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近畿地方のある食堂について

作者: 背脂

ご飯食べてる時にふと思いついたパロディネタです。

近畿地方在住の25歳会社員、Bさんは新卒で社会人として入社した会社の業務にも慣れ、刺激のない鬱々とした毎日を送っていた。

 趣味もなく、彼女もいないBさんがストレス解消にしたのは定食屋巡りだった。


「いわゆる小汚い食堂巡りってやつですね。毎日昼休みにそういう店を巡って、レビューつけるのがほぼ日課みたいになってました。俺、所謂顔出しブロガーってやつなんです。」

 そのなかでもひときわお気に入りの店があったという。

「その店は本当に小汚くて、創業…確か50年とか。だから店の中結構ボロボロなんすよ。でも店の中より特徴的なのか料理。」


 これは食べ歩きブロガーとしての俺の経験則なんですけど、と前置きしてBさんは続ける。

「こういう小汚い店って、そもそも料理が美味しくなかったり、料理の量がしょぼかったりすることあるでしょ?ここは違うんです。美味いんですけど料理の盛り方が独特で……。普通の店は自分から頼んでから大盛りにすることが多いんですけど、その店はデフォルトで大盛りなんです」

 その言葉を裏付けるように、食堂を紹介するページのコメント欄には、味は美味いが、量が兎に角多い、少ないのが…米が最低1kgのカレーライスと同じく重量1kgのオムライスといった情報提供に近いコメントがあった。


「ただ、本当にいい人たちなんです。だから残すに残せなくて…。」


 そんなある日、いつものように自分のブログへアクセスしたBさんは妙な書き込みを見つけた。

「その書き込みは、その小汚い店に対しての裏情報に関してでした。」


『あそこには裏メニューがあります』


そのコメントを見つけた時、へーって感じだったんですが、そんなコメント見たからなんとなく気になって再度店に向かったんですよ。とBさんは語る。


そこで注文して出てきた裏メニューとは、背脂マシマシ激盛りラーメンだった。


「第一印象としては、二郎系をわかっていないおじいさんが噂だけきいて作ったかのようなものかなと思ったんです。なにしろ、量は2kgを余裕で越えてるし、でも、これだけなら大盛りの二郎…ってだけに聞こえますよね。でもね、でてきたそれを見て妙な雰囲気がして…、なんか引っかかりました。」

 とはいえ、注文したのを残して出るわけにもいかない。恐る恐る麺を啜って…Bさんは目を見開いた。


「衝撃を受けましたよ…こんなうまいもんがあるのかって。」


 その後も箸が止まらず、Bさんは一気に麺を食べ、2kgあっという間に完食したそうだ。


「そっからは、その裏メニューに取り憑かれたように、店に通い続けましたね。」


通い続けるのは勿論、Bさんは熱心にその店について熱心に褒め称えた。


どのメニューのクオリティが高いが、何より美味いのはその裏メニュー。中毒性が高く、やめられない、止まらない。今は食べ切れるようにもなって、体重も20キロ増えちゃいました。とBさんは語る。


「そんなことを続けて数ヶ月、気づけばその店はいつ間にか大人気店になっちゃって…。でも今でも通い続けてます。それくらい美味しいんです。」


その後Bさんは裏メニューの存在を教えてくれたコメントの返信欄に書き込みをした。


『あそこには裏メニューがあります』

『コメントありがとうございました!本当に裏メニュー美味しかったです!他にも美味しいご飯とか知ってたら、情報提供していただけるとうれしいです!』


書き込んだはいいものの、一旦返信したことで満足したBさんはそんな書き込みをしたことも忘れてしまっていたという。

 

──そうして次の日。


ブログのBの返信のコメント欄には、こうコメントされていた。


『痩せろ』


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