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その②「アマチュアもプロも変わんないコト」

・登場人物紹介

黒川響くろかわ ひびき 性別:男 年齢:21歳 誕生日:6/25 職業:大学生

本作の主人公。抜群の歌唱力を持つが、機械を通した瞬間に不協和音に早変わりする不幸な歌い手。歌手としての道はすっかり諦めているものの、集ったメンバーたちとの心躍る日々を守る為、宇宙人のカメラ役をこなす。本人にいまいち自覚はないが、一応リーダー。

☆好きな定番コスプレはバニーガール。うさ耳はへにょんと片方だけ折れているのが好き。


星畑恒輝ほしはた こうき 性別:男 年齢:21歳 誕生日:4/4 職業:お笑い芸人

黒川の高校からの友達。高卒でお笑い芸人の道を選びめでたく地下芸人へ。見る人が見れば割と悲惨な生活を送っているが、本人は至って楽しげ。ルックスがよく、よく気が利く上に、根明のためよくモテそうなものだが、とにかく絡みにくい本人の性格が仇になり全くモテない。

☆好きな定番コスプレはマイクロビキニ。露出の多さではなく女子の恥じらいを楽しみたい。


須田凛すだ りん 性別:女 年齢:20歳 誕生日:5/25 職業:大学生

男受けしそうな見た目と性格を併せ持った少女。黒川の歌(動画越し)に感動し、星畑のライブを出待ちし、姫月に憧れながら、天知に焦がれるちょっと変わった趣向を持つ。派手なファッションとは裏腹に人見知りで気が弱いが、推しのの事となると見境が無くなり暴走気味になる。

☆好きな定番コスプレは忍び装束。ゴテゴテの装飾が付いたアクションニンジャ系のモノ。


姫月恵美子ひめづき えみこ 性別:女 年齢:20歳 誕生日:10/3 職業:無職

スラリとしてスレンダーな見た目に長い足、艶の良い黒髪とまさに絶世の美女。性格は非常に難があるが、悪いというより思ったことをすぐ口に出すタイプ。一言で言うなら唯我独尊。自信たっぷりで自分大好き人間だが、イケメンも好き。ただしどんなイケメンよりも自分の方が好き。

☆好きな定番コスプレは執事服。コスプレというよりイケメンで有能な執事が欲しい。


天知九あまち きゅう 性別:男 年齢:42歳 誕生日:3/3 職業:無職

元、スーツアクター兼スタントマン。家を追い出され新たな仲間たちに重宝されながらスローライフを送るおっさん。高身長で、物腰柔らかく、頼りになり、清潔感も教養も併せ持つまさに理想の紳士。黒川への恩義だけで入ったが、正直42歳がやっていけるのか不安でしょうがない。

☆好きな定番コスプレは和メイド。初めてその概念を知った時は膝を打った。


岩下陽菜いわした ひな 性別:女 年齢:9歳 誕生日:3/20 職業:小学生

女優一家の次女で子役。年齢を感じさせない演技とその可愛らしさから天才子役と称されていたが、家族や友人と遊ぶことを優先する為、子役業から一時手を引いている。年齢の割に落ち着きがあって肝も据わっているが、子どもらしい無邪気さも併せ持つ。怪談やオカルトが好き。

☆好きな定番コスプレはゾンビ。所謂コスプレとして正しいモノかは微妙である。


こんにちは。思ったより書きたいことが多くなり、結果的に全体を薄めて事なきを得ました。あと、予め言っておきますが、僕はお笑い芸人の大会とかそう言う事に関しての知識は一切ありません。全て憶測で適当に書いております。

                      1




 真っ暗な会場内でただ一か所だけ光に照らされた空間がある。そこには三八マイクが一本だけ立っていた……のだが、次の芸人には不要だったようでマイクは袖から出てきた若い男が回収していった。そしてその数秒後、RCサクセションの「雨上がりの夜空に」がけたたましく鳴り響き、一人の中年男性がステージ上に現れる。今からネタをやろうというのだ。しかし、暗い空間が怖かったのか、突然大音量で音楽が鳴りびっくりしたのか、会場内で子供の泣き声が先程の出囃子の比ではない程にけたたましく響いてしまう。気まずそうに子供を抱えて会場を出ようとする母親にステージ上の男はにこやかにこう言った。


「お母さん。気にすることはありまへん。子供は泣くことが仕事やさかい」


 母親は今もなお泣き喚く我が子を抱きながら、ぺこぺことステージ上の男性に向かって頭を下げる。そんな親子を疎ましく思っていた数人の客が気まずそうに下を向く中、再度、男が会場に声をかける。


「そして!!僕の仕事は皆さんを笑かすことです!!……というわけで!ラヴ・フールのショートコント!!……SMの女王様にタマを蹴られるも思ったより勢いが無くてマゾのままそれとなく説教する人!」


 タイトルを言った直後に凄まじい勢いでパントマイムを決め、どことなくえなりかずきのような喋り方で「もっと下さい!」だとか「そんなのじゃ……まだ…まだ!」などとぶつくさ言う男。会場はそれなりにウケていたが、例の親子は早々に自主退席をしていたのだった。



                    2



「………な?こんな熱い心意気を持った人がパワハラなんてするわけないだろ?」


「……ハハ」


 笑えばいいのか引けばいいのか、リアクションに困るエピソードトークを星畑から聞き、黒川は薄ら笑いと愛想笑いの合わせ技で取り合えず応対する。


「まあ………お前がそこまで言うんならマジで良い人そうだしな…一先ずパワハラはしてないって信用するよ。でもな?……だからと言って俺がお前とコンビを組んでまでして、事の真相を探る必要はねえだろうよ」


「そこを何とか頼むってばよ!」


「嫌だってばさ………ていうかよ。お前、もともとは養成所の人とコンビ組んでたんだろ?今はその人芸人辞めてるとはいえ、一時的なスパイの為ってだけなら……その元相方と組んだらいいじゃん」


「お前は信じられねえかもしれないけどさ……ほぼほぼインディーズみたいなもんだったとはいえ、俺のコンビ…大破廉恥っつーんだけど……まあまあ人気だったんだぜ?そんな都合よく再結成なんて易々とはできねえんだよ」


 星畑の芸人年表はあまり詳しく知らない黒川だが、何となく聞いて来たイメージでは養成所に入ってコンビを組んで、しばらくはコンビで活動をしていたものの、相方が何らかの理由で芸人を引退することになり、それに伴って星畑も養成所を中退し、以降はほぼほぼフリーの状態でピン活動をしていた…といった感じだったはずだ。


「そりゃそうかもだけど……」


「でもよ……何か渋ってるけど……結局はUの一声でお前はやらざるを得なくなるんだろ?だったらもう踏ん切りつけてくれよ。別に売れる必要もウケる必要もないんだぜ?勿論、やるなら全力ではやるけどな」


「……まあ、そりゃあ……番組の内容だってんならやらざるを得ないけどさ……ウケるウケないってよりも何というか、『なる』のが恐いんだよな……芸人って何か独特の雰囲気みたいなのありそうだし……」


「…………まあ、それはそうだろうな……無理な頼みをしてるとは思ってるけどさ。お前初めて俺に宇宙人の話した時に俺とコンビ組む話にずっと『惹かれてはいた』みたいなこと言ってくれてたじゃん」


