モンスターズジェネレート2
昨日のモンスター討伐の報告書を纏めている最中、ふと、ここ最近のモンスターに関する情報を整理しようと思った。
出現場所に関しては、大陸全土に及ぶが若干偏りが伺える。
大陸の西側での出現が多いのだ。
あの“星の危機”以前は北東に集中していたと言われているが、これについてはその当時の情報が欠落している物も有る為何とも言えない。
が、出現頻度に関しては、明らかに多くなっている。
あの当時はモンスターも、いわゆる害獣も一緒くたになっていたので数字的には過去の方が多いはずなのだが、現在はモンスターは個別に集計しているにも関わらずその数は増えている。
もちろんアーマーではないのは確実だが、心なしかそのアーマーに形状が寄っている気がするのは気のせい何だろうか。
「とと様、昨日のモンスターって、この前サクラが退治したのと同じなの?」
「雪子、そうだな。全く同じ、といってもいいと思うよ。」
「でも。今回は数が多かったんだよね?」
「そこなんだよなぁ、しかも、数体が連携して攻撃をしてきたってのが、な。」
「かか様も、何かモンスター達の動向が気になるって言ってたよ。」
「シヴァが?」
「うん、ルナやウリエルと、そんな話をしたってさ。」
ウリエルは現在、人の姿になって顕現している。
以前の話では、装備した者、つまり俺から外れる事はできないとの話だったのだが、真の所有者であればそういう事はないのだそうだ。
なので外して執務室に飾ってあったのだが、どうも暇していたようだ。
ウリエル曰く
《ルナがそんな姿で居られるんなら、アタイだってイケるはずだ!》
とか騒いで、どういう経緯かは知らないが人の姿になったのだ。
まぁ、アイツらはそもそも人間じゃないし、ひょっとするとそういう存在になっているんだろうから気にはしていないが。
唯一心配というか困ったのは、アイツも性別がないはずなのに人間の姿はとびきりの美女になりやがったのだ。
俺の妻たちはともかく、実情を知らない者がルナとウリエルを見たら大混乱必須だろうな、たぶん。
アルチナが持っている“魅了”の能力まで備えているらしいし。
という事で、一応アイツらはこの領地内では外出禁止としているのだ。
とはいえ、そんな事お構いなしに普通に街に繰り出しているので困ったものではある。
ま、外出時はその能力も消し外観もフィルターをかけているようなのでそこまで騒ぎになることはないので実質放置状態だ。
「それでユキ、ルナたちは何か言ってた?」
「あのね、以前の姿かたちとは明らかに変化しているのと、出現場所が一か所だけじゃないのかも、って言ってたよ。」
「ねぇ、タカヒロ。ゲート以外であっちの世界との繋がりって、あったのかな?」
「いや、それは俺も考えたんだけど、そもそも現在はあっちの世界そのものが無いからなぁ。カスミ、何か気になる事が?」
「うーんとね、あのダルシアが所持してたアーマーの出所って、結局不明なのよね?」
「そうだな、調べてもわからなかったな。」
「今のモンスターの発生源も不明なんでしょ?」
「うーん、そうだなぁ……」
「もしかすると、何か関連性があるのかも、って思ったのよ。」
「ちょっとその線も、もう少し深堀してみるか。」
「ところでさ。」
「ん?」
「夕べはアタシ待ってたのに来なかったわね。」
「あー、ごめん、夕べはシャヴィと一緒に居た。」
「さて、どう落とし前つけてくれるのかなー?」
「……ごめん。」
「じゃあ、今夜はアタシも一緒に、だよ。」
「ア、アルチナにきちんと言っておくよ……」
そういう時も結構あるんだけど、フォローが大変なのです。
隣の机で執務しているサクラとローズが苦笑いしているのが心苦しい。
と、気を取り直して。
そうなると、一度シヴァに相談してみるのも手だな。
とりあえず執務を片付けて、明日行ってみるか。
そうして、数日分の仕事を夕方にかけて全て処理した。