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第68話 新しい剣 スターファイター

第5章最終話となります。

 シヴァが気付くまで抱っこしていたが、すぐに気づいてシヴァは体を起こした。


 「……すまぬ、なんか、嬉しさのあまり飛んでおった……」

 「大丈夫ですか?」

 「重ね重ね、すまぬ。いや、ありがとう、タカヒロ。」

 「戻りましょうか?」

 「うむ、名残惜しいが、待たせてしまっているしな。」

 「さあ、立ちましょう。」


 そういって手を差し伸べる。


 「……そなた、オナゴにはいつもそうなのか?」

 「はい?」

 「……いや、よい。何でもない。」


 そんな話をした後、みんなの所、玉座の間へと戻った。

 シヴァは今後の事を、皆に伝える、との事だ。


 「みなの者、待たせた。」

 「シヴァ様、それで今後どうすべきか、なのですが。」

 「まあ、あわてるなマリュー。今からそれを伝える。」


 みんなが固唾を飲んでシヴァの言葉を待つ。


 「まず、タカヒロの能力を最大限まで引き出す必要がある。そのために、アインフリアンへと赴いてもらう。」

 「アインフリアン?」

 「うむ、ここより西方にある魔法国家だな。タカヒロ、そなたにはそこで力をつけてもらう。」

 「シヴァ様、アルチナと申します。その、力をつけるとは?」

 「そうじゃな、タカヒロはまだ魔法に関しては付け焼刃的な使い方しかできないとの事だ。

 それを完璧に行使できるまで高める必要がある、との事だ。」

 「問題解決には、それほどの力が必要、という事なのでしょうか?」

 「それらについても、向こうに行けば分かるらしいな。だが、たぶん、そういう事なのであろう。」


 なんてこった。

 また、何やらバトル的展開が待っている、という事なのか。


 「それで、だ。」

 「ん?」

 「そなたの力は、特殊な使い方をするようだが、今はそのための剣がない、そうだな?」

 「そう、ですね。セイバーも欠けてしまいましたし。」

 「そこで、だ。これを授けよう。」


 そう言ってシヴァが虚空から出現させたのは、細身の長剣だ。


 「剣の名は『スターファイター』またの名を『栄光』という。魔力や魔法そのものを剣に纏わせ、あるいは載せて攻撃できる剣だな。」

 「スターファイター、か。」

 「ただ、この剣は若干扱いが難儀でな、どのような強大な魔力や魔法でも合わせることはできるが、その分自身の魔力は解き放つまで際限なく剣に流れてしまう、というシロモノだ。それ故普通の人間では扱いきれぬ。」

 「それって、魔力を発してから斬るまでの時間に余裕がない、という事ですか?」

 「そうだな、だから、注意喚起のために第一段階で柄が震えて忠告する。第二段階で剣そのものが虚空に弾かれる。」


 剣の名前がスターファイター。

 基本は一撃離脱で速攻用の剣。

 魔力損失というか危険を、振動とキックバックのような衝撃で告知する、と。

 シェイカーとキッカー、か……


 この剣打った人というか造った人というか、誰か知らないけど何か遊んでないか?