「言ってたけどさ………それはあくまで、何というか……お前と二人で自由に何かやってみたかったってだけでさ。それが叶ってる今としては……」


 ゴニョゴニョ言い訳をしているうちに情けなくなってきた黒川。もう折れてしまおうかと思ったその時、何かを思いついたのか星畑が「よし分かった!」と言って立ち上がる。そして詳細も話さずに黒川を引っ張って、炎天下の外に勇み出て行った。


 とりあえず引っ張られながらもなんとかスマホと財布だけは確保した黒川は、星畑に連れられるまま駅に行き、繁華街へと向かった。今となっては懐かしい、星畑のバイト先があった付近。姫月や天知と初めて会った場所である。歩きながら星畑が黒川にようやく心中を明かし始めた。


「まあ、はっきり言ってやりたくないお前に無理やりコンビ組ませるのは……気が引けるから…その気になってくれるまで待つわ。取り合えず」


「………うん」


 黒川は実はもう折れる寸前だったのだが、言えない雰囲気になってしまい曖昧な返事をする。


「でもなぁ……実は今回の件で芸人仲間と集まろうってなっててさ。もう時間が無いんだよ……お前とのコンビ交渉、スムーズにいくと踏んでたから」


「え!?……あの、もしかして今向かってるのがその寄り合いの会場ってわけじゃ」


「申し訳ないけどズバリその通りだ。マジで時間ないんだよ。ちょっと遅れてるくらい」


「いやいやいやいや…ちょっと待ってって!!何でそんなアウェーの場に立たなきゃダメなんだよ!やだよ!!俺!!」


「だって……お前を相方って言って紹介するつもりだったしさ」


「何でまだ話を持ち掛けてもいない段階で紹介するつもりだったんだよ!!」


「いや~…お前ならブックルくらいサラっと仲間になってくれるかと思ったんだが……」


「ふざけんじゃねえよ!ジンベエくらい段階踏むと思ってくれねえと!!」

「………あとブルックな!!」


「ほら…いつも通りのそのツッコミをやってくれたらいいだけじゃん」


「俺は別にツッコミキャラ目指してるわけじゃねえからな?」


 ぶつくさと文句を言いながらも、律義に星畑の後を追いかけ続け、結局居酒屋の前まで来てしまう黒川。普段ならまず間違いなく入らないであろうTHE吞兵衛の為の居酒屋である。赤ちょうちんに黄ばんだ白暖簾、そして店名は「一番星」。あれよあれよと店内に入り、何だか悪目立ちしているグループの輪の中に連れていかれる。というより、店内にはそのグループぐらいしか客が入っていない。


「すんません!遅れました!!」


「ようやくきたで!発起人が!!」

「お!横の人が星ちゃんの新しい相方か?」


 下座に座っていた青スーツの二人組が声をかけてくる。顔はあまり覚えていなかったが、その衣装には見覚えがある。だいぶ前に凛と星畑のネタを見に行った時に、彼と共に前説的なコーナーを担当していた漫才コンビだ。確か脳汁だんごとか言ったっけ。


「いや……それがまだコンビになってくれるかは未定なんすよ」


「まあ、そりゃそうか」

「来てくれるだけ有難いことやでホンマ」


 先程から交互に喋るスーツ二人組に、黒川はぺこりと頭を下げる。面識はないも同然だが、知っている人がいるというのはそれでも有り難い。


「あ……えっと、以前ステージで……拝見しました。お二人……えっと、佐藤ムネアツさんと霧島檸檬好きさん」


 我ながらよく芸名を覚えていたと内心胸を張る黒川だが、どうもテレコになっていたようで星畑にいなされる。


「バカ。逆だ逆」


「あ、すんません」


「ハハハ!よお間違えられんねん」


 比較的とっつきやすそうな二人組と挨拶を済ませた黒川は、その奥で飲んでいる二人組にも目を向けることにした。一人はメガネをかけている30代半ばくらいの男で、静かに煙草をふかしている。裏社会の雀士と言われても信じそうな見た目と雰囲気である。その向かいでは竹筒を加えた着物姿のこれまた30代くらいの女性が座っている。クオリティは低いが、おそらく『鬼滅の刃』の禰豆子のコスプレをしているのだろう。一応、頭を下げる黒川。向こうも頭を下げるだけなので軽く気まずくなっていたところ、星畑がすかさず紹介に入ってくれる。


「この着物の人がねずこほっとけないさんだ。見ての通りモノマネ芸人な。俺はこの人が鬼滅寄席を開いた時に原作読んでねえのに無理矢理、善逸役に抜擢させられた」


「ムー」


 原作キャラ同様に唸りながら女性が再度頭を下げる。


「あ、はい………よろしくお願いします」


「心配せんでええで……絶対に人はかまへんから」


「ムッ!!」(プイ)


 霧島檸檬好きがにやけながらフリらしきフレーズを言うと、すかさずねずこがプイッとそっぽを向く。間違いなく柱合会議の再現だろう。笑わなくてはいけない気がして笑う黒川。


「決まったな。自己紹介ギャグ」


「ハハハハハ……今のフリはジョナサンがダニー紹介するときの奴でしたけどね」


「しゃあない。昔は竈門タンジェロっていう……相方というか炭治郎役の人がいたんやけど」


「アフリカ系の黒人でな。芸名命名したの俺」


 聞いてもないのにドヤ顔で注釈を入れる星畑。


「もっと自分にはできることあるんじゃないかって……転職してな。今ではN〇Kのアナウンサーや」


(信じられねえくらいの栄転)


「んで……あの奥の金貸しみたいなおやっさんがSOU☆曹操さん」


「そ、曹操?」


「そう。この人は長年芸風の方針に迷ってて。最近、三国志全巻読みます芸人としてやっていくことにしたんだと」


(現在進行形で迷走中だと思うけどな)


 紹介を受けて男が仰々しく頭を下げたかと思うと、鞄から蜜柑を取り出して黒川に渡す。


「温州蜜柑でございます」


(………しかも横山光輝の漫画の方かよ)「ど、どうも」


「まあ、座ろうぜ」


「う、うん」


 取り合えず座って、取り合えず注文する。アウェイではあるが、それでも思ったより歓迎ムードで安心する。しばらくして、注文を取りに来た老婆とは違う、若い女性が料理を届けに来る。


「お待たせしました~……烏龍ハイと味噌田楽とポテトフライと手羽元で~す」


「!?」


 凛と同じボブマッシュのような髪型の女性から出された声が若干高めとは言え、明らかに男のモノで分かりやすく二度見する黒川。目が合った顔はやはりあどけない雰囲気ではあるが、よく見ると要所要所に男性の面影がある。二ッと爽やかに笑って、少年のような男が挨拶をする。


