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ニケアの憂鬱。くだかれた保証(胸)ニケアに双子の妹たちがいたーー! 

 すこしとおくから声がする。


「ミケ! ラケ! 来ていたのですか!」ぱあっと顔を輝かせるニケア。


 手をぶんぶん振りながら、こちらに駆けてくる2人の少女の姿がある。まだ距離が離れているので、その人影はちいさい。この距離で顔がはっきり見えているニケアって眼がいいね。やっぱエルフって眼がいいんだな。


「ダイスケさん。ニケの妹達です」


 興奮気味に、オレにそう伝えてくる。へえ、妹がいたんだな。ぜんぜん家のことを話さなかったから初耳だ。


「ニケも、あうのは久しぶりです。あの子たち、すこし大きくな……!? ……ッ」


 言葉に詰まるニケア。急にどうしたんだろう? 笑顔が固まっている。


「…………そんな」


 そうしているうちに、人影がどんどん大きくなった。


 いまではオレの眼でも、その表情まではっきりみえる。小さくしたニケアといった感じの、かわいいエルフの双子姉妹。それぞれが片眼を髪で隠している髪型はなんの影響かな? なにかの流行かな?


 ……って、髪型のことはどうでもいい。ここで特筆すべきは、全力で揺れている――


 おおきい胸。


 うっわ、おおきい……。


 とうぜん双子だから倍の数。計4つが揺れている。ぱるんぱるんと……。

 3Dメガネがあったら、飛び出して見えるんじゃなかろうか。きっと。


 と、いうか。そんなのなくても飛び出しているけどね!


 イケ母さんの爆とまではいかないけど、巨を越えつつある、おおきな胸。ふたりとも、見た目すんごく幼いのに……。こんなことってあるんだろうか。現時点でここまでの巨乳だったら、これから成長したらどうなるんだよ……。かくじつに、母さま越えしちゃうんじゃないですか? ふたりして爆の向こう側へいっちゃうんじゃないですか? それにしても、けしからん胸すぎる。さいきんのエルフは発育がいいらしい。もう『エルフ』っうか『エロフ』(新種族


「……あ、ニケの妹だって。フェスあれみて」「ククッ……じゃな」


 ――ギンッ。小声でささやいた2人をニケアが過剰に睨んだ。


 その殺気だった迫力の前に、それぞれがすごい勢いで目を反らした。つづく動作でぐりんとオレに向けて首をまわすニケア。首を痛める勢いでオレは反対側を向く。この状況でニケアの瞳を正視できないよ……。


 ニケア……彼女達。妹なんだよね……。


 君よりも年下なんだよね……。年下……なん、だ……。



(ニケには保証があるのです)


(期待度大です)


(いまはちいさいですが……きっと)


(期待していてくださいね)


(やればできる子なんです)



 そんなニケアの表情とボイスが、走馬灯のようにオレの脳内で再生される。もちろんセピア色。



 ――ブワッ。


「こんなことって……」オレはかぶりをふって、愕然とするエルフ嫁の横で目尻を押さえた。



 ☆



「ねえさま!」「しんぱいしてました!」


 ニケアに抱きつくミケとラケ。姉妹の再会という微笑ましいシーンのはずなんだけど……。胸騒ぎがとまらない。


「どうして、こんなこと……」呆然といった様子で、双子に抱きつかれて揺らされているニケア。


「ねえさま! ねえさま!」「やっと会えてうれしいです! お元気でしたか?」


「えっ、ええ。元気でした。ついさっきまで……。ニケもうれしいです……よ。とって、も」


「わたしたち大きくなったでしょ?」「お姉様も大人のエルフに――」


「むしろ、あなたたちこそ大……いえ、そんなはずは……。再会をよころぶまえに、姉はちょっと確認すべきことがあります。ミケ、ラケ。気をつけ!」


「「はっ、はい!」」


 そういって、妹である双子に気をつけをさせるニケア。いったい何をするんだろう。


「や! ねえさま!?」「!? なにを」


 双子の、胸部分をペタペタとさわり、上着の生地を上下にピンッとひっぱっている。首を大きくかしげ、目をほそめるニケア。それが終わるとこんどは左右にひっぱる。また首をかしげ。目をほそめる。すこし離れたり、角度を変えて眺めたりして、なにやら考え込んでいる。


「……何してんのニケア?」


「いえ、てっきり。服のシワかとおもいました」


 いや、そういう表現じゃないから! 男の娘とかじゃないから!


目の錯覚を利用したりしていないから! あんな巨乳。服のシワていどで視覚効果を処理できる胸のサイズじゃないから! 服のシワていどでなんとかなるのは……


「ダイスケなに?」「こっちをみて、なんじゃ?」


「……いや、べつに」


 服のシワていどで、なんとか出来そうな胸サイズの2人のリアクションをオレはスルー。


「服のシワではない。だとすれば……」


「あの、……ニケア。いいにくいんだけど」


「新手の魔法使いかーーーーッ!」拳をグーにして周りを睨むニケア。


 そんな、挑戦者現る! 的な感じでいわれても……。


 もう、そんな展開ウチは必要ないよね。もう祭りは終わったんだよ。っうか、妹の胸を大きくする魔法って何? 誰? ある意味で、ほんとうに居たらステキな魔法使いだけど。まさに人を幸せにする魔法だけど……だとしたらニケアもいっしょに魔法をかけてもらおう……。って、そろそろ現実にむきあおう。ね、ニケア。

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