「え、あ、えっと、今日は帰りたくないの。いや、むしろずっと此処に居たい!本を何時でも読めるなんて最高!だから泊めてください」
「本に囲まれるのは確かに最高。でも、ただ飯食いは要らない」
絶望が滲み出る顔でサンドイッチをむしゃむしゃ食べるエルフは、なんか凄いウザい。しょうがない。
図書館の隣にマンションを建てよう。1,000P払って10部屋の建物を建てる。
「はい、隣の建物を使って」
「え!こんな建物無かったのに」
「今作った。一ヶ月で金貨7枚、特典で図書館一ヶ月フリーパス券、食事2食付き」
「入る入る入るぅ!もう先に三ヶ月分払っちゃうぅ!」
そして、居住者が増えた図書館は少し明るく見えた。
今日のDP
1,580-1,010+4,100=4,670DP