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マッスル収穫祭、開催ッッッ!!

数週間後、公爵邸の門前に、地響きのような足音が響き渡りました。


「エルゼー! 約束通り、休暇を取って迎えに来たぞー!」


門を突き破らんばかりの勢いで現れたのは、丸太のような腕に熊の毛皮を羽織った、太陽のように眩しい笑顔の男――マックスでした。


「マックス! 本当に来てくれたのね!」


庭で「プロポテ・二期作」の土壌改良に励んでいたエルゼが、泥だらけの手を振って駆け寄ります。しかし、その二人の間に、一閃の雷鳴のごとく一人の男が割り込みました。


「待て。不法侵入だぞ、国境の猪野郎」


そこにいたのは、サイズアップした特注の執務服をはち切れんばかりの大胸筋で着こなした、ギルベルト公爵でした。その佇まいは、もはや「冷血公」というより「鋼鉄の要塞」。


「あん? なんだお前、ひょろひょろ公爵様か? エルゼを返してもらうぜ、お前みたいな軟弱者に彼女の愛は支えきれ――……あ?」


マックスの言葉が止まりました。


彼は、ギルベルトの首筋から上腕にかけて浮き出た、あまりにも美しい「筋肉のキレ」を凝視しました。


「……ほう。その三角筋……ただのお貴族様じゃないな。何を食えばそうなる?」


「ふん、我が家の特製『プロポテ』だ。貴様が野山で齧っている泥付きの芋とは、含有タンパク質の次元が違う」


ギルベルトは無造作にシャツの袖をまくり上げ、完膚なきまでに仕上がった上腕二頭筋を誇示しました。


「なっ……なんだと……!? そのバルク、そのカット……! まさか、俺の人拓を見てビビって逃げ出すどころか、対抗してパンプアップしてきたというのか!?」


「逃げる? 私の辞書にその言葉はない。エルゼ、言え。どちらの筋肉が、公爵夫人の夫として相応しいかを!!!」


突然の「筋肉オーディション」の開催に、使用人たちは遠巻きに震えています。しかし、エルゼは二人の間に割って入ると、両方の腕を交互にペタペタと触り始めました。


「うーん、マックスのは野生の躍動感があるし、閣下のは機能美と高級感が溢れてるし……。決められません! よし、それなら『公爵邸・第一回マッスル収穫祭』で決着をつけましょう!」


「「マッスル収穫祭……!?」」


「はい! この庭に埋まっている巨大プロポテを、より多く、より速く、素手で引き抜いた方が勝ちです! 優勝者には、私が心を込めて練り上げた『特製プロテイン大福』を差し上げます!」


「……面白い。国境の壁を壊した男の実力、見せてもらおう」


「望むところだ! 公爵、お前のその『お上品な筋肉』を後悔させてやるぜ!」


冷血公と国境の英雄。


一人の女性を巡る戦いは、なぜか「どちらがより効率的に根菜を収穫できるか」という、前代未聞の収穫祭へと変貌を遂げたのでした。

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