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第13話 サクラの想い

 初めて見た時から、不思議な雰囲気の人。

 彼の姿を目にした時、思わず魅入ってしまっていたのは何故なのでしょう。

 どこか、お父様に似た雰囲気があったのでしょうか。

 でも、どう見てもその風貌はお父様とは似ても似つかない顔立ちでしたけど。


 あの邂逅の日。

 拠点へと戻る道すがら、あの人の事を見ていた。

 とても不安そうな、でも、飄々としているような、それでいてどこか芯の強さを持っているような。

 私には的確にあの人を表現することができない。

 唯一、言える事は、あの人に信頼を寄せる事は間違いではないという事。

 何の根拠もありませんが、直感、いいえ、心がそう言っていたような気がします。


 あの人が担ったという、使命。

 いったい、どのようなものなのでしょう。

 それは、私達にも関係してくるのか、あるいは、もっと大きなものなのでしょうか。


 にわかには信じがたい、過去の世界から来たという話も。

 あのカスミさんという、姿のない方との会話も。

 シューティングスターをあのように扱えるという事実も。

 ヘビを助けた、あの優しさも。

 時折、私に向けるあの笑顔も。


 あの人の全てが、私の心を揺さぶる。

 いいえ、これは私が揺さぶられているだけなのかも知れないですわね。

 奥様に先立たれたという事ですけど、その奥様に惜しみない愛情を注いでいたんでしょうね、きっと。

 そんなあの人が、私を気に掛ける事は無いのかも知れません。

 それでも、私はあの人が、とても気になります。

 この気持ちは、何なんでしょう。


 いつだったか、妹が「一目惚れ」などと言っていましたね。

 ローズも、そんなロマンティックな恋物語をしてみたい、なんて言っていましたし。

 これが、それなのでしょうか。


 しかし。


 私は、今の私には為すべき事がある。

 山賊団のリーダーとしてではなく。

 私の、私達の行動全ての理由、その悲願を。


 正直申しますと、私達だけでは不安がありました。

 でも、あの人が現れた時、不思議とその不安が無くなっていたのも理解しました。

 あの人は、そんな不思議な、それ以上に、今の私にとって大切な人、のように思えます。


 ならば。


 あの人には、私達の本来の姿、本当の目的を、詳らかにしないといけない。

 それを伝えたら、伝えてしまったら、あの人は私の元から去っていくかも知れません。

 でも、秘密にしているのも、あの人を騙す事になってしまいます。


 私のこの気持ちは、正直な所わかりません。

 ですので、この想いは伝える事はできません。

 でも、私達の正体、私達の目的は、正直に伝えなければなりませんね。


 とても怖い。

 なぜ怖いのかもわかりません。

 でも、言わなければ……



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