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モンスターズジェネレート1

本編最終話のその後のお話です。

若干本編の謎が解き明かされる、かも知れません。

ちょっぴり切ないお話になってしまいましたが、次作品への伏線もあったりなかったり。

 ネリス公国から南へ少し行った海岸。

 稲作が盛んなちょっとした集落があり、“ネリス公国の食糧庫”とも呼ばれる程の収穫量を誇る。

 そんな集落に、今最大の危機が迫っていた。


 「お疲れ、シャヴィ。ひとまずはこんなもんかな。」

 「そうだな、しかし、まだこれ程多くのモンスターが出没するとは、ね。」


 俺はシャヴィと共に、この集落周辺に出没したモンスターの討伐に来た。

 シャヴィは国を跨いでの治安維持、特にモンスターに対しての討伐を請け負っている。

 もちろん、所属としてはイワセ温泉郷なので依頼は必ず俺を通して、となる。

 その今回の依頼、これまでと違っていたので違和感を覚え、こうして俺とシャヴィのタッグで出向いたという訳だ。


 「なぁ、タカ。」

 「うん?」

 「こいつら、今までのモンスターと違って、組織だった動きをしていなかったか?」

 「お前もそう思った?」

 「という事は、タカも、か?」


 基本、モンスターたちは集団行動はしない。

 そういう知恵というか知能はない、というのが常識だったのだ。

 なので、今回のモンスターの行動に凄く違和感を覚えた。


 「これってさ、もしかしてエルデが正常に戻った影響なのかな?」

 「いや、そうとも言い切れないのではないか?事実、以前もモンスター数体で連携した行動はあったぞ。」

 「そうなのか?」

 「もっとも、その時は北の果てで、私達龍族相手だったから、かもしれないがな。」


 とはいえ、いずれにしてもレアなケースであることは間違いないんだな。


 「うーん、何かスッキリしないけど、とりあえずこいつらを処分して長に報告しようか。」

 「そうだな、じゃあ、私のブレスで」

 「いや、俺がやるよ。」


 モンスターの残骸は放置しておくと再生というか、別のモンスターが発生する。

 なので灰にする必要がある。

 俺は魔法を放って焼き尽くした。

 もはや普通じゃない魔法だ。塵も残らず消失した。


 「いつもながら、タカの魔法は規格外だな。恐ろしいよ。」

 「……まぁ、自分でもそう思う。」


 そうして、集落を纏めている長の所へと向かった。


 「ありがとうございます、これで安心して生活ができます。」

 「いや、礼には及びません。しかし、警戒は続けてください。また襲撃してくる可能性はありますので。」

 「はい。しかし、なぜこんな集落にまでモンスターというのが来たのでしょうか?」

 「それは俺達にはわかりませんが、いずれにしてもどうにかしないといけませんね。ひとまず、俺達は引き揚げますがよろしいですね。」

 「本当にありがとうございました。謝礼は後日お送り致します。」

 「いや、それは……」

 「わかっております、ですが、今年のお米は良い出来ですので、是非。」

 

 モンスター討伐は無償で行っているので、そうした謝礼は受け取らない、差し上げないのが暗黙のルールだ。

 だが、ここは“ネリス公国の食糧庫”というだけあってお米がとても美味しいのである。

 しかも、不思議な事にここの稲は日本米なのだ。

 今年は豊作だったそうなので受け取らない理由はない。なので銀貨という物数枚と物々交換した。


 ちなみに、以前は“魔獣”と呼ばれていた害獣やモンスターは、今ではモンスターで統一されている。

 もはや魔族と人間との垣根は取り払われたので、魔獣という呼称は適切ではない、という理由で、全世界の国家が御触れを出したのだ。

 

 そんなこんなでイワセ温泉郷へと帰ったのだが、時間はすっかり深夜になっていた。


 「ちょっと疲れたな、取り合えず書類作成は明日にして、汚れを落としてゆったりしようか。」

 「うん、そうだな。そう言えば、タカと二人きりで入浴も久しぶりだな。」

 「そういやそうだな、ゴメンな、なかなか時間作れなくて……」

 「あはは、いいんだよ。一緒に居られるだけで充分さ。でも……」

 「うん?」

 「今夜は私と寝られる、のだろう?」

 「ああ、もちろんだよ。でも、寝られるかどうかは保証しないけどな。」

 「……バカめ。」


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