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第78話 いざジパングへ

第7章突入です。

PVが2,000超えてました。

ありがとうございます、感謝!

 「じゃあ、行ってくる。」


 それだけだった。

 昨夜まで、皆とはしっかりと話をしていたので、この段階でもう言う事はない。

 皆はそれをちゃんと理解してくれているようで


 「いってらっしゃい。」


 と笑顔で返してくれただけっだった。

 これだけのやり取りで、充分だよな。

 足りなきゃ、帰ってからすればいい。


 ただ、名残惜しさは拭えない。

 俺は何度も振り返り、皆は見えなくなってもなお、城門で見送っていたそうだ。


 ゲートまでは、リサとジャネットさんが俺を運んでくれる。

 フランはゲートまでの船旅の段取りをしてくれると同行している。

 結局、あっちの世界へは俺だけでなく、カスミと雪子も行けるらしい。

 しかし、どんな危険があるかもわからない所に、さすがに二人を連れて行けないのでゲートから先は俺一人だけで赴く事とした。


 ゲートの場所は、ジパング島にあるらしい。

 ジパング島はかつての日本列島で、現在も島には人が住んでいて独特の文化を維持しているんだそうだ。

 聞いた話では、フランはジパングのとある国の王族らしく、船の手配もそれで可能なのだとか。

 若干閉鎖的な島なので、島を行き来する人はそんなに多くないらしい。


 ラディアンス王国から東にまっすぐ行った海岸にある港町から、ジパングへと渡る。

 一応、リサとジャネットさんはゲートまで連れて行ってくれるとの事なので、一緒に乗船と相成った。


 「タカヒロ、大丈夫?」

 「ん?何がだ?」

 「アンタ、青ざめた顔してる……」

 「まさか。船酔い?」

 「いや、俺船酔いとかしないよ。」

 「とはいえ、顔色はあまり良いとは言えぬな。」

 「タカヒロ、もっと寄り添う?」

 「とと様、寒いの?」


 言われて初めて気づいた。

 俺、震えている。

 顔も少し強張っている感じだ。

 緊張、しているんだろうな。


 「ああ、正直言って、大丈夫じゃないかもな。」

 「緊張?それとも恐怖?」

 「どっちもだろうな。何と言うか、まだ見てもいないのに強大な敵が、というよりも危機が迫っているような気がしているのかもな。」

 「タカヒロが恐怖するほどの敵って、どんなんなのかな?」

 「うーん、わからないけど、本能的にヤバいって感じるんだろうな、きっと。」

 「でもとと様は、強いんだよね?」

 「あくまでこの世界では、っていうだけだよ。」

 「まぁ、しかし、それだけでは無いのではないかな。」

 「そうですね。失敗は許されないっていうプレッシャーもある、かな。」

 「ふむ、まだ見ぬ敵よりも、突きつけられた現実の方が、えてして怖いものよ。」

 「そうかも知れませんね。」

 「大丈夫よ、タカヒロ。」


 リサがぎゅっと俺の手を握ってくれる。


 「きっと、大丈夫!」

 「リサ、ありがとうな。」



 船は2日で、ジパング島に着いた。

 元日本列島、その本州部分の北陸地方だった所らしいが、俺の知る日本の面影は一切ない。

 山岳部のみで平野が極端に少ないのだ。

 かなり大きな地殻変動や海面上昇の影響なのか、富士山らしき山が遠くに見えるが、幾分低くなっているようにも見える。

 目的地であるゲートは、その山の北側のふもとにある、とはシヴァからの情報だ。

 フランはその場所を知っているそうなので、フランの案内で先に進むこととなり下船して2日、ゲートに一番近い町までやってきた。


 「ようこそ。ここがゲートに一番近い町、アルプスです。」


 どうも位置的には山梨県と長野県の境目位なんだろうか。

 アルプスって、日本アルプスの名残だよな、きっと。


 「ここは、私が育った町。久しぶり。」

 「え?ここがフランの出身地?」

 「そう。私はここの長の娘だった。」

 「だった?」

 「そう。今は違う。今の長、将軍は私の兄。」

 「へー。」

 「長の所に行く。ついてきて。」


 フランについて町中を進んでいく。

 何というか、まんま昔の日本だよなぁ。

 地形はだいぶ変化しているようだけど、文化は継承しているんだろうか。

 それにしても俺が居た時代からすれば数百年程退化した文化だけども。

 完全に江戸時代って感じだ。


 所々にコンクリート建築物の残骸や鉄骨の構造物の残骸も見受けられる。

 それがかえって未来の世界という事を表しているようで、正直言うと興味深い。


 町の北はずれにある城。

 ちょっとした大きさの日本の城だ。

 そこが将軍、つまり殿様の居る所らしく、フランは普通に城に入っていく。

 城門で番兵がフランを認めて最敬礼しているが、やはりフランはここのお姫様だったんだなと納得する。

 そうして、殿様が居る部屋までやってきたのだ。



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