第91話 突入作戦
最終戦闘はわりとあっさり目です。
物足りなさはありますが、何故なら、主人公はチートだから、なのです。
1週間ほどでHQらしきものがある場所の近くまで来た。
途中、マイケルさんの仲間の拠点で歓迎されたのだが、そこはこれまで以上の激戦区でもあった。
俺と雪子の活躍で敵は一掃できたが、その数はこれまで以上だった。
それ故か、こちら側でもけが人が出てしまったが、幸いなことに死者はでていない。
何より、環境が悪く病人も多いこの拠点では動ける人員も限られているんだとか。
病人とはいえ感染症ではなかったのは良かったと言えるだろう。
試しにサクラから受け取った秘薬を少し与えてみたら完全に回復したようだ。
拠点にはその秘薬を少し進呈しておいた。
そこを出発してビークルで進むこと1日。
ヘッドクウォーターがあると思われる地区に到着した。
「あれが、ヘッドクウォーターか。」
「あそこが、敵の本拠地、ブルーがいる所……」
今はそのHQから10キロほど離れた場所にいる。
HQの規模は大きい。とはいえ、あの製造拠点ほどではない。
しかし、大きな問題が立ちはだかっている。
通常兵器が大量に配備されているからだ。
あれでは俺はともかく、他の者は近づく事もできない。
「まずは、あの取り巻きを一掃するしかないか。」
「あれって、ロケット弾とかじゃないの?」
「ああ、対空兵器だとは思うが、、対地でも使えるだろうな。」
「多連装砲、戦車、機関砲、人型のアーマー、か。個々はアーマーよりも脅威度は低いが、人間相手ではこれ以上ない兵器だな。」
「我々の拠点攻撃には使われていない兵器軍、それがなぜここに?」
「たぶん、ケンシロウの言う通り、人間相手に有効な兵器だからだろうな。つまりは最終防衛線だから確実な布陣を、という所だろう。」
さて、どうするか。
流石に劣化ウラン弾の雨やミサイル直撃は怖い。
「なあ、ウリエル。」
《何だよ?怖気づいてんのか?》
「ああ、まあな。これでも俺は臆病なんだよ。」
《けッ。アタイが付いてるってのになさけねえなオイ》
「そう言うなよ。ところで、あの手の兵器はお前平気なのか?」
《兵器と平気か、おもしれーなそれ!》
「あはは、だろ?じゃなくてだな……」
《あー、正直アタイも自信はないな。直撃しても耐えられるだろうけどよ、あんなモン一秒間に100発も撃ち込まれたらかなり痛いだろうよ。》
「痛いで済むのかよ。」
《アタイは死なないからね、痛いで済むけどお前は死んじゃうかもな。》
「そうだよなー。ここにきて古典的な兵器が最大の脅威とはなー。」
「タカさん、誰と話してんだ?」
「ああ、自称悪魔さんだ。」
《その言い方はやめれ!》
「自称、悪魔?」
「この装備に宿っているやつだよ。自称悪魔だけど、どうも天使っぽい。」
《違うっつーの!》
「は、はぁ。」
「さて、どうやって攻略するか、ちょっと悩むな。」
「一つ、案があるんだけど。」
「どんな?」
「ビークルには光学兵器が積んである。あの兵器の射程は3キロほどなので、そこまで俺が近寄って支援する。」
「いや、そんなに近づいたらお前が危ないだろうよ。」
「ここに居てもミサイルとかは届くから危険度は一緒だと思う。それに、援護射撃はあった方がいいだろう?」
「それはそうなんだが……」
ここは、俺が決断するしかないか。
カスミとフラン、サダコはマイケルさんと共にここで待機だな。
隠れていてもらうしかない。
吶喊するのは俺と雪子。
その援護にケンシロウ、か。
「まて、ワシもいくぞ。」
「サダコ、でもお前」
「ワシも一応は物の怪の端くれじゃ。本体が損傷しても死にはせん。あのレーザーとかいうのでなければ、物理的なものは大抵問題なかろうて。」
「そうなのか?」
「もっとも、限度ってものもあるがの。ただ、物理的に飛来する物体なら、ワシの神通力で弱化できるやも知れん。」
「それって、銃弾とかに有効なのか?」
「わからんが、恐らくは効くじゃろうて。」
「恐らく、か。わかった。ただし、お前は常に俺の後ろに控えていろよ。お前に万が一の事が有ったら、俺は」
「わかっておる。主様を悲しませることはしない。いざとなったらここに転移する。」
布陣は決まった。
恐らくあっちは対人レーダーやセンサーもあるだろうし、近寄ればすぐに気づかれるはずだ。
それの対抗手段としては、前面にブラックホールを展開してレーダー波やセンサーの光線を反射せず吸収させてしまう。
肉眼ではなく光学機器に頼っている敵は何も見えない状態のはずだ。
俺が先頭に立ち、後ろにサダコと雪子、その後ろにレーザー砲を抱えたケンシロウだ。
レーザー砲は威力はあるが弾数は少ない。
これも時間と連携が物をいう作戦だ。




