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中入-⑨「日常のSSー45組編」

 これは黒川、星畑、凛、陽菜がフェスに行っていて家にいない…天知と姫月の二人きりの際の一日にあった数少ない会話をまとめたものである。



                       1



姫月「んん………ヒナ、牛乳」


天知「おはよう姫ちゃん。残念ながら、陽菜ちゃんはお出かけだよ」


姫月「んん~……そうなの?…別に残念でもないけど……じゃあコーヒー淹れて」


天知「はいはい……牛乳じゃなくてコーヒー?」


姫月「天知が淹れるんだったらコーヒーでいいのよ。ヒナが作るのは不味いし」


天知「あ、そう……そういえば最近ジューサーは使ってないの?」


姫月「……あ~……フルーツ用意するのが面倒なのよね……ま、いっか……確かに…コーヒーよりもジュースのがいいわ」


天知「………良かったら僕にも作ってくれない?」


姫月「いいわよ?一杯500円ね」


天知「……はは…じゃあいいかな」


姫月「…………アイツどこ行ったの?こんな朝早くから」


天知「黒川君たちについていったよ。どうしてもお肉が食べたいって」


姫月「肉?……何?黒川共、まさか私を差し置いて焼肉とか行ってんじゃないでしょうね?」


天知「う~ん……なんか野外の肉フェスってのに参加するみたいだよ?大学の友達と一緒に」


姫月「ふぇす?…………まあ、焼肉の食べ放題とかじゃないならいいけど」


天知「焼肉の食べ放題だったら姫ちゃんも行ってた?」


姫月「別に……ただ、私を置いて贅沢しようってのが気に食わないのよ………ハイ、これ」


天知「?………何?」


姫月「何って……ジュースよ。バナナの……何よいらないの?」


天知「え?……用意してくれてたの!?…あ、ありがとう……お金は?」


姫月「いらないわよ!失礼ね!…………チッ…やるんじゃなかったわ」


天知「ご、ごめんごめん……ほんとごめん!い、いただくよ」


天知「!!………あ」


姫月「?」


天知「これ、美味しいね………姫ちゃんが作ったの?」


姫月「はあ?…アンタ、今まで何を見てたのよ?どう見ても私が用意して、私がシェイクしてたでしょうが」


天知「いや……そうじゃなくて、何というか……組み合わせというか、配分というか」


姫月「だからそれも私がシェイクしてんだから私がやったに決まってるでしょ?」


天知「う、うん……そりゃそうだよね!ごめん……いや、美味しくてさ……バナナ…そんなに好きな方でもないんだけど」


姫月「凍らせただけでそこまで喜ばれるんだったら叩き売りのバナナも喜んでるわよ」


天知「ホントに凍らせただけ?……いやあ~…これ、繁華街なら500円もぼったくりじゃないかもね」


姫月「私が言うのもなんだけどそれはぼったくりでしょ」





                       2




ピンポ~ン


「こんちはー!ウーバー〇ーツです!」


天知「ああ…ハイハイ、ありがとう」


~支払い後~


天知「姫ちゃん?……これ頼んだの姫ちゃんじゃない?」


姫月「…………別に部屋まで持ってきてくれなくても行くから……」


天知「ごめんごめん……何頼んだの?いい匂いだけど」


姫月「カルボナーラ………やんないわよ?」


天知「ハハハ………じゃあ、僕は適当に有り物でチャーハンでも作ろうかな」


姫月「フッ……独身男の冴えない一人飯ね」


天知「姫ちゃんがいるから、一人なんかじゃないさ」


姫月「…………天知は自分の部屋で食べたら?」


天知「ハハ……そう意地悪しないでよ」


~天知調理後~


天知「できたできた………あれ、姫ちゃんもう食べ終わったの?」


姫月「食べ終わってたら何よ……別に一緒に食べてたわけでもないでしょいやらしい」


天知「いや………足りたのかなと思って」


姫月「余計なお世話」


天知「テレビ何見てるの?……クイズ番組の再放送か」


姫月「別に見てないわよ。付けたら勝手にやってただけ」


天知「じゃあ、まあ、せっかくだしこのまま見ようかな」


『江戸幕府8代将軍……』


天知「徳川吉宗」


『アメリカ陸軍最高司令官、NATO軍の最高司令官を務めたのちにアメリカ大統領……』


天知「アイゼンハワー」


『緒形拳、岩下志麻が主演を務めた映画『鬼畜』の原作者としても知られ…』


天知「松本清張」


『元素番号33番……』


天知「ヒ素」


『2016年第155回芥川賞に輝いた村田沙耶香によ』プツッ!


