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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

うんこの物語

作者: さとうです

誰もが感動する神作品

何にでも砂糖と塩をかける佐藤敏雄という男がいる。 彼は元女性だ。これは内緒ね


道端にかりんとうが落ちてる!

佐藤敏雄は激怒した。

衰亡はおもむろに進み、終末は静かに兆していた。佐藤敏雄は激怒した。

「……なあ」

佐藤がそう声をかけると、三人の男女は一斉に振り向いた。

一人は二十代後半の若い女で、もう一人も三十過ぎの男だった。そして最後に四十半ばの中年男がこち見ていた。

その中年男は、この三人の中では一番背が高くて痩せていた。目つきが悪くて鼻の下が長い。髪は七三分けにしていて、頭頂部は禿げ上っていた。

その顔を見て、佐藤は思わず顔をしかめた。「なんだ、お前かよ」

「お前とはご挨拶ですね。僕だって好きでここにいるわけじゃないんですから」

そう言ったのは、この中で最年少の女だ。彼女は佐藤に向かって微笑んだ。

「どうもお久しぶりです。元気にしていました?」

「ああ、まあ……」

佐藤はその笑顔を胡散臭く感じた。だが、ここでそんなことを言うと面倒になりそうな気がした。だから何も言わずに黙っておいた。

「ところであなた、いったいこんな所で何をしているんですか?ここは立ち入り禁止ですよ」

佐藤は何も答えなかった。答える気にもならなかった。すると、今度は男が口を開いた。

彼は佐藤よりもさらに若く見えた。年齢はまだ二十歳そこそこといったところだろう。少し長めの髪を真ん中分けにして、目は切れ長で細かった。

「なんだよ、あんたらこそ何してるんだよ」

「我々はただ散歩をしているだけです」

「ふーん」

佐藤は何とも言えない嫌味を感じた。だが、それも口に出して言うほどのことではないと思った。

「それより、あんたたちは誰だよ」

「私たちはここの管理人です」

「へえ、そうなのか」

管理人と聞いて、佐藤は改めて三人を見た。言われてみると確かにそういう雰囲気があるような気がしないでもない。だが、はっきり言って似合わない。

「それで、君はどうしてここに来たんですか?」

「俺は別に……。たまたま通りかかっただけだよ」

「そうですか。でも、ここから先は危険ですよ。もうすぐ崩れてしまいますから」

「マジかよ!」

佐藤は思わず叫んでしまった。慌てて周りを見回すが、幸い誰もいなかった。

「それならそうと早く言ってくれればいいじゃないか。危ないところだったぜ」

「それはすいません。私たちもついさっき知ったばかりでしたので」

「ふん。じゃあ仕方ねえや」

佐藤はため息をついた。だが、すぐに気を取り直した。

「ところであんたたち、これからどこかに行くのか?」

「はい。我々はこれからあの建物の中にある病院へ行くつもりですが」

「病院?」

「ええ。我々の雇い主である『ドクター・タチバナ』が入院していますので」

「へえ……」

佐藤はそれを聞いてちょっと驚いた。「あの爺さん、まだ生きてたんだな」

「はい。我々としても驚きました」

「……そりゃ驚くわな」

それからしばらく沈黙が流れた。

だが、しばらくして、不意に女のほうの男が言った。

「君たちも一緒に来ますか?」

「いいのか?」

「はい。構いませんよ」

「分かった。じゃあ付いて行くことにするよ」

佐藤は素直にうなずいた。正直に言えば、もう少しこの場にいたかったのだが、今さら無理矢理帰るというのも格好が悪いと思ったのだ。

だが、そこで突然男のほうが笑い出した。

「しかしあなた、まさかまた盗み食いをするつもりじゃないでしょうね?」

「……ちっ」佐藤は不機嫌になった。「うるせえな、余計なお世話だ」

「ははは。相変わらずですね」