「どうもどうも……シバちゃんの相方さんだよね?」


「シバちゃん?」


「ああ……星ちゃんのコンビ組んでた頃の芸名や。司馬楽しばらくっていう名前やってん」


 聞きなれない単語を星畑の代わりにムネアツが解説してくれる。


「へ~……こいつも偽名なんて使ってたんですね」


「はい……シバちゃんはコーラだよね?」


「うん……酔って暴走したくねえし……今日は酒やめとくわ。お前も座れよ。どうせほかに客も来ねえだろ?」


 星畑に促される形で謎の美青年が黒川の向かいに座る。改めて笑顔であいさつをされて黒川も照れながら会釈する。


「黒川、こいつ……鎌田優っての。俺の、元相方」


「え!?あ、あ~……あなたが」


「も~……前みたいにブリ釜って呼んでよ~」


「やだよ恥ずかしい。いつまでコンビぶってんだよ。芸人より実家優先したくせに」


「爺ちゃん死んじゃったんだからしょうがないじゃん」


 黒川の斜め前に座っているイケメンが黒川の目の前に座っているイケメンと会話をしている。それをシゲシゲと見つめていると、心を読まれたのか、檸檬好きが声をかけてくる。


「フフフフ…………女性ファン多かったんも分かるやろ?」


「え!?あ!……そ、そっすね……ハハハ」

 

「黒川くん、仮に星ちゃんとコンビ組んだらどっちのポジション付くつもりなん?ボケ、ツッコミ?」


「あ~……ツッコミだと思いますよ」


「ええ!?シバちゃんボケなんてできるの!?」


 鎌田が驚く。そのリアクションに黒川が驚く。


「え!?星畑お前、ツッコミだったの?」


「おうともよ。ボケしかできなかったこいつとは違うぜ。俺はフタ○リなんだよ」


「そうゆう際どい事ばっか言ってるからホモだと思われるんだよ」

「なんでぇやねぇん!」


 黒川と鎌田が同時にツッコむ。直後お互いに顔を見合わせ「あ……」と気まずく頭を下げ合う。星畑の言う通り、鎌田のツッコミはどことなくイントネーションがおかしい。


「ハハハ……ツッコミのお見合いや」


「ていうか黒川くん反応速いやん。これはええコンビなれるで」


「ムムー!!」(※ねずこ)


「これならシバちゃんを任せられるね」


「い、いやいや………無理ですよ俺、極度のアガリ症ですし」


「ボクには敬語じゃなくっていいよ。ほぼ同年代だし」


「あ、そ、そう?」


「星ちゃんってやっぱ君らといる時でもボケ倒しなんか?」


「あ~……まあ、結構チャランポランなこと言ってますよ。でも、半同棲になってわかりましたけど、意外としっかり者ですよこいつ」


「ほんまかいな。自分のマイナカードシュレッダーにかけて『俺が社会的に死ぬとこ見て!』とか言うやつがか?」


「……………お前何やってんだよ」


「なんだよその目は『お前何やってんだよ』とでも言いたそうだな」


「言いたそうじゃなくて言ったんだよ。ああいうのわざと壊すのって犯罪だろ?確か」


「いいんだよ。政府からの監視とマインドコントロールを未然に防いだんだから」


「陰謀論者みたいなこと言ってんじゃねえよ」


「ンフフ…心配すんなよ。ちゃんと再発行したから。ホレ」


「冷やし中華の具材よりも薄いお前のボケのために役所の仕事増やしてんじゃねえよ………ってアレ?………お前、何か写真の顔違くない?……あ!こ、こいつ!二重に整形してやがる!いや、メイクか…どっちにしろ何やってんだよマジで」


 先程、意外としっかり者なんて評価を出したことを悔やむほどボケを重ねてくる星畑。それにいとものテンションで返していた黒川だが、ふと周りを見渡すと星畑以外の面々がジッと黒川を見つめてきていた。そして口々に黒川を称賛し盛り上がる。


「いや!ホンマに凄いやん!台本ホンもないのに漫才みたいやったわ!」

「しかも俺らでも対処に困る星ちゃんの微妙なギャグを!」

「ンー!!」(※ねずこ)

「お見事ござる」


「え、いや、ホント……大げさですって……別にこんなの何とでも……」


 と、言いながらも何だかんだ「やっぱ俺ってツッコミ気質だったんだな」と自惚れに近い感情を抱く黒川。そんな彼に唯一今ひとつピンとこない(※ねずこと曹操は黙殺)称賛をする者がいた。星畑の元相方、鎌田である。 


「凄いよね……ツッコミも何かインテリっぽいもん!いんぼーろんとか、難しい言葉使ってて!」


「え?……そんなインテリ臭いこと言ってないと思うけど」


 キョトンとする黒川に星畑がクククと笑う。


「いい忘れてたけどな黒川。こいつ、かなり上位レベルの馬鹿だから……」


「え?そーなの?」


「まあ、黒川くんみたいに大学行ってる人からしてみれば馬鹿だけどさ」


 馬鹿と言われた鎌田が若干気を悪くしたように、そっぽを向く。


「でもなぁ……カマちゃんはちょっと笑えへんくらいやからな…自分の名前漢字で書けへんやろ?」


「か、書けるよ!ホラ!!」


 サラサラとエプロンに入っていたメモ帳に名前を書いてみせるが、事前に鎌田優と本名を聞いていなければ読解できないくらいに崩されている。字が汚いというより細かい部分を誤魔化すためにあえてぐちゃぐちゃにしているようである。


「………どう!ちゃんと鎌田優って書いてあるでしょ?」


「えっと………ノーコメントで」


「何も見なかったことにしよう」ガリガリ


「ああ!ひどい!!」


 曹操がどこからか取り出したサインペンでグリグリと名前を黒く塗りつぶす。


(この人……サインペン持ち歩いてるんだ)


「………黒川よお…もっと俺以外の人らにも突っ込めよ。家と違って芸人なんだから、いくらでも思ったこと言っていいんだぜ?」


 明らかにツッコミどころ満載の鎌田の名前をノーコメントにしたのが気にかかったらしく、星畑が背中を押してくる。その他の芸人たちも笑顔で頷いてくれている。


「あ、すいません……そ、それじゃ……もしかしていつもサインペン持ち歩いてるんですか?」


「!?」


「ハハハ!!そ、そこには!そこには突っ込まんでやってくれ!!」


「ボケやと思われてるやん!!SOUさん!」


「とてもつらい」,


「あああ!すんません!!」


「黒川お前失礼だぞ!……まあ、俺もちょっと思ったけど!」


「ムームムッムムムッムムーwww!」(※ねずこ)


(……禰豆子そんな笑い方しねぇけどな)


「………だから黒川……それを言えって」


「…………ハイ」


 黒川の失礼なツッコミが連中のツボに入り、場が温まる。おかげでそこからは割合、スムーズに話もお酒も進み、アウェイだった黒川に取っても楽しい時間となった。黒川と星畑がコンビを組むとか、ラヴ・フールのパワハラ疑惑とかそう言った今回の主題を忘れ、全員がへべれけになった段階で何故か黒川の方から、コンビについてを切り出す。


「んでさぁ……あの……俺はどう、どうすりゃいいのぉ……そん、何つったっけ?あ、そうだ!マグマ芸能?……フツーにすぐ入れるもんなわけ?」


 強くもない酒をグイグイ飲んでしまい親にも見せたことが無い呂律の回らない状態で誰にか知らずぶっきらぼうに尋ねる黒川。凛には見せられぬこの姿である。


「ホホ!何さ黒川くん……もう漫才やる気マンマンマンぐり返しやないのぉゲハハ!!」(※ねずこ)


