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友情の証、大福(ホエイプロテイン味)

「よーい、始め!!」


エルゼの掛け声と共に、「公爵邸・第一回マッスル収穫祭」の火蓋が切って落とされました。


ギルベルトとマックスは、庭の隅に埋まる、岩のように育った「プロポテ」の畝に向かって一直線に駆け寄ります。


「ぬんんんんんんっ!!」


マックスは、持ち前の野性と膂力で、土を蹴散らし、腕の血管を浮き上がらせながら、巨大なプロポテの茎を両手で掴みました。


そして雄叫びを上げながら、力任せに引き抜こうとします。しかし、プロポテは地面に根を張った大岩のように微動だにしません。


「ふん、小手先だな。プロテインの力を見せてやる」


ギルベルトは冷笑しながら、マックスとは対照的に、まずプロポテの周囲の土壌を丹念に観察しました。そして、完璧に計算された角度で、手袋を外した素手で土を掘り起こし始めます。その指先は、まるで鋭い剣のようでありながら、岩をも砕く鋼鉄の硬度を秘めていました。


「ッッッ!! くそっ、硬ぇなこの芋!」


マックスが汗を飛び散らせながら呻く中、ギルベルトは静かに、しかし確実にプロポテの根元を露出させていきます。そして、最後に残った一本の太い根を、まるで千切るように「パキンッ!」と音を立てて引き抜くと――。


ズドドドドドド……ッ!


地響きと共に、巨大なプロポテが土中から姿を現しました。そのサイズは、もはやジャガイモというより漬物石。


「なっ……なんだと!? お前、まさか筋力コントロールの魔術師か!?」


マックスが驚愕に目を見開く中、ギルベルトは涼しい顔で、泥の付いたプロポテを片手で軽々と持ち上げました。


「これは基礎だ。貴様のような猪突猛進の男には理解できまい。筋力は、やみくもな暴力ではない。緻密な計画と、徹底されたプロテイン摂取、そして何より――」


ギルベルトは一瞬、エルゼの方を見ました。エルゼは目を輝かせながら、二人の戦いをオペラ鑑賞でもするかのように見守っています。


「――『愛』だ」


「愛ィィィ!?」


マックスだけでなく、遠巻きに見ていた公爵家使用人たちも、ギルベルトのまさかの言葉にざわめきました。


しかし、ギルベルトは動じません。


「私がこのプロポテに注いだのは、貴様のような野蛮な暴力ではない。エルゼが喜ぶ顔が見たいという、純粋な……ッッ、『愛』だ。それがこのバルクを生み出した……!」


「くっ……! 言葉で言いくるめようとするな! 俺は筋力で語る男だ!」


マックスは再び、別のプロポテの茎に飛びつき、今度は上半身を捻るように、まさに猪のような力技で引き抜きにかかります。


「うおおおおおおおおおおお!!」


メキメキメキ……ッ!!


土が軋み、ついにマックスも巨大なプロポテを引き抜きました。そのジャガイモは、ギルベルトのものとほぼ同サイズ。しかし、引き抜かれた土壌には、無数の根が引きちぎられた跡が痛々しく残されています。


「どうだ、公爵! 数で勝負だ! 俺は野性の力で、もっとたくさん引き抜いてやる!」


マックスが続けざまに他のプロポテに挑もうとした、その時でした。


「二人とも、ここまで!」


エルゼが笑顔でストップをかけました。


「は、速すぎる……!?」


ギルベルトもマックスも、呆然とエルゼを見つめます。


「はい! 十分です! お二人とも、とっても素敵でした! 力強いマックスと、クレバーなギルベルト様! 最高の友情が芽生えましたね!」


「「友情!?」」


二人の筋肉男の叫びが庭園に響き渡ります。

エルゼはそんな二人を尻目に、勝ち誇ったような笑顔で、バスケットいっぱいの巨大プロポテを抱え上げました。


「さて、とれたてのお芋で、今夜はポテトパーティーですね! そして優勝者への賞品は……えーと……あっ、これです!」


エルゼが取り出したのは、公爵家の厨房でエルゼが特別に練り上げた、顔サイズの巨大な大福でした。その大福からは、なぜか甘い香りに混じって、わずかにホエイプロテイン独特の乳清の匂いが漂っています。


「閣下もマックスも、お疲れ様でした! 友情の証として、半分こしてくださいね!」


そう言って、エルゼはプロテイン大福を手刀で真っ二つに引き裂きました。その正確で鋭い切れ味に、ギルベルトとマックスは、初めて畏敬の念を抱くのでした。


「「……お、お前も……『そっち側』だったのか……!?」」


こうして、公爵邸に新たな「筋肉の伝説」が誕生した夜。


ギルベルトとマックスは、エルゼの底知れないポテンシャルに畏れおののきながら、友情(?)の証として、甘くもプロテイン風味の大福を分け合うのでした。

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