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モンスターズジェネレート7

 領主邸に隣接する総合庁舎、その会議室に、俺の家族、そして関係者が集合した。

 ローズは部屋で休んでもらっているので、それ以外のメンバーは全員集合だ。


 「みんな、忙しい所申し訳ないな。ところで。」

 「ん?」

 「なぜ、ピラトゥスさんがここに?」

 「タカ、すまない。姉さまがどうしても、と……」

 「タカヒロ、邪魔はせん。気にせず進めてくれ。」

 「あ、いや、いいんですけど……じゃ、じゃあ始めよう。」


 昨夜、俺が気付いた事を経緯と共に話した。

 そして


 「つまり、今のモンスターは“軍団”である可能性が高い。という事は、これはモンスター軍との戦に発展する恐れがある。」

 「あなた、それはもはや私達だけで対処できる範囲を超えている、という事ですか?」

 「今回集まってもらったのは、まさにその点なんだよ。」

 「どういう事じゃ?まさかそれを各国へ進言し軍を出してもらう、という事かの?」

 「いや、逆だよ。危機感は持ってもらうにしても、戦なんてして欲しくはない。」


 「タカヒロ様らしい話ですが、実際はどうなさるおつもりなのですか?」

 「アルチナ、これにはエイダム、それから、シヴァや姫神子、あ、ラファールだな。それにファルク達の協力が必要になる。」

 「タカヒロ、まさかアンタ。」

 「察しが良いなカスミ。そう、俺達だけで対処する。」

 「しかしタカ、発生源の特定もままならない状況で、どう対処するつもりなんだ?」

 「それを今から説明するよ。」


 まぁ、そもそも各国の軍勢はモンスターへ対処する為に装備されていると言っていい。

 ただ、それはあくまでも自国の防衛に特化していると言えるので、遠征や派兵などで国を空けるのは現状不可能だろう。

 という事は、戦力としてこの星のあちこちを移動して行動できるのは、実質俺達だけだろう。


 「まずはその発生源の特定が急務でもあるけど、今それを実行している調査団では恐らく時間がかかりすぎると思う。」

 「それはどうして、なのですか?」

 「今回暴れているモンスターは知恵を持ちはじめた節がある。ある程度とは思うが隠密行動をしている可能性があるんだよ。」

 「隠密?」

 「フラン、例えば忍びが敵地へ侵入するとき、あからさまに行軍とかはしないんじゃないか?」

 「はい。連携を取りつつも、集合場所と隊形をあらかじめ決めて、それまでは各個に見つからないように移動します。というか、なぜ旦那様はそれを知っているのですか?」

 「ん?ああ、その手の知識は俺にも多少はあるさ。そういうドラマや映画、アニメは結構観てたからな。」

 「ドラマ?」

 「映画?」

 「アニメ?」

 「あー、今はそれはスルーしてな。後で教えるよ。で、だ。」


 昨夜の話では、襲撃を終えたモンスターは何処かへと消えた。

 軍勢だとすると、どこかに拠点を置いているかも知れない。その拠点の場所を余さず特定していけば、発生源の推定も出来るんじゃないか、というのが俺の推論だ。

 ただ、いつどこに出没するかも不明な現状、まずはそれを何とかする必要がある。


 「そこでエイダムやシヴァの協力が必要になるんだよ。」

 「タカ、つまりそれは“監視網”を張る、という事か?」

 「そう。常時監視で発見次第そこへ急行しある程度数を減らす。逃げる個体が出ればそれを追跡し拠点を特定、有用な情報が得られれば、そのままその拠点は排除する、って感じだな。」

 「それで関係者の協力、ですか。」

 「そういう事。ただ、これにも難点が一つある。」

 「というと?」


 この作戦は、モンスターを発見できたとして、こちらへの連絡、それを受けてからの出撃、接敵まで、かなりのラグ、つまり時間がかかってしまう。

 発見して即応できなければ、被害を大きくするだけだし、接敵できずに逃げられるだけだろう。


 「それでしたら、私の使い魔伝達能力と空間移動魔法で緊急発進は可能ですが。」

 「それだと、アルチナに負担がかかりすぎる。お前に負担はかけたく無いんだ。」

 「タカヒロ様……」

 「対応時間は早い方が良いのは当然だけど、猶予は20時間以内なら有ると思う。根拠はないけどな。」

 「タカ、足止め程度なら龍族でどうとでもできるぞ?」

 「なので、こちらもそうした仕組みを決めて組織だった行動が必要ってことなんだよ。それぞれの役割を決めてさ。要は役割分担だな。」


 という事で、その組織構成と仕組み、役割分担を決めていく。

 と

 

 「タカヒロ。」

 「何?ピラトゥスさん。」

 「それだと、現場へ急行するには足の速い移動方法が必要、という事であるな?」

 「そうですね。もっとも、現場へは俺とシャヴィだけで行こうと思ってますけど。」

 「戦力はある程度余力も必要であろう。ならば、わらわもそこに参加させてもらえないだろうか。」

 「そ、それは有り難い申し出ですけど……」

 「確かに、姉さまならば私と同じ速度で飛ぶことができるけど……」

 「シャヴィが世話になっているし、温泉も自由に頂いているのだ。せめてもの感謝の現れと思ってくれ。」

 「姉さま、本当にそれだけなのですか?」

 「……そうだぞ?」

 「今の間は?」

 「ま、まぁ、確かにそれも一理あるし、迷惑でなければお願いしても良いですか、ピラトゥスさん。」

 「お願いしてるのはわらわなんだが。では、参加という事で。」


 こうして、監視統制役にアルチナ、情報整理にピコとカスミ、アラート対処は俺とシャヴィ、ピラトゥスさん、雪子、そしてルナ、という事に決まった。 

 サクラとフランは俺不在時の領事代行、サダコとリサはその補助だ。

 これ以外に、CAP、いや、空じゃないのでCP(戦闘警戒監視)か、それにはエイダムとラーク、それに各国の人員を借用し、連絡はケンシロウたちが向こうから持ってきた短波無線機を使う事にする。

 CP任務だけでかなりのコストが掛かるが、これは各国との交渉でなんとか安くしてもらおう。

 何しろ人々の安全が掛かっているんだしな。とはいえ、それは俺の交渉次第、か。


 「ちょっと待てや!」

 「あれ、ウリエル。やけに大人しいと思ったら、どうした?」

 「どうした、じゃねぇよ。アタイはまた仲間外れかよ?」

 「は?何言ってる。もちろん俺と一緒に行くに決まってるだろ?」

 「あ、そ、そうか。いや、じゃあ最初から言えやバカめ!」

 「えー、そんなん、俺とお前の仲なんだ。言わなくても当然だろうよ。」

 「うぅぅ……」


 そういや、ここの所ウリエルを装着しての討伐ってしてなかったもんな。

 退屈させてたのかも。ごめんな。


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