男はおかしそうに笑った。佐藤としては、それを言われるのが何より腹立たしかった。なぜなら、佐藤はこの男に借りがあるからだ。

実はその男の名前は田沼幸一といって、佐藤と同じ窃盗団の団員なのだ。しかも佐藤と同じく下っぱの泥棒であり、いつもコンビを組んで仕事をしていた仲だ。

だが、その仕事の最中に、二人はある事件に巻き込まれてしまった。その事件で佐藤は重傷を負い、仲間からも見捨てられて、結局は一人で逃げるしかなかった。

その後、何とか逃げ延びた佐藤だったが、その時の怪我が原因で身体を壊してしまってからは、まともに働くこともできず、今ではこうして道端で寝転んで暮らしているというわけだ。

だが、そんな佐藤に対して、その男は今でも何かと面倒を見てくれている。佐藤にとっては、それがとても心苦しいことだった。

「まあ、そんなことはどうでもいいけどさ」佐藤は自分の頭を掻いて誤魔化した。「ところで、あっちの二人もあんたの部下なのか?」

そう言うと、その男……田沼幸次は首を横に振った。

「いいえ。彼らは違います」

「そうなんだ」

「でも、俺たちの仲間だぜ」と佐藤の隣にいた男が言った。

「へえ、そうなんですか」と田沼幸次が感心したようにつぶやいた。そして彼は再び佐藤に向かって尋ねた。

「ところで、あなた方はどこから来られたんですか?やはり、我々の国ですか?」

佐藤は少し迷ったが、別に隠すことでもないと思って話すことにした。すると案の定、三人はひどく驚いていた。

「まさか本当に異世界からの客人だったとは……」と、最初に会った女の方がつぶやいていた。

「やっぱり変かな?俺たちってさ」と佐藤は苦笑して見せた。

「いえ……」と、今度は男のほうの女の方が否定した。「むしろ納得しました」

佐藤には、彼女の言っていることが分からなかった。すると彼女は続けてこう言った。

「我々はこことは違う別の世界の存在を信じています。それはきっと、この地球と似たような環境で成り立っている場所なのでしょう」

佐藤はその言葉にちょっと驚いた。彼の場合は、自分が住んでいる国がこの世界で唯一のものだと思っていたのだ。だから他の国のことなど考えたことがなかった。それに、彼が知っている限りにおいては、「ここ以外のどこかの世界」というものは存在していなかった。

佐藤はそれを素直に告げた。「俺はそんなの聞いたことねえよ」

「それはそうでしょう。我々だって今まで実際に目にしたことはありません。ですが、我々が知らないだけで、どこかにそのような世界があるかもしれません。現に、私たちは『異世界』の存在をちゃんと確認しているではありませんか」

そう言って彼女は佐藤たちの後ろにある建物を指差した。そこはつい最近まで『異世界』への扉が開いていた施設だったのだ。確かに言われてみると、その可能性がないとは言えないかもしれない。だが、それでも佐藤にはピンとこない話だった。

一方、女のほうの男の方も、特に驚いた様子はなかった。おそらく彼も同じ意見を持っているに違いない。何しろこの男の名は東雲勇二といい、佐藤と同様に窃盗団の下っぱとしてコンビを組んでいた相手なのだ。

ただ、彼はその相方である佐藤よりもずっと年上で、すでに五十代に差し掛かっているはずだが、未だに元気で若い連中を率いているという話を聞いていた。そのせいもあって、今では佐藤のほうがすっかりお荷物扱いされている。その点だけは少々不満があった。

しかしそれも仕方がないことだろうと思っている。なにしろ自分は足を引っ張っているだけのような気がするし、それに比べて東雲のほうはみんなに頼りにされていた。おまけに今はもう、一人で悠々自適に生活しているのだという噂を耳にしていた。

(俺の居場所はもうどこにもないんだな)

佐藤はふと思った。もちろん自分の生き方が間違っているとか、もっと他にいい方法があるんじゃないかと思うこともある。ただ、どうしてもそれをしようと思えないのだ。もしそんなことをしたら、今までの人生そのものが無駄になってしまうような気がするのだ。