 この特性ってマルヨンそのまんまじゃねーか。

 名称もスターファイターだし。

 まぁ、知っている人にしかわかんないだろうけどさ。

 偶然じゃないよな、これ。


 そういや、

 最初の剣がシューティングスター。

 次に手にしたのがセイバー。

 で、今度はスターファイター、と。

 じゃあ、もし次に新しいのを手にすることがあれば。

 名前はぜったいファントムだな、うん。

 賭けてもいい。


 「その剣は、わらわをもってして作製者が不明なのじゃ。まだ隠された仕様もあるやもしれん。が、そなたならきっと使いこなせよう。わらわからの、せめてもの贈り物じゃ。」

 「そうですか……ありがとうございます、シヴァ。」

 「うむ、使いこなしてくれ。」


 「「「「「 シヴァ様を呼び捨てに!? 」」」」」


 「アインフリアンの帰りには再びここに寄るがよい。」

 「はい。」

 「その時にはそなたとの子も産まれておるじゃろうて。」


 「「「「「 !!!!!! 」」」」」


 何やら周囲が騒がしいけど気にしない。

 もう、気にしたら負けのような気がしてきた。


 話は終わり全員が下がって、玉座の間にはシヴァと魔王だけが残った。

 ひどく疲れた様子のシヴァは、一大イベントを終えた安心感からか、脱力している。


 「ああ、疲れたのぅ。こんなに疲れるとは思わなんだ。」

 「まぁ、色々とあったが、結果としては良かったんじゃないか?」

 「うむ、そうじゃのう。しかし、何故ああもタカヒロの前だと色々とうまくいかないのであろうな。」

 「そりゃな、その、あれだ。お前があいつに惚れているから、だろうな。」

 「うーむ、大精霊の女王たるわらわが人間に惚れるなど、信じられんのだがなぁ……」

 「そんなもんだと思うぞ。というか、お前にそんな感情が芽生えたってのが、なぁ。」

 「何故なんじゃろう、わらわにも分からぬ事があるとは……」

 「それが、人間の言う“一目ぼれ”ってやつなんだろうな。理屈じゃないんだろ。」

 「ともあれ、タカヒロに辛い思いをさせるのはわらわも心苦しいのぅ。」


 シヴァとの謁見を終えた俺たちは早速、アインフリアンへと向かう事になった。

 ただ、シヴァ曰く


 「あの英雄たちも連れて行った方が良いの。」


 との助言もあったので、一旦龍族の里で合流するため待機となった。

 魔王がそのまま魔王城まで飛んで行ってくれたので、連絡は早めについた。

 なので、4日後には合流できるだろう。

 でという事で龍族の里で休んでいる所なのだが……


 「説明していただけますか。」


 なんか、みんなが怖い。

 説明とは?

 何を?


 「シヴァ様との子って、どういう事よ?」

 「最初の子は私と、約束なさってくれたのに……」

 「タカヒロ、節操なさすぎにもほどがあるんじゃない?」

 「よりによって、なぜシヴァ様に手をお出しになったのですか?」

 「タカ、これはもう私達だけの問題じゃなくなってくるのでは?」

 「タカヒロって、凄いんだねー。」

 「ヌシはやっぱり誑しなのじゃな。まぁ、そんな気はしておったが。」

 「私達を待たせて。放置して。ヤッてた?」

 「まてまてまてまて!ちょっとまて!」


 リサとサダコ以外、みんな頬を膨らませ「どういうことだオーラ」を放っている。


 「えーと、ちゃんと説明する。説明するけど、みんなが想像している事とは違うからな、たぶん。」


 「「「「「 説明してください!! 」」」」」


 俺はシヴァとの話を包み隠さずみんなに話した。

 さすがに納得するには内容もアレなのだが、こればっかりは事実なので仕方がない。


 「何か釈然としないけど、アンタだし、あの雪ん子の事もあったしねー。」

 「タカヒロはそれでシヴァ様まで妻にする気なの?」

 「それはない!」


 まぁ、問答は続いたがなんとかみんな納得してくれたようだ。

 まあな、あのシヴァがキスで子供ができるなんて信じている乙女だとは、だれも思わないだろうしな。


 と、そんな一幕はあったものの、待機中は特に何もなかったのでしっかりとスターファイターを使っての鍛錬も捗った。

 何というか、この剣、見た目以上に軽い。

 軽いのだが、一撃が凄く重たいそうだ。

 剣の相手はフランがしてくれているのだが


 「膂力じゃない重さが乗ってくる。」


 だそうだ。

 細い長剣だから振り回しはそれほど使い易くはないが、それだけに剣技に工夫を凝らせる。

 こんなところも、マルヨンみたいだな。


 さすがにあのシェイカーとキッカーは試すことはできなかった。

 一度微量の魔力を載せて岩肌に向け放ったのだが、破壊力がハンパなかった。

 これでは鍛錬とはいえ、手合わせする相手を傷付けてしまう事請け合いだとおもった。

 これは後で魔王と試そうと思った。

 魔王なら平気だろ、たぶん。


 そうして数日後、ファルク達は合流した。


マルヨン=ロッキードF104Jスターファイターの事です。

次回から第6章突入。

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