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第73話 タカヒロとシヴァの子?

 二週間に及ぶミトによる特訓は一応終わった。

 途中、ロマリア連邦国の北側に出現したモンスター相手にその成果を確認したのだが


 「確認にはなりませんわね。」

 「うむ、もうまともにタカの相手できるのって、魔王様しかおらぬのでは?」


 同行してくれたアルチナとシャヴィの意見としては、そんな感じだった。

 実際、かなり強化されてはいると思うのだが、いかんせんモンスター程度ではもはや相手にならない。

 という事で、魔王に手合わせをお願いしたのだが、こっちはこっちで常に俺を上回るチートなので、強化の程度がわからない。

 魔王曰く


 「各段に強くなっているな。もはやこの地上で敵はいないと断言する。」


 とか。

 いやいや、地上最強はあなたです魔王様。

 まぁ、だからといって鍛錬のしようがないとは言えない。

 基礎を繰り返して根幹をぶらせないのも鍛錬の内だ。

 なので、あれ以降は基礎体力の向上と型を中心に個人演練が日課となった。


 そんなアインフリアンでの日々も、終わりとなる。

 一度フリーズランドと龍族の里を経由し、ラディアンス王国へと戻ることにした。


 「もう、行っちゃうのね。」

 「うん、あまりゆっくりもしていられないしな。ゲートに行く前にやらないといけない事もあるし。」

 「そういえば、結婚式、挙げるんでしょ?」

 「うーん、そうなんだよなぁ。」

 「何?イヤなの?」

 「そうじゃなくてさ、なんていうか、この歳になって結婚式ってのも、照れくさいというか。」


 「まぁ、でもさ、今パパって体的には30代くらいでしょ?適齢期じゃん?」

 「見た目だけならな。ま、とはいえ主役は俺じゃなくてサクラ達だからな。そんな事も言ってられないしな。」

 「もー、パパのバカ。お互いが主役に決まってるでしょ。とはいえ、相手が多すぎるのはちょっとアレよねー。」

 「ま、まあな。」

 「あ、そうそう、私も出席するからね。アインフリアン代表兼、姫神子としてね。」

 「ああ、是非きてくれよ。」


 そんな話をしつつ、俺はアインフリアンを出発した。

 サクラ達はミトとだいぶ仲良くなったようで、俺としては一安心ではあるのだが、各々の立場を考えるとかなり複雑な関係ではある。

 何しろ、サクラとローズからしたらミトは実質俺の連れ子になるわけだし。

 ま、言わなきゃだれも判らないんだろうけど、そういう問題じゃないしな。


 フリーズランドへ向かう道中、御者台に一緒にいるローズが聞いてくる。


 「ところでさ、タカヒロ。」

 「ん?」

 「あっちの地球?には、やっぱり一人で行くの?」

 「そうだなぁ、心細い気はするが、いかんせん何があるか判らないし危険すぎるからな。他の人は連れていけないだろ。」

 「うーん、やっぱりそうよねぇ。それはそれで私達は凄く心配だし寂しいんだけどね。」


 そう、あっちへ行くのは俺一人で、という事にしている。

 どんな世界なのかも、どんな危険があるのかもわからない以上、みんなをそんな場所へ行かせるわけにはいかない。

 まして、あのトラもどきのような存在がある機械化が進んだ文明みたいだし。

 それに、こっちはこっちでどんな影響が出るかもわからないしな。

 なにぶん、不確定要素が多すぎるので、下手な決断はできない。


 「なに、すぐに帰ってこれるさ。というか、お前たちに会いたくなったら帰ってきちゃうかもな。」

 「もう、バカ。」

 「あはは、でも、約束だもんな。俺はローズの事も守る。それが俺の役目だからな。」

 「も?」

 「ローズ、を。」

 「うふふ。」


 こんな時間も、これからあまり取れなくなるのかと思うと、ちょっと寂しくは思う。

 でも、すべてが終われば、そんな寂しさは……

 終われば?


 終わったら、俺はどうなるんだろうか。

 もう、お役御免だもんな。

 みんなと、死ぬまでずっと一緒にいられるんだろうか。

 いかん、また新たな悩みが出てきてしまったな。


 数日後、フリーズランドに到着した。

 皆で神殿に行くと、満面の笑顔でシヴァが待っていた。


 「久しいな!タカヒロ!」

 「シヴァ、ただいま。」

 「うむ、おかえりじゃ!」


 うん?