天知「コンビニ人……ってあれ?ど、どうしたの?姫ちゃん…なんで」


姫月「見せつけてるみたいでなんかうざかった」


天知「……………………」





                       3



天知「姫ちゃん姫ちゃん」コンコン


姫月「何?……掃除なら間に合ってるわよ?」


天知「これ見てよ。黒川君たちが行ってるフェスがネットニュースになってたんだけど……」


姫月「ん~?……『会場内で行われたフードファイトイベントにて…見事、激戦を制した地元の大学生たち。参加者の中には、小学生の姿も』………って何してんのよアイツら」


天知「フフフ……すごいね陽菜ちゃん。記念写真まで撮っちゃって」


姫月「で?何の用?」


天知「え?…いやだから……陽菜ちゃんたちのことがネットニュースに載ってから」


姫月「…………そんなことでわざわざ部屋に来ないでよ。いい年こいたおっさんが気安く入っていい場所じゃないのよ?」


天知「ご、ごめんなさい」


姫月「あ、ちょっとちょっと……さっきの写真もう一回見せて」


天知「あ、うん……どうしたの?」


姫月「こいつが……凛にロンハー贈ったやつか※……なんか軽そうな女ね」

※「ノンシュガーズの20回転」参照


天知「ん?……須田さんの友達が気になるの?」


姫月「別に……ほら、さっさと巣に戻りなさい」




                      4



姫月「…………………………」


天知「……どうしたの?台所でウロウロして?」


姫月「………アイツらまだ帰ってこないの?お腹すいたんだけど」


天知「確かにちょっと遅いね。どこかで寄り道してるんじゃない?というか、別に何か食べたらいいじゃない。いつもタイミング合わせてるわけじゃないんだから」


姫月「そりゃ私だって、さっさと食べたいわよ。でもアイツらが何か肉気の濃いいものを買って来てたら食べれないじゃない」


天知「ああ……お土産。でも、頼んだわけでもないんだし、買ってくるとは限らないんじゃ……」


姫月「そん時は死刑よ。食べた肉全部吐き出すまで腹を殴ってやるわ」


天知「………肉フェス…行きたかったの?」


姫月「別に…たかだか肉の一つ食べるために山を登るなんて馬鹿みたいだし…」


天知「フーン」


姫月「何よその顔…むかつくわね…。天知はなんか食べたの?」


天知「ううん…まだだよ」


姫月「………お昼みたいになんか作ってよ。朝のジュースの返礼をしなさい」


天知「お土産はもういいの?」


姫月「……どうせお肉チップスみたいなしょうもないの買ってくるわよ。ヒナの奴は自分が食べることしか考えてないだろうし」


天知「……僕、あんまり料理が達者な方じゃないけど」


姫月「冷凍庫にステーキ肉あったからそれ解凍して焼くだけでいいわよ。とにかく何かあったかいもの用意して」


~天知調理後~


天知「はい……できたよ」


姫月「この横のサラダは何?」


天知「……お肉だけじゃなんだと思って……ちょっと切って盛ってみたんだけど…あ、粉の奴だけどコーンスープもあるよ」


姫月「ん」


天知「さ、食べよ食べよ」


姫月「………ちょっと焼きすぎじゃない?まあ、いいけど……」


天知「…………………………」


姫月「……何?人の食べてるところ見るなんて失礼ね」


天知「ごめんごめん……いや、姫ちゃんって綺麗に食べるなって思って」


姫月「フッ……そりゃそうよ。美人は食べる姿にも品が宿るのよ。食器の音も立てないし、ソースを飛び跳ね差出たりもしないし、食べ終わりもきれいだし」


天知「そうだよねえ……洗い物してる時もずっと思ってたけど、意外と好き嫌いも言わないし」


姫月「下品に食べたり、食べれないものがあるってのは雑魚ってことよ。うちにもいい見本がいるじゃない」


天知「まあ、でも……テーブルマナーはけっこう無茶苦茶だけどね。口から迎えに行くんじゃなくてフォークを動かさないと」


姫月「……………………うざ」


天知「す、すいません………」


姫月「…………………………」


天知「…………………………」


姫月「……………最近、とくに見るものもなくなったから、しょうがなしにヒナの出てるレンジャーの奴見てたんだけど」


天知「え!?……あ、ああ……エアプレンジャー?…意外だね」


姫月「天知が中に入ってるのって、黄色い奴よね?」


天知「う、うん……イエローだよ」


姫月「ダニを操る敵にやられて内股になってぴょんぴょん飛び跳ねてる回あったけど…アレも天知がやってたってこと?」


天知「ハハハ……あったねぇ…そんな回」


姫月「アレ恥ずかしくないの?」


天知「まあ、恥ずかしい気持ちもあるけど……僕はイエローのキャラクターになりきって痒みを表現しないといけないわけだから。基本、そんなこと考えてる余裕もないかな」


姫月「………フン、カッコつけたこと言うわね。天知のくせに」


天知「………ああ~……でも、別の戦隊モノの怪人やったときに、変な踊り踊ったんだけど…アレは恥ずかしかったなぁ」


姫月「フーン…………どんなの?ちょっとやってみなさいよ」


天知「いやいや……スーツもないし……それにおしりを突き出したりする品のない奴だったから」


姫月「だからこそでしょ……じゃあ、じゃんけんしましょ。負けたら踊りなさい」


天知「勘弁して」


姫月「……3回勝負でいいわよ?」


天知「ダメです」


姫月「意気地なしね……じゃあ特別に天知は1回勝ったらいいことにしてあげる…ほら、じゃーんけーん」


天知「ええええ……ちょちょちょ……わかったよ。やるから……せめてタイミングは合わさせて」






                       5




天知「うーん………黒川くんたち、本当に遅いね。事故起こしたりしてないかな。ねえ、姫ちゃんのところにも何にも連絡行ってない?」


姫月「んん?……別にない……フッ……フフフ……ない……けど?」


天知「…………まだ笑うか」


姫月「アッハハハハ!!……ハー……アイツらも別にガキじゃないんだから勝手に帰ってくるでしょ」


天知「そうだけど……おかしいなあ……黒川くんと今日の夜、一緒に録りダメ見る約束してたんだけど」


姫月「フフフ……フフ…………フフフ」


天知「………そんなに気に入ってくれたなら、あの怪人も浮かばれるよ。ピンクに往復ビンタを食らって退場する情けない最期だったからね」


姫月「アハハ!!あのダンス踊ってビンタまでされたの!?アッハハハハハハ!!」


天知「………全く勝負強いんだから…………ん?電話……」



 同時刻……とある山奥にて


黒川「…………………」プツッ


凛「あ……お電話できましたか?」


黒川「うん……できたけど……なんか天知さん、若干疲れてるような声だったな」


凛「?……ね、寝起きだったんでしょうか?」









サブタイの45組は4番目のメンバーと5番目のメンバーだからそう呼称しただけで特に意味はありません。


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