「姉さん……ちくわ外れてまっせ」


「ちくわ大明神!ちくわ大明神!」

「ちくわしか持ってねえ!!」


 一滴も飲んでいないはずの星畑だが、場酔いしているのか周囲のテンションに合わせ、ねずこほっとけないの口に竹筒を押し当てる。その背後でちくわという単語に反応したコテコテ関西弁コンビがまたはしゃいで大笑いする。


「ヒヒヒヒ……脳汁だんごのお二方、それ俺が中学生くらいの時のお笑いですよ」


 ようやく気後れせずにズバズバ言いたいことが言えるようになった黒川であるが、フニャフニャへらへらしているため微妙にキレがない。しかもそれを咎める者もいない。有体に言えば見てられない程浮ついた空間になっているのである。鎌田だけが流石に店員である手前、正常を保っているが、天然からかズレた指摘ばかりする。


「脳汁だんごって長くて言いにくいよね……何か略称とかないの?」


「こ、ここに来てシンプルなダメ出しかいな」


「お前それYES怪奇どんぐりRPGにも同じこと言えんの?」


 すかさずボケる星畑だが、ユニット名を間違えるという凡ミスをかましてしまう。年季からか星畑のミスにはスムーズに突っ込める黒川。


「怪奇!YESどんぐりRPGだよ。間違えんなよ本職がよ」


「あ、ヤベ…シンプルに間違えちゃった」


「でも、事実コンビ名とかグループ名ってムズいよなぁ」


「俺らの奴も『ねこぢるだんご』って漫画パクった苦肉の案やしな」


 脳汁だんごの2人が顔を見合わせて己の芸名を顧みているところに、星畑がいつもの真顔で己の芸名論を説きはじめる。


「怪奇~……はそれぞれの芸名組み合わせた結果だから良いんすけどね。長すぎたり、奇をてらい過ぎると認知されにくかったり親しみにくくなっちゃいますから」


「……何でそこまで意識向けれる奴が大破廉恥なんて奇しかてらってねぇコンビ名にしたんだよ」


「そうだよね!簡単に書けるコンビ名にしてほしいよね!」


 鎌田が頭の悪いクレームを入れるが総スカンを食らう。


「お前が貸してくれたサザンのCDの歌詞カードペラペラ捲って決めたやつなんだけどな」


「サザン?……え…………っと……あ!『欲しくて欲しくてたまらない』か!………そう言われると急にセンスある名前に思えてきたな」


 相も変わらず価値観が薄っぺらい黒川も無視して、尚且つまだ2人はコンビを組んでいるわけではないという事情も無視して、檸檬好きが恋柱が如くねずこにちょっかいをかけている星畑に質問をする。


「そんで星ちゃん……新しい……というか潜伏用のコンビ名はどうするつもりなんや?」


「え?………ああ~……全然考えてなかったな。黒川が決めろよ」


「ええ!?…勘弁してよ。俺そう言うセンスねえぜ?」


「お前好きなもの多いんだから……その中の何かから取ればいいじゃん。さまぁ~ずみたいに」


「……元はバカルディだったじゃん。しかもそれウッチャンの案であってさまぁ~ずがそうしたわけではないし」


「自分好きな芸人は誰なん?」

「脳汁だんごか!?……ダハハ!」


「ハハハハ………プライベートならすっかり好感度一位ですけどね。芸人さんは基本好きだし尊敬してますけど」


「坂上忍みてえなこと言ってるじゃん」


「いいだろうが別に……それが問題あるみたいな言い方すんなよ」


「う~ん……それこそさまぁ~ずとかダウンタウンとか……好きですけど」


「岡村靖幸と一緒じゃん」


「ヒヒヒ……だから別に一緒でもいいだろうがっての」


「じゃあ、好きな女の子はいないの?霧島ちゃんなんてそれで檸檬好きにしたのよ?」(※ねずこ)


「そやでこいつ、『こち亀』の檸檬ちゃんが好きやねん」


「レ、檸檬ってそこ由来だったんですね」


「あれレモン好きって言ってたんだ……僕ずっと霧島・D・モンスキーって言ってると思った」


「誰が神の天敵やねん!!」


「じゃあコンビ名はスターリンで決まりだな」


「決まらねえよ!?」


「意外に過激な思想の持ち主やったんやな黒川くん」


「……あ~…もう、そういうことでいいっス」


「じゃあ、もう1、2の3で決めようぜ。どうせ仮のコンビなんだし」


「どうせやったらおもろいこと言ってな黒川くん」


「………ええ~……」


「ほい……じゃあ、1、2ぃの……3!!」


「………て、天さん死なないで」


「ンフフ……悪くねえな」


「どうも俺にはピンとこねえな」


「………張飛は黙っててくださいよ」


「大喜利としては好きだけど、芸人が『死』の付くコンビ名はNGってまっちゃんが言ってたんだよな」


「じゃあもう、お前が決めろよ」


「ま、おいおい決めようぜ……おいおい」


「逃げやがった………ていうかさ。ずっと気になってたんだけど……その、マグマ芸能が開くっていうオーディションに出るのはいいけど……そこからマグマ芸能に具体的にどうやって潜り込むんだよ」


「それは俺よりもじんごの2人が詳しく教えてくれるぜ」


「脳汁だんごをそう略さんといてくれへん!?」

「チ〇コみたいやん!」


「え?お二人が?」


「ああ、俺らマグマ芸能やからな。実は今年ラストイヤーなんやけど、毎年件の大会って言うかオーディションには出てんねん。そんで……その大会なんやけど……毎回終わったら宴会が開催されるんや。大会で印象深かった奴はそこに招待されるんや……しかもそれがただの宴会やない」

「そうや……それはマグマ芸能の新人歓迎会も兼ねとるでっかい飲み会やねん。会社のお偉いさんからベテランから、他事務所の芸人から……芸能関係者から……女の子から」


「女の子?」


「ああ……毎回、若手の何組かは盛り上げように女の子連れて行くのが義務付けられてんねん。もちろん大会経由で呼ばれる俺らには必要無いけどな」


「なんかヤリサーの飲み会みたいっスね」


「ハハハ……しょっぼいしょっぼい芸能社やねん。下劣やしな。マネージャーも幹部も態度悪いで」

「そん中でラヴ・フールさんは一筋の希望というか良心やった」


「親同然ってことだね」


「その両親やないわ!ブリちょっと黙ってろワレ!!」


 しんみりしてるところ、鎌田に天然ボケで横やりを入れられ、キレるムネアツ。アンタこれしてなさいと、ねずこに竹筒をかまされ、シュンとする鎌田。


(俺のヤリサー発言の方が無礼な横槍だった気がするんだけどな)


「せやから。俺らも星ちゃんと同じ気持ちや。せやから何でも協力したる」


「協力?」


「そう!ホントは俺らある程度ウケたり印象に残ることしねえと飲み会になんか呼んでもらえなかったんだけど……事務所の2人が顔役として俺らを会に招いてくれる手筈になってんだよ。さっきウケる必要もないって言ったのはその為だな」


「適当にやってればよろしい」


「なるほど!………って……それだったらさ…別にオーディション出る必要ないんじゃない?ていうかコンビ組む必要…ってか俺必要ないんじゃない?お前ひとりで招待されればいいじゃん」