そんなふうに考えながら、佐藤は目の前にいる田沼幸次と東雲幸次の二人を見た。彼らと一緒に行動したいという気持ちはもちろんある。できることなら自分ひとりの力でもやっていけるだけの力を身に着けておきたいところだ。

だが一方で、彼らに迷惑をかけたくないという思いもあった。なにしろ今の彼らは、あの病院の中にある警備室に勤めているらしいのだ。つまり、佐藤の仲間たちが守ろうとしていたものをしっかり守り抜いているということになる。だとすれば、自分が今さら一緒に行こうと言っても断られるのが落ちであろう。いや、ひょっとすると追い返される可能性も考えられる。そうなると、もはや行く気力すら湧いてこなくなる。

だが、田沼幸次は佐藤の思いなどまるで気にしていないようにこう言った。

「佐藤さん。実はお願いがあるのです」

「……えっ?」佐藤は目を丸くした。

「実は私どもは先ほど、あの異世界へと続く門の封印を解除いたしました」

佐藤はさらに驚いた。まさかこんなに早く封印を解除してしまうなんて、予想もしなかったからだ。おかげでせっかく苦労して盗み出した宝物もすべて失ってしまった。佐藤の脳裏には、またあの辛い日々が始まるのではないかという不安しかなかった。

だが、田沼幸次はそこで意外な提案をした。その話では、この世界の人間が『異能力者』と呼ばれる特別な力を持つことができるというのだ。それは超能力というより魔法に近いらしく、その力が使える者は普通の人間よりも遥かに身体能力が優れているとのことだ。だから彼は、佐藤の力を借りれば大きな戦力になると考えたのだろう。

「……本当か?」佐藤は驚いて聞き返した。

「ええ」と田沼幸次が微笑んだ。「ただし、あなたの身体に負担がかからない範囲でしか使えませんけどね」

「俺にもできるってことか?」

「そういうことになります」

佐藤は迷った。本当に自分の持っている力が役に立つのだろうか?しかもこの世界に来てからは、ろくな仕事をさせてもらえなかったから、自信はまったくなかった。

すると、東雲が言った。

「佐藤君。僕たちは別に君を縛りつけるつもりはない。自由に生きるといいさ」

「自由……」

佐藤は自分の口の中で繰り返した。

それは今の佐藤にとって最も欲しかった言葉であった。この世界に残っても、待っているものは地獄のような生活だけであることは間違いない。だとすれば、ここは彼の決断すべき時ではないのか?そう思うと佐藤は、思わず拳を握り締めていた。そしてその手をじっと見つめた。それは佐藤が自分の意志で選んだ道であるはずだ。それならばもう後悔しないように進むしかない。

「俺の能力を試す機会はあるか?」佐藤は尋ねた。

「そうですね……。まあ、あと二週間もあれば何とかなると思います」田沼幸次が言った。

佐藤はその言葉を信じることにした。たとえその二週間後に自分がどうなっていようとも……だ。

「分かったよ。じゃあさ、俺はとりあえずここを出てみる。お前たちと一緒に行動するのはその後でも構わないか?」

「いいですよ。我々はいつでも構いません。ところで、佐藤さんの仲間たちとは合流しないのですか?」

「ああ、それはできない。みんなには迷惑をかけたくないんでな」

そう言って佐藤は肩をすくめた。

「分かりました。では、こちらで連絡をしておきましょう。ただ、仲間がここに来た時に、私たちのことを話してもよろしいでしょうか?」

「もちろんだ」

田沼幸次はうなずきながら佐藤に手を差し伸べてきた。佐藤もそれに応じてしっかりと握手を交わした。それから佐藤はもう一度だけ仲間たちのほうを振り向いたが、もうそこには何の姿もなかった。(あいつらならきっとうまくやってくれるはずだ)佐藤は思った。

(そうだ!あの連中にだけは知らせておかなくちゃな)

