モンスターズジェネレート9
モンスターの発生源探索計画が発動してから2か月が経った。
その間にローズは赤ちゃんを無事出産した。
可愛らしい女の子だ。ローズに似て美人になるだろうなぁ。
そう言うとすかさずサダコは
「主様はアレよの。前魔王殿以上に親バカじゃな。」
「……い、いいじゃん、親バカで。」
「ぬははは、それでこそ主様じゃな。」
だって、なぁ。
カワイイんだもん、仕方ないだろ。
という事もあったが。
この間、40回を超える襲撃があったが、結果的にこれら全てに俺達が対処した。
時には1日2回も出撃するという事もあったので、俺は兎も角シャヴィの負担はかなりの物となってしまった。
しかし、そのお陰で発生場所の特定はかなり的を絞る事ができたのだ。
「とはいえ、これはちょっと、なぁ。」
「旦那様、これは的が絞れた、と言ってよいのでしょうか?」
「うーん、どうだろうか。」
「あなた、これはどう考えても海の中、ですよ?」
「だよなぁ、やっぱり。」
モンスターが拠点としていた場所、そこから抽出した徘徊ルートなどを精査した結果、この大陸で出現するモンスターは殆どが海から這い出てきた形跡があった。
上陸地点は概ねまとまっていて、大陸とジパング島の間、以前ゲートへ向かう時に立ち寄った港がある町に近い場所だ。
そして、その線上は、いわゆる日本海西部だ。
「とはいえ、海底を虱潰しにってのも、かなり無理があるよな。」
「私は泳げるよ?」
「リサ、泳ぐだけならいいんだけど、深くまで潜らないといけないんだよ。」
「そーかぁ。」
「空なら私は自由に動けるが、海中は無理だな。」
「海底を自由に動ける手は、何かないもんかな……」
「あれだね、潜水艇とか有るといいかもね。タカヒロ造れる?」
「いや、流石に無理だ。水圧に耐える様な構造物のノウハウは無い。」
「あのね、マーメイドの友達がいるけど、海の中って暗くてよく見えないんだって。」
「ピコにそんな友達がいるのか。というか、マーメイド?」
「うん、最近はあまり会ってないけどね。」
ともかく、海中、あるいは海底に発生源があるっていうのはほぼ確定で良いだろう。
問題は、どうやってそこまで行くか、だな。
ただ潜るだけなら、ブラックホールの応用である程度は潜行はできるだろうけど、活動となると難しいな。
「何れにしても、これは魔法で何とかするしかないが、この手の魔法って誰が知ってるんだろうな。」
「申し訳ありませんが、魔族にはその手の魔法を知る者は居ないかと思いますが……」
「我ら龍族も同じだな。聞いたことは無い。」
「となると、頼みの綱は姫神子かシヴァ、だな。よし、今からシヴァの所へ行ってくる。」
「今から、ですか?」
「もう日も暮れるから、ラファールの所はまずいだろ。シヴァなら昼夜問わず謁見できるしな。」
「とと様、かか様は良いって。」
「そうか、じゃあ早速、とはいえ、シャヴィは疲労が溜まっているしな。」
「タカ、私なら大丈夫だぞ。」
「いや、大丈夫じゃないだろうよ。少し顔に出ているぞ。お前の顔を曇らせたくはないんだよ。」
「タカ……」
「まぁ、主様はいつも通りじゃの。」
「そうですわね。いつも通りです。」
「えーと、何が?」
という事で
「任せるがよいぞタカヒロ。わらわが乗せていこう。」
「すみません、ピラトゥスさん。」
「姉さま、わかっています、よね?」
「心配するでないシャヴィ。わらわとてTPOは弁えておる。」
「あの、何でそんな言葉知ってるんですか?というか、何が?」
ほぼ深夜帯にシヴァの城へと到着した。
同行している雪子とカスミはもう眠そうだ。
「ありがとう、ピラトゥスさん。」
「なに、お安い御用だ。」
「じゃあ、行こう。」
対応してくれた侍女は、俺達をそのままシヴァの私室に案内した。
「女王さま、タカヒロ様がお越しになられました。」
「失礼します。」
「おお、タカヒロ。来てくれたのじゃな?」
「あ、あの、その姿は?」
「うむ、これはわらわの寝間着じゃ。どうじゃ、うん?」
シヴァはネグリジェとかいうのを着ている。
何と言うか、裸体が透けて見えて、すごくとてもかなりセクシーなのである。
目のやり場に困る、というか、ピラトゥスさんの目が点になっている。
「まぁ、楽にするがよいぞ。そこへ座ってくれ。」
「本当にすみません、シヴァ、こんな夜更けに。」
「よいよい、タカヒロの為ならば!」
「それで、話なのですが……」
「うむ、わかっておる。海の中で行動できる魔法、じゃな?」
「はい。」
「あるぞ。」
「そうですか、無いので……え?あるって?」
「うむ。そなたなら使いこなせよう。」
「そ、それって、どうすれば?」
「わらわの情報をそなたに転送すれば済む話じゃな。」
「転送って、まさか?」
「ささ、タカヒロ、立って目を瞑るのじゃ!」
雪子とピラトゥスさんのいる前で、シヴァは舌まで使ったホットでディープなベーゼを交わしてきたのだった。