「…………そうなんだけどな」


 黒川の指摘に気まずそうに頭を搔く星畑。


「シバちゃん……マグマ芸能のスタータレントの人とめっちゃ仲悪いの」


「……仲悪いって言うか……嫌われてんねん」


「へえ~」


「あれ?そんな反応なん?」


「いや……こいつが嫌われるなんてしょっちゅうですし……最近はマシですけど、高校の頃はかなり嫌われてましたよ。まあ、こいつを嫌うタイプの奴って基本的に陰キャから嫌われてるタイプの陽なんで俺もそいつらのこと嫌いでしたけど」


「星ちゃんのこと嫌ってる人もまあ、俺らみたいな売れてなくて尚且つ地味な芸人からは嫌われとる。売れたら正義、それ以外は悪っていう……まあ、ある種正しい考えの固まったみたいな人やった。櫛田シュナイダー影末って言うんやけど」


(………スターのはずなのに知らねえな)


「シバちゃんね。僕とコンビ組めなくなって一緒にNSC辞めちゃった後、脳汁だんごさんやラヴ・フールさんたちと知り合って、マグマに入ることになってたんだよ」


「え?そうなの?……ずっとフリーだと思ってた」


「ブリ……いいから。よせって」


 星畑が真顔で制する。いつもと違いおそらく真面目に止めているのだろうが鎌田は聞かない。


「ダメだよシバちゃん。今回の件に協力してもらうなら、できる限りのことは話さないと」


「せや。カマちゃんの言う通りや」


「いや………良いっすよ別に?……要するにその影末ってのと険悪だから身分隠して出ないとダメってことでしょ?……事情は分かりましたから」


「え?……そ、そう?」


「黒川………」


「星畑はアホだし寒いし、鼻につくけど……良い奴です。皆さんがラヴ・フールさんがパワハラしてないって当たり前のように信じてるのと同じで……俺も今の星畑がウザがられこそすれ、そこまで嫌われるようなことしないって分かってますから。問題あるのは影末って方なんでしょ」


「シバちゃん……良い相方を持ったねえ」


「泣けるなぁ……今頭の中に『木綿のハンカチーフ』流れたわ」


「………悲恋ソングですけどね」


「黒川…お前……まあ、イケメンホストキャラで売ってる影末さんが、イケメンで尚且つリアルホストだった俺が事務所に入ったら仕事の枠取られるって危惧しただけなんだけどな」


「言うんかい!!……しかも理由しょうもな!!」


 黒川がマンキンの関西弁ツッコミを入れ、会はお開きになった。と言っても午前中に集合したのでまだまだ日は高いところにあるのだが。真っ昼間からすっかりいい気分になってしまった黒川は、会が終わるやいなや速攻でシラフに戻った星畑と共に、もうしばらく繁華街を渡り歩いたのだった。




             3


 さて、時を遡り星畑が黒川を引っ張り家を出た頃、その様子を壁にへばり付きながら見守っていたカタツムリがいた。


「く、黒川さんと……星君が……コンビ!?」


 そして二人を影で見送ったあと、歳の数ほどこの言葉を繰り返して、今度はまたブツブツと同じことを繰り返しながらリビングをグルグル周る。

 

「め、めちゃくちゃ見たい……ばってん…これは単なる遊びや企画じゃなか!……私が何ばして邪魔なんてしてもうたら……ああう…でも………これは流石に無視できんと」


「何が無視できないの?」


「ひゃわ!!ヒ、ヒナちゃん!!」


 どうも二人の会話を盗み聞きし、今回の計画及び作戦を知ってしまったようである。好奇心の悪魔と忠義心の天使が格闘している中、凛が真に入れ込んでいる天使が覗き込んできた。昨日は金曜日だったので誕生日会のあと岩下家から引っ付いて来ていたのだ。


「え、えっと……な、何でもないです!何でも……」


「お兄ちゃんと星ちゃんがコンビ組むの?」


「ひょ!!な、何故それを……」


「たった今凛ちゃんが言ってたのを聞いたんだけど……コンビって漫才のコンビだよね?番組の企画?」


「うう……その通りのような……ちょっと違うような……」


 そこまで知られては仕方がないと、観念して全て白状する凛。それを聞いて陽菜のテンションが急激に上がる。


「え!お兄ちゃんと星ちゃんが漫才の大会に出るの!?見に行きたい見に行きたい!」


「そりゃあもう!私も行きたいですよ!………でも、今回はパワハラ騒動の真相を調べるための…言わばスパイですから…私達がお邪魔していいとは思えなくて……」


「とうして?」


「え?どうしてって……ですから…見に行ったりしてご迷惑をかけてはいけないじゃないですか」


「?…ヒナたちが見に行っても迷惑なんてかからないと思うよ?だってお兄ちゃんたち以外みんな知らない人なんだし」


「そう言われてみれば……で、ですが!やっぱり私達には秘密の作戦なのかもしれませんよ!?特に黒川さんとか…知り合いに見てほしくないかも……」


 ズバリ的を得た指摘をし、陽菜も「あ、そうか」と言葉に詰まるが、どうしても見に行きたくて仕方がない二人はしばらく固まった後に二人同時におずおずと声を揃える。


「「変装すれば………」」



             4



「変装って言ったらそのド派手な金髪からどうにかしないとだよな」


 繁華街の喫茶店でガバガバ水を飲みながら黒川が言う。大会に行くため、変装が必要なのは星畑も同じである。


「それは美容院行って染めるわ。ヅラはなんか落ちそうで怖いし。あとは………そうだな。キャラ作りも込めて顔面真っ青に染めようかな。ナスDみたいに」


「………メガネくらいに抑えてくれ。ていうか染めるのかよ。えらく大掛かりだな」


「い~のい~の……どうせもうじき染め直さなきゃ駄目な頃合いだったし」


 そう言ってプリンアラモードを完食した星畑は、さっさと喫茶店から出て美容院に行ってしまった。酔いも冷めてきた黒川は寝不足の目をこすり家に帰ることにした。

 

 しかし帰る間際、連絡先を交換したての鎌田から電話が入り、再び先程の居酒屋に戻ることになった。呼び出されたのは黒川だけで、星畑とは適当な理由をつけて別れてくれと念を押された。

 店の前では、鎌田はエプロン姿から私服に戻り、店の前で待っていた。自分よりも身長の低い男は久しぶりだなとどうでもいい事を考えていた黒川だが、鎌田の顔は何となく神妙そうである。


「………黒川君……えっと……ホントにシバちゃんとコンビを組むんだよね」


「あ、は、はい。まあ、一応……星畑の調査?っていうか捜査っていうかに協力するだけで、マジで芸人になるつもりは無いけど」


「………うん。それは全然いいんだ。でもさ……何となくだけど、シバちゃんと黒川君…お笑い芸人ではないけど、なんか一緒になんていうか………特別なことしてるでしょ?」


「え!?……ああ、まあ、してるといえば……してるけど」


「うん……あ!ごめんね!変なこと言って!!ホントに変なこと言うつもりはないんだ!」


 シッチャカメッチャカなことを言っているが、ニュアンスで意味は分かるので、黒川もウンウンと頷く。


「あのさ………黒川君には、ホントのこと言っときたくて……シバちゃんのお笑い芸人人生を邪魔したくないから……ホントのこと言ってないんだけど、嘘ついたんだけど」


「ん?………う、うん」


 どうも凛と同じで言いたいことがごちゃごちゃになり、話の順序があやふやになるタイプらしい。ニュアンスでも理解しにくくなってきたが、要するに星畑にも言っていなかったことを黒川に教えてくれるのだろう。


