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モンスターズジェネレート4

 シヴァの城で一泊した翌朝。


 「じゃあ、行くよ、シヴァ。ありがとうございました。」

 「また何かあったら、いや、何もなくても来ておくれ。待っているぞ。」

 「あはは、わかりました。」


 何となく寝不足気味のようなシヴァにそう言って、俺たちはイワセ温泉郷へと戻った。

 ちなみにエイダムはあの後すぐにデミアン領へ帰っていった。

 デミアン領でもモンスターの動きは活性化しているようで、それも以前よりも脅威度は高くなっているんだそうだ。

 いかにエイダムが魔王としての強さを持っているとはいえ、モンスターの出現頻度が上がればエイダムの負担も大きくなる。

 俺が応援に行けるのも限りがあるので、マオが持つ「魔王能力」が必要になった、というのが今回のシヴァとの話に繋がったそうだ。


 エイダムもかなり強くなっているんだけど、その他の魔族の人たちまで強化できているかというとそうではない。

 何故なら、魔族はもはや人間との共存に主軸を置いている。

 戦闘に特化した種族でさえ、街づくりと生活圏の構築で忙しく、そこに襲来するモンスターを追い返すので精一杯なのだそうだ。


 「なぁ、シャヴィ。」

 「うん?」

 「ロプロス領辺りでもモンスターの出現頻度は高くなっているんだろう?」

 「そうだな、お母様と姉さまがいれば問題はないのだが、如何せん出現する範囲が広いうえに頻度も高くなっているのでは手一杯、という所だな。」

 「そういえば、お前のお姉さんのピラトゥスさん、最近よくイワセ温泉郷に来てるな。」

 「ん、あ、あぁ、なんでもイワセの湯は美容に良いとか言ってな、ロプロスの湯とは違う、とか言っていたな……」

 「へー、泉質が違うのか。それもそうだな。」

 「あー、あのな、タカ。姉さまには注意してくれ、な。」

 「ん?それはどういう……」

 「そのうちわかる時が来る、と思う……」

 「ね、シャヴィ。それってまさか?」

 「あー、雪子が思っているそのまんまだよ。」

 「へー……」


 何の話してんだろ?



 領主邸へと戻り執務を終わらせてから、ひとまずモンスターに関する情報を整理しようとした。

 もう一度基本に立ち帰り、出現場所、その数、動向などを統計的にまとめてみた。

 すると、一つのパターンが見え隠れしている事に気づいた。


 「これは……」

 「タカヒロ様、どうしました?」

 「ああ、アルチナ、これはさ、一件バラバラに見えるけど、実はほぼ全てが関連しているようにも見えるんだよ。」

 「と言いますと?」

 「出現場所っていうのは、あくまでも初めて視認された場所であって、発生場所じゃない、よな?」

 「そうですわね。残骸からの再発生は別としましても、発生した現場というのは誰も見ておりませんね。」

 「で、その出現場所、つまり発見場所を時系列でみてみると……」

 「あ!」

 「な?、でも、これだけでは情報は足りないな。」


 世界を北半球と南半球、日付変更線を延長し東西で分けて4分割してそれぞれを比較する。

 すると、その内の2か所から時系列的に波紋のように出現場所が広がっている事に気づいた。

 この大陸がある面と、その対になる面、つまり南米大陸側だ。

 しかし、それでもそれぞれの差は少ないので確定はできないが。


 「こちらは兎も角、南米大陸の情報が殆どないからなぁ。」

 「ねぇ、タカヒロ。」

 「ん、どうした、ローズ?」

 「あっちの大陸って、北と南じゃ人口も全然違うんでしょ?」

 「そうなんだよなぁ。」

 「それだと、これじゃ正確な情報とは言えないよね?」

 「ああ、南米は兎も角、北米はその半分以下の人口だしな。目撃頻度で考えると、正しくはない、よな。」


 北米大陸はそもそもメテオインパクトで大打撃を受けた大陸だ。

 隕石衝突に加え、保有していた核兵器が隕石によって誘爆したからだ。

 大陸の半分は壊滅、陥没、水没し、人間が住める場所は極端に少なくなっている。

 そして南米は同じく被害は受けたが北米ほどではなく、北米からの避難民もあって南北の人口差は大きいのだ。


 「ちょっと、これは調査する必要がある、けど……」

 「あなた、これはもう私達だけで動くのは難しいですね。」

 「そう、なんだよな。そもそも俺達は向うの大陸との繋がりは無いしな。」

 「向うの大陸との窓口として機能している国は、ロマリア連邦、あるいはジパングですね。」


 サクラは王女時代、そういう話は聞いていて南米大陸に興味を持って調べた事があったらしい。

 とはいえ、ラディアンス王国とは国交すら樹立していなかったので得られた情報は少なかったそうだ。


 「となると、国家レベルでの調査が必要だな……」

 「旦那様、それなら私が」

 「だけどフラン、ジパングにそんな負担をかけるなんて……」

 「旦那様には言っていませんでしたが、ジパングにはそうした調査や諜報に特化した組織があります。その者達なら適任ではないかと。」

 「そうなのか?」

 「はい。私が所属していた組織で、指揮権は現在も私が持っています。」

 「もしかして、忍軍、とか?」

 「……旦那様、なぜそれを?」

 「あ、いや、冗談のつもりだったんだけど、本当だったのか。」

 「旦那様、やっぱり恐ろしい……」


 こうして、ジパングの調査団により南北アメリカ大陸の調査が開始されたのだった。 


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