 シヴァの横に、白い着物を着た少女が佇んでいる。

 あの子はこの前はいなかったな。

 新しい従者か?


 「早速だがの、この子は、タカヒロとわらわの子だ!」

 「は?」


 「「「「「 えええええー!? 」」」」」


 一同ビックリだ。

 俺との子ってあなた、その子どう見ても10代後半だろうよ。

 見た目だけならサダコと同級生くらいだ。


 「ちょっと、タカヒロ様、どういう事ですか?」

 「タカヒロ、何時の間に?」

 「タカヒロ様?」

 「タカ、いくらなんでも……」

 「アンタ……」


 「あー、うん、みんな、ちょっと、落ち着こうか。」


 少なくともシヴァとどうにかした覚えはない。

 というか、あったとしても、あり得ない。

 キスで子供が、とかは言っていたのは確かだが、まさか、ね。

 どういう事なのでしょう?


 「あー、すまぬ。ちょっと言葉がたりなかったか。」

 「シヴァ?」

 「うむ、この子はな、正確にはわらわの分身体じゃ。が、知識や記憶はタカヒロの持つ情報を全て詰め込んである。」

 「情報を詰め込んである、だって?」

 「先般、お主がわらわに接吻を強要したであろう、その時にタカヒロの情報を転写しておいたのだ。」


 「「「「「……強要?」」」」」


 「違うから!」


 「そういう意味で、この子はわらわとタカヒロの間にできた子じゃ。」

 「あー、そういう事か。」

 「でな、わらわはなかなかここを動くことはできん。それ故、この子を連れて行って欲しいのじゃ。」

 「いや、連れてって、と言われても……」

 「何じゃ、自分の子を認知しないのか?」

 「どこでそんな言葉覚えてくるんですか?」

 「ははは、まぁ、そう堅苦しく考える必要はないぞ。分身体とはいえ、能力はわらわに準ずる。損はあるまいて。」


 そう言われればそうなんだけど……


 「とと様。私からもお願いします。」

 「とと様?」

 「はい。私はあなたの現身のようなもの。故にとと様と同じです。」

 「そ、そうなのか。」

 「私は、かか様に代わってとと様の傍にいたいと思います。」

 「そ、それは……」

 「ダメですか……」


 うッ。

 そんな潤んだ瞳で、胸の前で手を合わせて、そんなこと言われて懇願されたら……


 「あー、わかった、わかったよ。」

 「おお、タカヒロ!」

 「とと様!」


 俺から情報をコピーしたってのは本当かもな。

 俺の弱い所確実に突いてくるなぁ。

 さて、こっちは良いとして問題は……


 「「「「「「可愛い……」」」」」」


 ……お前ら。


 さて。一緒するのは良いんだが、問題がひとつ。


 「そういや、この子は名前はなんていうの?」

 「名は、まだ無いな。」

 「とと様、私も名前が欲しいです。」


 そうだよな。

 名付けしないとな。

 見た目はまんま雪女の子だな。で、シヴァの子。まぁ、ある意味俺の子でもあるのか。

 ん、そうだな。


 「雪子、お前の名は雪子、でどう?」

 「雪子!うん、これがいい!」

 「じゃあ、渾名はユキ、だな。」


 するとサダコとカスミは


 「おお、天狗が呼んでいた名前じゃな。」

 「ベタすぎ。でも、ピッタリかな、うん。」


 また一人、俺たち一行に加わったわけだが。

 ファルクの言う通り、見事に女の子ばかりになってしまったな。


 「さて、話しも纏まったところで、じゃ。」

 「まとまったのか、これ?」

 「タカヒロは何やら、別の世界へ赴くそうじゃな。」

 「まぁ、別世界、というよりも別の星、かな。」

 「大丈夫なのか?危険はないのか?」

 「うん、それはわからない。でも、それでも行かなくちゃならないってのは決定です。」

 「そう、なのか。本当に、いざという時にわらわは、お主に何もしてやれんのぅ……」

 「シヴァ、その気持ちだけで充分です。何よりの力になりますよ。」

 「ううう、タカヒロ……立派になりおって……」


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