「僕ね……ホントは別にウチが潰れちゃっても全然いいんだ。おじいちゃん死んじゃったけど……おばあちゃん株で死ぬほど儲けてるからお金には困らないし……ご飯が不味すぎてレビュー、脅威の☆1だし」


「一番星ってそういう……」


 思わず突っ込んでしまったが、話の論点…というか本来突っ込むべき場所はそこではない。


「ええっと……確か……星畑には実家の居酒屋を継ぐために芸人辞めるって話してたんだよな。何でわざわざ嘘なんて……もしかして、やっぱ星畑とコンビ組むのってしんどい?」


「ううん!すっごい!!楽しい!!……今まで生きてた中で二番目に楽しい時間だった!!」


「そ、そうなんだ……ちなみに一番は?」


「本番NGのお店だったのに、ゴムつけずにしてくれた瞬間かな……僕がタイプだったみたいで」


「………あっそう」


 爽やかで少年のように屈託のない雰囲気とは打って変わって好色男だったのかと身構えつつ、それで真相はと黒川が尋ねたところ鎌田はたるんだ顔を引き締め、再度シリアスな雰囲気を作る。


「そう……僕、ホントはシバちゃんと二人で芸人になりたかったんだ。でも………」


「辞めざるを得なくなった………と」


「うん………僕ら、養成所に通いながら、自分たちで寄席とか開いてお客さん呼んでたんだけど……そこで……僕、ファンのストーカーにあっちゃって……」


「あ……あ~……あ~……」


 ストーカー…何ともあり得そうな話だな。と黒川はしきりに頷く。このビジュアルなのだ。それに芸人の卵というガードの緩さ。痛いファンがいてもおかしくはない。


「あ!でも、僕のファンじゃないんだよ!?……僕じゃなくて…シバちゃんのファンなんだ。それで、相方の僕が妙に憎いみたいで毎日のように……脅迫状とか、嫌がらせとか」


「ええ~……マジで」


「マジもマジだよ!……誰かに相談したらなぶるように殺すって書いてあって……住所まで特定されたし…ウチの居酒屋までバレたし……僕…怖くって」


「誰にも相談してないってことは……星畑とか他の芸人さんも知らないってこと?」


「うん……それで……おじいちゃんが亡くなったタイミングでシバちゃんに嘘ついて辞めたんだけどさ……そもそも、そのストーカーが僕をつけ狙ってた理由っていうのが……シバちゃんとコンビ組んでたのが許せないっていう言いがかりもいいとこな理由だったんだ!!」


「そいつは星畑にどうあって欲しかったんだろうな」


「分かんない……僕のボケがへたくそだったのがムカついたのかもしれないし…単にシバちゃんにピンでいて欲しかっただけかもしれないし」


「でもさ……もろ刑事事件じゃん。いくら何でも警察に相談すればよかったんじゃ」


「うう……そうなんだけどさ」


「まあ、怖いよな。当事者じゃないのに知った風なこと言ってごめ」


「シバちゃんが頭おかしいファンから全裸自撮り写真送られたときは、シバちゃん…それをおかずにステージでお赤飯食べて見せてたし……その相方の僕が脅迫文ごときで日和ってるってバレたら恥ずかしくて」


「………俺、明日からアイツを見る目が変わりそうだよ」


「そ、それはともかく!!……シバちゃんが新たにコンビを組んだって万が一…そのストーカーに知れ渡ったら黒川くんが被害に遭うかもしれないよ!だから僕…」


「ハハハ…まあ、気持ちは嬉しいけど。あり得ないでしょ?だって、そもそも星畑ってバレたらダメな体でやるんだからさ。コンビ組むのだって今回こっきりなんだし」


「そ、そうだけど!あの女はマジでヤバいんだから!!……大会当日は僕も行くからね!行って、あの女がいないか見張るから!」


「え?そのストーカーの顔割れてるの?」


「う、うん!怖いけど……今の特に失うものの無い僕ならいけるはず!!」


「………まあ、心配ないって……気遣ってくれてありがと」


「そうかな……そうだといいんだけど………あ、でも、どっちにしてもみんなと応援には行くからね!」


「あ~…嬉しいような、嫌なような…」




                      5



「変装って言ったら……凛さんはまずそのピンク髪どうにかしなきゃなんじゃないですか?」


「まあ、それは後でおいおいと……まずは衣装です!!」


 再びシェアハウスにて。凛が自室のクローゼットとタンスにこれでもかと詰まった衣類を引っ張り出す。それを見ておお~っと歓声を上げる陽菜瑠奈シスターズ。陽菜の横にも大きなスーツケースがありその中にはたくさんの衣装が詰まっている。変装用の装いを凛と決めるため、自宅に戻って引っ張ってきたのだ。その際、事情を聴いた瑠奈もついて来て現在に至る。


「すっご~!凛さんたくさん服持ってるんですね!!」


「フフフ……その気になれば365日全く異なるコーデができますよ!リアルシエルくんと呼んでくれても大丈夫です!」


「これ……カッコイイ」


 衣装の山の中から、陽菜が一着のTシャツを広げる。真っ黒な生地にポツポツとサイケデリックなカラーリングの文様が浮かんでいる。さながらロイコクロリディウムに寄生されたカタツムリの視界である。


「おお!流石ヒナちゃんお目が高い!それは私が初めて一人中州に躍進した際に、かっちょいい古着屋で購入したものです!」


「凛さんの服装ってずっとハイセンス(※オブラートに包んだ表現)だと思ってましたけど……こうして見ると……うん!…けっこう私的にもアリなのが多いですね!!」


「えへへへ……他人様にファッションを褒められるのなんて、眼前さん以来です」


「わあ……見て見てお姉ちゃん。この服……ほとんど網だよ」


「うっわ~……もう棒にも箸にも金魚がかからなくなったポイみたい……流石凛さんエチチですね~」


「そ、それは服じゃなくって……こう!こんな感じで……ちょっと肩にかけるんです!」


「へ、へ~……」

「そっか……」(※この時2人が「何のため?」と思ったことは言うまでもない)