そう考えると同時に、彼は携帯電話を取り出し、登録してある番号にかけた。

「もしもし、佐藤だけど……俺だよ」

3 その頃、美波たちの乗っているヘリは一路北に向かって飛行していた。目指す場所は長野県である。もちろんそこには佐藤が言っていた病院があるはずだった。その病院の中にいる『異能力者』がどんな能力を持っているのかはまだ分からないが、佐藤の話から判断すると、『異能力者』が一人ではなく複数の存在であることが想定された。だとすればかなりの激戦が予想されるだろうと思われた。しかし、今はそのことを深く考えても仕方がないと美波は考えていた。それに今、彼女の頭の中には、佐藤の言葉が何度も繰り返し響いていたのだ。

――みんなに伝えてくれ。

「くそっ!」

気がつくと彼女は小さく舌打ちしていた。あの時、佐藤は「俺が死んだらみんなに伝えてほしいことがある」と言っていた。それが気になってしかたがなくて、なかなか眠りにつくことができなかった。だが、今さら悩んでもしょうがないことだと分かっていた。今こうして、佐藤に頼まれた伝言を他の者たちに伝えることができたのだから、それだけで満足すべきだと思った。

美波はヘリコプターの操縦桿を握っている部下の男を見た。この男は、以前別の任務で彼女と一緒だったことがあった。その男によると、今回の作戦はかなり難しいものになるだろうとのことだった。佐藤の話では、この世界の人間たちが作った病院が、佐藤たちを監禁した犯人の隠れ場所らしい。だが、佐藤の話によれば病院は頑丈に作られているらしく、しかも『異能力者』という特別な能力を持つ人間が何人も働いているということなのだ。おまけに『異能力者』たちは全員、強力な銃を所有しているらしく、下手に近づくことができないというのだ。

「ねえ、ちょっと教えてくれるかしら?」

突然、横にいた女性が話しかけてきた。その女性の名は香坂朱音という。彼女も佐藤の話では『異能力者』のひとりであり、この作戦に参加するために特別に選ばれた人物だということだ。この女性と会ったのは今回が初めてだったが、かなり綺麗な顔をしているというのが美波の印象であった。だが、その彼女がなぜこんなところにいるのか不思議に思えた。確か佐藤の説明によれば、彼女もまた他の隊員たちと同様に特殊部隊のメンバーになっているという話であったが……。

「何かしら?」と朱音が聞いた。

「えっと……私の名前は……」

そこまで言いかけてから美波は口を閉じた。まだ自分は佐藤から名前を聞いていなかったからだ。そんな状態で勝手に自分の名前を名乗ることはできないと考えた。すると朱音の表情が変わった。

「あら、ごめんなさい。あなたの名前をちゃんと名乗ってなかったわね。私の名は香坂朱音っていうのよ」

朱音の顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。それはこの緊迫した状況には似つかわしくないほど美しい笑顔であった。その笑顔を見ているうちに、なんだかいやでも緊張が高まっていくような気がしてならなかった。しかも、それは単に彼女の容姿によるものではなかった。なぜか分からなかったが、その笑顔を見ると不思議な安心感を覚えてしまうのである。まるで、佐藤のような……だ。

その時、「おい、どうするんだ?」と操縦席に座っているもう一人の男が美波のほうを向いた。

「どうって、何をだ?」

「決まっているだろ。あの病院を破壊するんだよ」男はぶっきらぼうな口調で言った。

「どうやって?」

「そりゃお前……。ミサイルとかそういう類のものでだよ。俺たちの目的はそこの占拠なんじゃないのか?」

「そうかもしれないけど……」

「じゃあ、やるぞ!」

そう言うと彼は手元にあった無線機を操作し始めた。すると美波たちを乗せたヘリの周りを飛んでいる無人機の一つがゆっくりと旋回し始めた。

「ちょっと待てよ。あんた、本気であんな建物を吹っ飛ばすつもりなのか?そんなことをしたら私たちが敵側に見つかる可能性が高くなるじゃないか」

「そうか?」

「そうだとも!もし見つかって戦闘状態になったらどうするつもりだ?」

だが、男の返事はなかった。すでに彼は無線を使って、ある相手に連絡を取っていたのだ。そして、美波の問いかけなど耳に入らない様子でずっと黙り込んだまま、ただ一点だけをじっと見つめていた。やがてその彼の視線の先にあるものが見えてきた。それは遠くに見える一つの建物の姿であった。

