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第18話 あと二人

 冒険者活動の拠点にしているサラの家でB級冒険者昇格クエストの作戦会議をすることにした。


「イロハ。私、2つ手段があると思う、の」


 サラは指を2つ立てて1つ折る。



「1つ目、仲の良い冒険者に声をかけてみる」


「比較的、になるけどね」


「……事実だけど。なんでそんなこと言うの」


「あ、嘘、サラさん。涙目にならないでごめんなさい。いや泣くなよ……」


「意地悪! でも、ロキっていう子は本当に仲いいか、ら」


「へー仲いい子いるんだ。ん……ロキ?」


 その名前には聞き覚えがある。


「うん。以前すこし話したよね。イロハが来るまで私に血をくれていた子がいるっ、て」


 初めて出会ったときのインパクトが大きすぎて若干忘れていたが、覚えている。

 それにしてもロキとは、……いやまさか。


 とある悪友の顔が頭をよぎる。

 念の為、俺の知っているロキの特徴をサラに尋ねてみる。


「サラ、ロキって紫色の髪した奴? インナーカラー入れた自信家の女なんだけど」


「そうだよ! もしかして知ってる、の?」


「うおおお……知ってる。シュガーズ傭兵団のロキじゃん……うん。友達。てか同僚」


「嘘。すごい偶然。ねね、イロハ、私ロキがいい。ロキにしよ!」


 目を輝かせて身を迫るサラ。ふんわりと甘い香りがする。

 遠慮がちに肩を押し返し、席に座らせる。


「残念。ロキはすでにB級になっている。条件のC級以下に該当しないよ」


 以前シュガーズ拠点で会話をしたときそのような話を聞いた。

 その時に冒険者クランの話を聞き、同時にロキは「設立なんてそんな面倒なことしないし、面白そうなクラン見つけちゃった」と楽しそうに話していた。


 飽き性な彼女だが、おそらく現在はクランに所属している。クラン名などは聞いていないが、5年近く在籍していたシュガーズより冒険者活動を中心にやっているだけあって、あれでも結構気に入っているのだろう



「残念。今度3人で遊びに行きたい、ね。そもそも、1つ目の条件はイロハの能力のこともあるし、私の『血の代償、血の恩恵』の『魔剣』も知られたくないから無理、だった。じゃあ私のアイデア2つ目、適当に頭数揃える。」


「能力バレのリスクが拭えてなくないか?」


「うん。だから契約で縛る、の。隷属魔法で」


「つまりサラが言いたいのって」


 ぴんと来た。

 同調するようにサラは言葉を被せる。


「奴隷だよ、イロハ」


 やはり、奴隷。

 奴隷文化は、地球ではごく一部の地域を覗いて撤廃されたが、異世界では当然のように存在した。


 犯罪、身売り、捕虜、拉致。入手経路こそ様々あれど、果実が市場に並ぶように奴隷も当たり前に売られている。


「奴隷か」


 正直、異世界転生2年目に突入した今となって奴隷の存在自体にどうこういったものはないが、それでもあまり好んでいはいない。


 サラもそれを承知の上での提案だろう。


「イロハがあまりいい思いを持ってないのは、私だって、わかる。けど」


「分かってる。だからロキのときあんなに食いついてくれたんだろう。お互い友達が少ないからな」


 冗談を言うが、サラが何食わぬ顔で膝を蹴ってきて痛い。


「本来はチームワークやコミュニケーション能力を図るための昇格テストなんだろうな。まったく、よく人を見ている」


「うん。消去法でそれしかない、よ」


 奴隷を前提に、ギルド側は条件の4人制限を出していないと思うが、今回は俺とサラのペアに加えて、2人の奴隷を購入して4人パーティとしよう。


 C級以下の冒険者は極論F級冒険者でも構わないし、隷属魔法で口外を禁じれば『不死』と『血の代償、血の恩恵』をフルで使える。お互いの能力をフルで使えば、奴隷を保護しつつファイヤーバードも討伐できるだろう。


 おそらく、奴隷を頭数に入れた場合の対応も評価される。


 守りきれるか問題や活かしきれるか問題等もあるし、人望、スカウティング能力もマイナス評価で計上されるだろう。


「とりあえず、奴隷2人をパーティに加入させてB級冒険者昇格クエストを受注するにして、ある程度の連携は見ないとだめだな」


「うん、クエスト完了後は開放するにしても、私、いい子と組みたい、な」


 サラは長年の半ボッチ生活から、自然と選択から排除しているらしいが、クエスト完了後に奴隷をそのまま仲間にするのも視野に十分入る。


 奴隷の標準を詳しくは知らないが、シュガーズにいた元奴隷たちはべらぼうに強かったため十分戦力になると踏んでいる。


 今後の仲間にするかはおいておいても、最低限の身を守る力と、サラのいういい子というのは大事だ。


「大体決まったな。明日先生と会う予定あるから、ついでに奴隷購入におすすめを聞いてみるよ」


「ククルトさん? あ、やめておいたほうがいいか、も」


「え、なんで?」


「ククルトさん、奴隷制度にいい思い持って無く、て、根っから嫌ってる、の」


 サラは事情を知っているようだが、俺的にはククルトが抱くその嫌悪感に思い当たる節がない。


 シュガーズでは元奴隷がいたが、奴隷はいなかったことを不意に思い出しながら、ククルトへの相談は選択肢から除外する。


「すこし手間かかるけど、探してみようか」


「うん。お金ならあるから。いい子、探そ」



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