「すごい……ネックレスや指輪がいっぱい」


「あ、このチョーカーカワイイ!……ちょっとつけてみてもいいですか?」


「うへへ……似、似合いますねぇ……チェンソーマンのレゼみたい」


「ナタリー・ポートマンみたいって言ってくださいよぉ…それを目指して髪短くしてんですから」


「お姉ちゃんもうじきヤクザを始末しまくるんだよ。いいなぁ、ヒナもやりたい」


「フフフ……悔しければアンタもさっさと女優に復帰しなさいな」


「ドラマ……映画のお話ですか?」


「いえ、舞台です。私、中盤の方で敵方のスパイだった相棒の凶弾に倒れますけど、良かったら見に来てください」


「い、行きます!行きます!!な、なんかサラッと重大なネタバレ食らった気もしますけど……」


「……お姉ちゃん似合ってるけど……でも、全然変装じゃないよ?」


「というより…瑠奈さんもライブに来られるんですか?勿論歓迎しますけど」


「いや~、う~ん………丁度一週間後でしょ?難しいかもな……でも見たいな~」


「お仕事です?」


「いえ………お母さんがいよいよ子役スクールに行く日なので、サボらないように見張っとかないと」


「み、見張らなくても大丈夫でしょう……それは」


「いやいやいや!!……弱弱モード時のうちの母のダメっぷりを嘗めてもらっちゃあ駄目ですよ!」


「すっごいゴネるよ。私達が遊びに行くなんてバレたら、『私も一緒に行きます』って絶対言うよ?」


「ど、どんだけ嫌なんですか………」


「やっぱゴネるよねぇ……『母を地獄に押し付けて行くお笑い劇場はさぞ痛快でしょうねぇ』とか言いそう」


「お弁当のご飯に海苔で裏切者って書くよ」


「5分に一回、バムケロのジト目スタンプ送ってくるね」


「そ、そこまでですか?………で、でもそう聞くと、大地さんってちょっとカワイイですね……なんて、えへへへへへびょ!?」


 娘たちに好き勝手言われている大地のゴネる姿を妄想してクスクス笑っていた凜だが、廊下にひょっこりご本人が立っているのを見つけ、ぎょっとする。


「凛さん?………ッてうわ!!いつの間に!!」

「お母さん!?」


「……………どうも……玄関のカギはかけておいた方がいいですよ」


「……………い、いつからいたの?」


「ヒナさんが家のお洋服を丸ごと持っていってしまわれたので、慌てて追いかけたんです。私のお化粧ポーチまで……」


「ヒナ、お母さんの服や化粧まで持ってきたの?」


「……………だって変装だし」


「……………まあ、わけさえ分かれば()()()()は良いのですが…ハァ」


 実の娘からの陰口は流石に応えたのか大地がため息を吐く。


「う……ごめんなさい」


「いえ別に………いけませんね。一人の母親としてこんなことでは……キュートの化身である凛さんにカワイイなんて言われるようでは」


「じゃあ当日もすんなり行くってこと?」


「そうしたいのは山々ですが、うら若い娘たちを遥々大阪まで旅立たせるのはいかがなものかと…やっぱり一人の母親として……」


「……娘を一か月近く東京に置いた状態で悠々と関西に旅立ったくせに」


「………ていうか会場、東河原駅前のホールですよ?……めっちゃすぐ近くです」


「お母さん。帰ってきたら私がいっぱいぎゅってしてあげるから……がんばろ?」


「………ハア……いえ、ご心配なく…娘の手を煩わせずともちゃんと一人で新幹線の切符を買えますので」


「本当に大丈夫?前みたいに名古屋で降りちゃダメだよ?」


「今度、矢場〇んの豚とのツーショット写メしてきたら口聞かないからね」


「はあい」(シュン)


「………」(←私はこんな人にお子様だのキュートの化身だの言われたのか……と思っている)


「……まあ、そういうわけですから、ルナさんも私のことは気にせず黒川さん方の勇姿を見届けてきてください」


「あ、うん……ありがとう?」


「フフフ、これでお姉ちゃんも一緒に行ける」


「えへへへ…良かったですねえ。さあ!そうと決まれば張り切って目一杯仮装……じゃない変装しますよ!」


「おー」


 というわけで、変装の為に用意した衣装を次から次へと身に纏っては口々に意見を出し合うのだが、仲睦まじいことが災いし、早々に単なるファッションショーと化してしまう。陽菜が何かを身に纏う度に母親とキュートの化身はパシャパシャ写真を撮る。


①全身髑髏コーデ  (コーディネーター兼モデル:岩下陽菜)

 真っ黒な生地のど真ん中に真っ白なしゃれこうべをプリントしたTシャツは、さながら死体置き場でこけてしまったヒロシのようである。サイズ違いのシャツを無理矢理インしたせいで機能性には難があるが、デニムのショートパンツと海賊旗に掲げるようなバッテン髑髏が刺繍された黒のハイソックスが、年相応の無邪気さを演出している。案の定髑髏まみれのナップサックは高校時代に須田凛が家庭科の課題で作成したハンドメイド品である。C+評価を下されて以降、ロクに日の目を浴びてこなかった新品同然のアイテムだが、自転車のカギくらいならすり抜けてしまえそうな穴が無数に開いているため使用の際は注意が必要である。唯一の変装要素であるつばの深い黒のキャップは元々モデル本人の私物である。今回のコーデに伴い、須田凛がリサイクルショップで5個300円でまとめ買いしたドクロのバッチが至る所に付けられることになった。


20歳大学生

「こ、こんなに骨まみれなのに骨抜きになっちゃう可愛さ!!流石ヒ(略)」


35歳経営者

「PAT〇Uのキャップ(¥38500)が………」


14歳子役

「あのさ……変装って言葉の意味知ってる?」


②エンジェル・ダスト~死の接吻~ (コーディネーター:須田凛 モデル:岩下陽菜)

 モデルが用意した大量の衣服の中から、コーディネーターが目ざとく見つけたくまさんの着ぐるみパジャマを白昼でありながら堂々と着用させた大胆なコーデ。モデルの姉が小学校中学年の時分に、撮影後そのまま子ども服企業から譲り受けた頂き物ながら、度重なる洗濯の末すっかり毛が立っている。しかし逆にそのことで表面的なふわふわ度が上がり、モデルの持つ先天的な柔らかい雰囲気も合わさって奇跡的な抱き心地を誇っている。コーディネーターはその抱きしめずにはいられない愛らしさに目をつけ、あえてパジャマのボタンを大胆に開放させ、胸元を曝け出す趣向を凝らした。勿論パジャマの下にはインナー代わりの半袖シャツを着ているのだが、そのシャツには乙女なら悲鳴を上げかねない程の恐怖画像(伊藤潤二の淵)がでかでかと印刷されているのである。強烈な死の要素はあくまでその一点のみであり、足元は素足にモコモコの冬用クロックスであくまで小動物的な毛皮の体を守っている。


20歳大学生

「ぶへええええええ!!……う、うぷ!か、かわいすぎて……吐きそう……うぷ」


35歳経営者

「………………………………………」(←全力で淵から目を逸らしている)


14歳子役

「だから……変装って言葉の意味分かってるっての」


通りすがりの21歳自称モデル

「アンタそのかっこ暑くないの?」


③「パパ!清水寺って楽しいね!」 (コーディネーター:岩下大地 モデル:岩下陽菜)

 モデルの持つ旨味を全て活かしたかのような上品ながら愛らしさ溢れる純白のワンピースに信〇郎帆布のショルダーバック。ケ〇トスペードのブレスレッド。バー〇リーのハット。デ〇オールのヒール。叶姉妹が出演していないスターの私服ならばベストファイブは硬いのではという最強コーデでどこに出しても恥ずかしくない完璧美少女が爆誕した。タイトルにある清水寺要素についてコーディネーターに尋ねてみたところ「おや?見えませんか?仲睦まじく彼女と手を取り合う、るるぶ京都を手にした長身の紳士が」と要領を得ないコメントを残した。