「見えたぞ!あれだな!」と男が叫んだ。

「あの病院が……そうなのか」美波が呟いた。確かに言われてみると、その建物は周囲の景色からは浮き上がって見えていた。だが、それだけではない。その建物の周辺には大きなビルが立ち並んでいるのだ。それなのに、それらのビルのどの窓にも灯りがついていないように見えた。

美波は目を凝らした。すると、さらに異様な光景が目に入ってきた。それら立ち並ぶ高層ビル群の中に、ぽつり、ぽつりと奇妙な物体が建っているのである。それらはまるで墓標のように地面に突き刺さっていたのだが、よく見ると、その物体には小さな車輪のようなものがいくつもついており、それで地面の上を走るようになっているのだと分かった。だが、美波はその機械を見たことがないし、またその名前すら知らなかった。

その時、無線機を持った男が大声で怒鳴った。

「攻撃準備!」

すると突然、今まで静まり返っていた周囲が騒々しくなり、あちこちで慌ただしい動きが始まった。その喧騒の中を、今度はヘリコプターが大きく旋回し始め、地上から放たれた幾筋もの光条に照らし出されたその病院めがけて飛んでいった。

しかし、彼らが放ったロケットは、途中でその進路を大きく変えてしまった。それまでその病院で何か作業をしていた男たちの手によって発射台ごと移動させられてしまったのである。おそらくは『異能力者』と呼ばれる存在によって……。

美波の視界の隅に、その『異能力者』たちの姿が映った。彼らは全員が銃を構えており、そのうちの数人は手に手榴弾を持っていた。しかも彼らの周囲には強力なバリアが張られているらしく、ミサイルの攻撃は全て弾き飛ばされてしまったようだった。

美波は息を呑んだ。こんなところで銃撃戦が始まるとは予想もしていなかった。しかも相手は自分たちより強力な武器を持っている。このままではこちら側が全滅するのは時間の問題だと思えた。

(何とかしなければ……)

美波は必死になって考えた。今この場にいるメンバーの中では自分が一番のベテランであり、指揮官としての役割を担っていた。ここでなんとかしなければならないと強く思った。だが……。美波は自分の持っている知識や経験の中で有効な作戦を思いつかなかった。

そのことに彼女は歯噛みしていた。そんな時、突然隣から朱音の声が聞こえてきた。

「ねえ、あれを見てちょうだい」

彼女の指差す方向に目を向けると、病院の建物の中から、巨大なロボットのような姿の兵器が現れたところであった。その機体の胸の部分には『W』という文字が書かれていて、それが機体の名前だということがすぐに分かった。すると操縦席にいた男は、その機体に照準を合わせ始めた。

「何する気だ?」美波が尋ねた。

「見ていれば分かるわよ」朱音が笑みを浮かべながら答えた。

その機体はミサイルを撃ち尽くした無人機に向かってゆっくりと歩き始めていた。無人機は、その接近を阻止するために再び攻撃を仕掛けようとしていたが、相手の周囲に発生している強力なバリアーの前に全く手出しできない状態に陥っていた。そして、その巨大ロボはそのまま無人機の横を通り過ぎるとヘリの方へ向かってきた。

(まさか、あいつと戦うつもりなのか?)美波の額から冷や汗が流れ落ちた。この距離ではヘリを狙われたらひとたまりもないと思った。しかし、その機体は美波たちには興味を示さず、そのままヘリの後ろ側を通って病院へ近づいて行った。その機体には操縦席というものが存在していなかった。その代わり、世界が終わった…?

神作品である。

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