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第76話 歴史的快挙

 魔王城に到着した。

 城下町は戦争以来初の人間との会合か開かれるという事で大忙しの様相を呈していた。

 半分はお祭りムードだな。

 既にラーク達ラディアンス王国の使節団は到着しているようであの宿に滞在しているとか。

 その為会場となる魔王城周辺は厳戒態勢を取っていた。

 という事で、俺たちはエイダムの計らいでエイダム邸にて宿泊待機となった。

 エイダム邸はそこそこ広く、ファルクも含めて俺たちが宿泊してもまだ全然余裕だった。


 エイダムは今日開かれる会談に向けて魔王城に入りびたりだそうで、こっちにはしばらく帰ってきていないそうだ。

 ヒマを持て余していた使用人や従者などは、俺たちが来たことで仕事ができたと言って喜んでいる。

 凄いな。働き者の鏡だよ。


 「それで、私達はずっとここに待機ですか?」

 「いや、魔王は離れたところから会談の様子を見ればいい、とか言ってたな。」

 「始まる前にラークとも会っておきたい所だが、後のほうが良いのかな。」

 「お兄様もたぶん緊張しているだろうからねー。」

 「でしたら、後の方がいいように思いますね。」

 「よし、後で会おう。」


 という事で

 会場になった迎賓室の、隠しテラスで会談の様子を見ることにした。


 いよいよ会談が始まり、ラークとエイダムは握手を交わして後話し合いが始まった。

 およそ3時間にも及ぶ会談は、非常に充実したものだったようだ。

 こういう政治的な交渉や話は俺には全くわからないが、内容は相互に納得のいく話だったようだ。


 会談が終わったとき、ラークとエイダムは再び握手を交わしたのだが、最初の握手よりもお互いに力が込められていたようだ。

 ちなみに

 この会談中、俺やサクラ、ローズ、アルチナの話は一切でていなかった。

 こういう所が徹底しているのも、お互いの政治手腕は確かな物なんだろうな。


 会談後、側近のみを率いての会食となった。

 その他の者たちは懇談会という事で、大広間でパーティーとなったようだ。


 会食は一切の部外者を除き完全密室で、となっていたので俺とサクラとローズ、そしてアルチナとシャヴィも同席と相成った。


 「タカヒロ。」

 「兄上。」

 「二人とも、お疲れ様です。俺、ああいうの初めて直に見たよ。凄かったな。」

 「しかし、兄上が居なかったのは少し寂しい気もしたよ。」

 「そうだな、真の立役者というか、真の主役はタカヒロであるからなぁ。」

 「あはは、よしてくれよ。俺はしがない一般人だ。それにきっかけに過ぎないからな。」

 「何を言う、それがどれだけ大変なことか、お前よくわかってないであろう?」

 「そうです兄上。魔族と人間にとって、歴史的な快挙のきっかけなんですよ?」

 「まぁ、そうだとしても、だよ。実際に行動したのはお前たちじゃないか。凄いよ。」


 そうなんだよな。

 きっかけなんて、きっと俺じゃなくても作れたと思う。

 それをチャンスにして未来を見据えた行動がとれるって事こそ、偉大な事だと思う。

 だってさ、そこに「民の為」という信念のみを持って挑んでいるのだからな。

 自己的な利益を求めるっていう考えが、二人には全くないってのは凄い事だよ。

 まぁ、それを知るのは俺たちだけ、なのはちょっとやきもきするけどな。


 「さて、これで一歩前進したわけだが、なあ、ラーク殿。」

 「そうであるなエイダム殿、次はいよいよ、アレだよな。」

 「ん?アレって?」

 「タカヒロの祝言である。」

 「兄上、言っていたではないか、帰ってきたらって。」

 「あ、ああ、そうだったな、そういえば。」

 「しかし……」


 エイダムは俺たちを見る。

 いつの間にか、女性が増えているのを確認すると


 「タカヒロ、まだ待っといた方が良いのか?」

 「兄上は何人まで増やすつもりなのだ?」

 「……ノーコメントで……」



 こうして、新たな歴史の1ページが刻まれた。

 そう、この新たな歴史を、終わらせない為にも。

 俺は改めて覚悟を決めた。

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