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モンスターズジェネレート3

 「さて、行くか。」

 「とと様、眠いの?」

 「ん、ああ、ちょっとだけ、な。」

 「ま、まぁ、私のせいでもあるからな、今日は載せて飛んでいくのでそれで、な、タカ。」

 「ああ、むしろ済まないね。」

 「……とと様、今日はアタシだよ?」

 「もちろん!判っているとも!」

 「えへへ」


 そんなやり取りをしつつ、フリーズランドを目指して出発した。

 シヴァがいる所までは1時間程で到着した。

 シャヴィの飛行能力はあの時からは数段向上していて、普通に時速2,500km、つまりマッハ2を軽く出してくれる。

 さらにシャヴィの周囲には魔力で防壁が展開されるので、背中に乗っていても気圧や風圧の影響を全く受けない。

 たまにシャヴィにお願いして空を飛んでいたりもするが、衝撃波の問題や外聞もあるのでそれは元魔界のデミアン領やシャヴィの故郷のロプロス領でしかできない。

 

 「さ、ついたぞ、タカ、雪子。」

 「ありがとうな、シャヴィ。」

 「ありがと、シャヴィ!」


 シヴァに会うのも3か月ぶりか。

 なかなかここには来れないので、気軽に会うってのは難しいな。

 城に入り玉座の間までの道中で、意外な人物に出会った。


 「ん?エイダムじゃないか、久しぶりだな、どうしたんだ?」

 「おお、タカヒロ!久しぶりだ。実はな、シヴァ様に相談に来たんだよ。」

 「奇遇だな、俺もなんだよ。もしかして、モンスターの件か?」

 「あぁ、それもあるが、本題は別なんだ。」

 「そうなのか。じゃあ、どうしようか、エイダムが先に謁見したほうが良いな。俺たちは待つよ。」

 「いや、タカヒロも一緒でかまわんぞ。」

 「でもそれじゃ、シヴァも大変じゃ……」

 「とと様、かか様は良い、だってさ。」

 「そ、そうか。じゃ、一緒に行くか。」


 そうして、エイダムと一緒にシヴァの元へと歩いた。


 「タカヒロ!久しいな!」

 「久しぶりです、シヴァ。」


 満面の笑みを浮かべて歓迎を表現するシヴァ。

 心なしか、いつもよりゴキゲンな気がする。


 「エイダムも久しいの。まぁ、お前の相談は解っておるぞ。」

 「あ、有難うございます、シヴァ様。というか、解っている、とは?」

 「うむ、要件は父であるマオの能力に関して、じゃな?」

 「は、はい、その通りです。」


 元魔王、つまりエイダムの父はあの一件の後行方不明となった。

 後日、地球の意思であるエルデが俺やアルチナ、エイダムにその失踪の理由を話してくれたのだが。

 

 「あの能力はの、実はいまだにマオの元にある。がしかし、マオ自身は現在その能力を必要としていないのじゃ。」

 「と、言いますと……」

 「うむ、もはや異世界とでもいうべきか、あちらの世界ではその能力が無くても充分力も出せるし、むしろ出す必要もないそうじゃ。」

 「シヴァ、あちらの世界、というと?」

 「ミトが帰った世界じゃな。もはやあちらはこの世界のような流星群との衝突での悲劇は回避された。」

 「そうなんだ……」

 「つまりじゃ、あちらの世界では、魔王はもうその力を必要としていないそうじゃな。」

 「では、父上はなぜまだあちらに?」

 「うむ、実はな、もうこちらへ帰る術は無いのだそうじゃ。魔王はミトと同じく、あちらで生を全うする事になるの。」


 ミトやヤマトが、違う世界とはいえ無事だという事がとても嬉しい事ではある。

 でも、エイダムやアルチナの事を考えると、なんだか申し訳ない気持ちもある。


 「それで、じゃ。」

 「は、はい。」

 「今エルデがその世界との繋がりを探している最中じゃ。彼の者たちの帰還は無理でも意思の伝達くらいは可能ではないか、とな。

 そうなれば、マオの能力の移管も可能なのではないか、という事らしいの。」

 「そう、ですか……」

 「うむ、確実で無い上に何時になるやも知れぬが、目途が付いたらわらわからそなたに話をしようぞ。」

 「ありがとうございます、シヴァ様。」

 「うむ、で、じゃ。」


 シヴァは俺に向き直り


 「タカヒロはわらわに逢いに来てくれたのであろう?」

 「えーと、そうなんですけど……」

 「嬉しいぞタカヒロ!ささ、共に愛の巣へ行こうではないか!」

 「あの、シヴァ?どこでそんな事覚えてくるんですか?」

 「うん?雪子から仕入れた情報じゃぞ?というか、それはタカヒロが持っておった情報じゃぞ?」

 「……ご、ごめんなさい。」

 「あはは、まぁ、それはまた後でな。で、話は分かっておる。あのモンスターの事じゃな。」

 「はい、何か新たな情報が判れば、と思って。」

 「実はの……」


 シヴァは先日のルナとウリエルとの話を教えてくれた。

 

 モンスターは本来、この星の生態系にはない生き物、というか物体なのではないか、という憶測をしていたそうだ。

 俺達には解らない、というか俺達とは世界の見え方が違うシヴァ達から見ると、明らかにこの世の理とは外れた存在らしい。

 ただ、現実に物理的に顕現していて、特に人間に対して敵意を持っているという事から、人間とは無関係ではない、という点で意見は纏まっているという事らしい。


 「シヴァ、それって以前のジーマの世界との関連っていう線は薄い、という事ですか?」

 「うむ、そうじゃの。ルナが違うと言っている以上、関連性は限りなく薄いかも知れぬな。」

 「てことは、この世界で完結している話、ですね。」

 「そうじゃな、ともかく、わらわですらその根源を見出せないレベルの話じゃ。根は相当深く、幾つもの現象が重なっているやも知れぬな。」

 「そうですか……」

 「タカヒロ、そなたはそれを解決する気でいるのじゃな?」

 「そう、ですね。放っておくわけにも行きません。人々に危害を加えている以上、それは阻止しないと。」

 「そういう所はやはりそなたらしいな。ますます好きになってしまうではないか。」

 「いや、それは……」


 結局のところ、シヴァからの情報も特に解決へ繋がる話は得られなかった。

 ただ、この世界だけの事、という事は必ずこの世界にその真相が隠れているはずだ。

 まずは、その取っ掛かりを探る事に集中してみるか。


 「ありがとう、シヴァ。」

 「うむ、あまり力になれなくてすまぬのう。で、今夜はわらわと過ごしてくれるのであろう?」

 「そ、それも良いですけど……」

 「かか様、それはダメです。今宵は私がとと様と一緒に過ごすのです。」

 「そ、そうなのか。うーん、それは仕方がないのぅ。」


 シヴァも雪子には強く出られないんだな。

 雪子、恐ろしい子……


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