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第1話 プロローグ

主人公はチート、ハーレム要素アリ、ファンタジー要素強めとなっています。

全編を通して、泣き虫主人公の泣き虫っぷりをご堪能ください。

 えーと、訳がわからない。


 何で俺はこんな森林の、舗装もされていない道端に、たった一人で佇んでいるんだろう?

 つい今の今まで、亡き妻の墓参りからの帰りの真っ最中、息子と娘と3人で駅前の交差点で信号待ちをしていたはずなんだけども。


 そういや信号待ちの中、突然苦しくなって目の前が暗くなって体中に痛みが走って、それから気が付いたらここで蹲っていたんだっけ。


 というか、だ。

 ここ何処だよ?

 人っ子一人通っていない未舗装の道……か?これ。

 駅から周囲10キロの範囲に、こんな森だか林だか山なんかなかったはずなんだけどな。

 うーん、とにかくよく思い出してみようか……



 それは、少し前の事



 ―――――



 11月末とは思えない小春日和、今は妻の墓参りを済ませて帰宅する最中だ。

 娘のミトと息子のヤマト、そして俺の3人で駅前の横断歩道で信号待ちをしている。

 休日ともあって駅前通りは車も多く、人も多くてわりと喧噪な感じだ。

 ここ三重県の桑名という市は、微妙に大きな都市だ。

 25年くらい前に仕事で越してきて以来、ずっと住んでいる今では馴染んだ街だ。


 「うーん、いい天気だな。」

 「晴れて良かったよね。パパとお兄ちゃんはこの後どうすんの?」

 「お前たちはどうする?丁度昼時だし、何か食べていくか?」

 「そうだな、父さんの奢りでウナギなんか良いかもな。」

 「そうだね、久々にウナギなんて良いんじゃない?パパの奢りで!」


 目を輝かせて“奢り”を強調するあたり、やっぱり期待してたのかな?


 「マジかよ。ま、いいけどね。じゃウナギ喰って解散だな、何ならお前らウチ泊まっていけよ。久しぶりの実家だろ。」


 ミトもヤマトももう大人だし、ヤマトは妻子持ちだからなかなかね、こういう時くらいしか実家に来ることもないしな。


 「まー、俺は帰らないと。明日も仕事だし。」

 「私も明日早いからね、泊まっていきたいけど我慢するよ。」

 「そうか、なんか寂しいけどしゃーないか」


 そんな話をしている時だったな。


 《準備完了、じゃあ、ちょっくらごめんねー》


 突然頭に声らしきものが響き、その瞬間、激痛が俺の体を襲った。

 一瞬にして俺の体は白と黒の、なんだこれ?火か?そんな様なモノに包まれた。


 「ぐわあぁぁぁぁー!」


 熱く、はないけど痛い。とにかく痛い。体中痛い。

 体を抱えて蹲ってしまったよ。


 「パパ!」

 「父さん!」


 ミトとヤマトが叫ぶ声が頭に響く、と同時にさっきの変な声らしきものも聞こえた。


 《ちょっとだけ痛いけど我慢してねー、すぐ済むからさ。》


 なんとも緊張感のない声だが、今はそんなことはどうでもいい。

 とにもかくにも苦しくて痛いんだが、なんぞ?これ?


 「パパ!パパ!いやぁー!!」

 「なんだこれ、火なのか、父さん大丈夫か!」


 二人の叫び声を聞きながら、俺は意識を飛ばしてしまった。



 ――――


 

 そして気が付いたらここで蹲っていた、と。


 うーん、やっぱり訳が分からん、というかまだ体中痛いんだが、何だったんだ、アレ。

 とりあえず現状把握だな。

 スマホで位置確認してみようと、持っていたデイバッグからスマホを取り出そうとしたのだが……あれ?

 なんか、バックの中は淡く光る感じの空間が広がって、る?

 スマホが無い、というか、入れていた中身が全部……無い?


 これは非常にマズイのではないかなぁ、財布もスマホもその他諸々、無いと困る。

 とりあえず中がどうなってるのか、手を突っ込んでみた。

 そのままスマホを頭に思い浮かべると、何かを掴んだ。スマホである。


 おや?さっきは中に何も無かったはずなんだけど?

 ま、そんなことは今は良い、いや、良くはないけど。

 取り出せたスマホのメイン画面を出し、マップを開いてみると白っぽい画面の中央に


 「表示?できませんよ。」


 の文字が。

 よく見ると、電波も届いていないようで、圏外っぽい。

 いやいや、俺は都市部の駅前にいたんだぞ?

 いくら何でも圏外はないだろ。


 そうは思いつつも、周囲を見てみれば確かに駅前ではない、というか木しかない。

 よくよく観察してみれば、電柱なんかもない。

 人の話し声も、車が走行する音も、ひっきりなしに上空を飛ぶ飛行機の音もない。

 至って静かな森の、というか山の中みたいな感じだ。

 とりあえずもう一度スマホを起動し、方位だけでも確認しようとコンパスを使ってみるが、コンパスは面白いようにぐるぐると回っている。


 なるほど!面白れー!

 って、笑っている場合じゃないな。


 他の荷物もあるのだろうかと、手を突っ込んで探ってみると、頭の中にバック内に何があるかがリストアップされた。

 一応、元の持ち物は全て残っているようで安心したが、何と言うか、このバック、外見以上の容量になっているようだ。

 あれだ、青いネコ型ロボットのポケットみたいになっているみたいだな。

 こんな不思議な事もあるんだな、なんて関心している場合でもないな、うん。


 ひとまずここにいてもしょうがないか。

 見れば未舗装の道には轍らしき痕がある。

 ずいぶん間隔が広くて細い轍だが、これ車の轍じゃないよな。

 どっちかというと馬車みたいな感じか。


 まぁ、とにかく行動してみよう。

 しばらく歩けば、なんかわかるだろ。

 そう気軽に考えて周囲を木々に囲まれた道を、俺は歩きだしたのであった。



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