20歳大学生

「多くは語りません。ただ、手を合わさせてください。この純白の天使に……」


35歳経営者

「おやおやヒナさん……そんなに慌てなくても八ッ橋は逃げませんよ…フフフ」


14歳子役

「もうヒナじゃん!ただのヒナじゃん!余所行きじゃん!前これで銀ぶらしたじゃん!」


通りすがりの21歳追いはぎ

「あ!信〇郎帆布!!ガキには勿体ないわよ!ちょっと貸しなさい!」


④「ニッポンアイシテマース!」 (コーディネーター:岩下瑠奈 モデル:岩下陽菜)

 今回のテーマである変装コーデを忠実に守り、今までのモデルのイメージを大きく覆す大胆な花柄キャミソールと際どいミニスカートを合わせたフレッシュながら少し危ういファッションである。天才子役という仮面を外せば静謐な雰囲気の似合う整った顔立ちで、おおよそ今回のコーデが似合うとは思えないが、そこはバービー人形か年越しのニューヨーカーくらいしかしないようなドでかい星型サングラスで覆い隠し文字通りカバー。彼女のアイデンティティとも言えるふんわりさらりとした黒髪も、金髪のウィッグで覆い隠し、トドメにメイクさん仕込みのお化粧で頬に赤みを出し、高級日本人形もしくは冬目景の全力画力のようだった小さな大和撫子を、羽田空港降りたてのメリケンガールに変貌させた。あとは天才子役たる彼女の英語力に期待である。


20歳大学生

「こ、これは流石に解釈違い……い、いえ!いくら顔と髪を隠しても伝わってきます。中に輝くものが眠っていると……コ〇スの包み焼きハンバーグのよう!!」


35歳経営者

「あ、いけません。ヒナさん。見えちゃいます。ていうか今チラッと見えました」


14歳子役

「どう!?これがヒナに見えるかっての!変装って言うからにはこれくらいしてよね!!」


たった今帰宅した42歳管理人

「おや……陽菜ちゃん。変わったおめかしだね?フフフ…夏を先取りかな?」


14歳子役

「………………………………………」



 瑠奈のツッコミ通り、まともな変装と言えるものは少なかったが、それでも家にあるモノでは限界があるようで、ウィッグをかぶっても陽菜特有のオーラがなかなか消えてくれない。


「フム……見た目さえ何とか出来ればあとはヒナさんの演技で何とでもなると思うのですが」


「やっぱりこれだけ整っていると…どれだけ隠そうとしても光が漏れてしまうのですね。恐ろしい天使ですよ全く!」


「みんなはしないの?変装……なんか私ばっかり着てるけど」


「えへへ……私は黒のカツラさえ被ればどうとでもできますよ……まあ、肝心のカツラが無いので買いに行かなくちゃですけど」


「それじゃあヒナの変装もその時、テキトーな服見繕いますか?」


「わざわざお金出してダサい服買うって………何か損した気になりますけどね」


「あ!じゃあ、借りればいいんだよ!私、あみんちゃんのとこ行ってくる!!」


「いくら何でもやめなさい」


 陽菜がさらっと失礼なことをしようとするも首根っこを大地に掴まれ、そのまま家族3人で帰っていった。明日の日曜は家族3人で遊びに行くらしい。その後、黒川と星畑が別々に帰ってくる。黒髪となった星畑のイメチェンに姫月や天知がこぞって質問し、それに対し星畑と黒川の2人がサラっと事情を打ち明けていたことは、後ろめたさから巣に籠ってコソコソしていた凛には知りえない話である。





                     6



 さて一週間後、本番当日である。その日限りのオーディション会場には早朝から芸能事務所の面々がいそいそと準備したり電話したりと慌ただしく動いていた。そのホールがあるビルの前には出番を待つ売れないどころかプロですらない芸人くずれ達がソワソワとしている。その集団とは少し離れたところに、黒髪黒スーツの2人組がスティックパンをもさもさ食いながら集団を観察していた。星畑と黒川改め、大馬鹿田下劣とイーガーハン童貞の2人である。黒髪に加え、七三で分けたメガネ顔は言われても中々星畑とは分からない。


「どうよ?知ってる人いる?」


「めっちゃいる。けどまあ、大半は素人だな……当たり前か」


「少しでも好きな芸人に会えるかもと思ってた俺がバカだったな」


「いやいやよく見ろよ。ケツ穴バクシーシさんが居るじゃねえか。サイン貰ってこようかな」


「…………ていうかさ開場8時半って……こんな朝早くから開いてお客さん来るの?」


「知らん。でもまあ、参加者は無駄に多いし、これを全部一日で見るってなったらそりゃ時間も早くなるだろ」


「………施設費をケチってるんだな……あ~なんか急に緊張してきた。お前の考えたネタもまあまあサムいし……こりゃダメかもしれん」


「お前なあ……まあくどいようだけど、脳汁の2人に連れてってもらうからいいだろ別に。楽しめよ」


「そういや、その脳汁さんは?……鎌田くんとかも来るって言ってたけど」


「そういや見ねえな」


 同じく参加者である脳汁だんごの2人を探す黒川と星畑だが、先に見つかったのは応援に来た鎌田ら居酒屋メンバーであった。はじける笑顔でブンブンと手を振りながら、こちらにかけてくる。


「頑張ってね!黒川くんにシバちゃん!……僕、楽しみで応援団扇まで作っちゃった」


 でかい声で正体を言った後に、得意げに「黒川くん」「しばらく」と名前が書かれた団扇を曝け出し星畑からチョップをお見舞いされる鎌田……は置いておき、黒川はねずこに脳汁の所在を尋ねる。しかし、彼女らもまた、2人の行方を知らない様子である。

 

「ええ………もうあんま時間ないですよ?」


「営業で朝には慣れてるはずだろうに……何やってんだかねえ」(※ねずこ)


「………おい、黒川」


「ん?何?……連絡取れたの?」


「うん……はいこれ、2人の土下座画像」


「目上の人の土下座って見るに堪えねえな……じゃなくて!何で土下座だよ!この敗北のベスト・オブ・ベストをしてる人らは今どこに居るの!?」


「ンフフ……今から一時間前くらいによ。事務所から連絡がきたらしくて……あの人らも一年数え間違えてただけらしいんだけど……芸歴が10年越えてるから参加資格剝奪されたんだとよ」


「ええ!?ど、どうすんの!?作戦がパアじゃん!」


「う~ん…流石に脳汁のお二人さんに大会出ないで宴会にだけ顔だせるほどの脈はねえだろうし…こりゃ漫才で結果だすっきゃないな!!うん!!」


「……………うっそ」


 随分見た目の変わってしまった相棒から「ガンバろうぜ!」と背中を叩かれ、まだ事情を把握できてない鎌田が「いよっ!」と檄を飛ばしてくる。しかし、黒川の頭にはUが不敵に笑う幻聴しか流れておらず、またもやその場でうなだれ、頭を抱えるのであった















果たしてうまくまとめられるのか、という感じですが一先ずこの章は次回で完結です。ただ、私の仕事の方が今ウルトラに忙しくてですね。ひょっとすると更新が遅くなってしまう可能性があります。一月は超えないと思うので気長に待っていただけたら幸いです。また前回、いつにもまして意味不明な文や誤字が目立ちました。申し訳ございません。一部修正しましたので、読んでいて不明瞭に感じた方は一度読み返していただけたらと思います。

それではまたお会いできることを楽しみにしています。



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