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エルフのニケア(胸)はやればできる子

「ニケ! わたしの可愛いニケ!」  


 声のしたほうを向くと、金糸のような髪を風にゆらす女性がたっていた。長い耳がすぐに目にはいる、エルフだ。純白の装備品に金をあしらった装飾の数々から、そうとうに身分の高いエルフだと想像できた。そして、なによりもその装備にまけないすばらしい身体(スタイル)


「よかった、ほんとうに、よかった……」女性は駈け寄ると、減速せず、そのままの勢いでニケアを抱きしめた。


「母さま!? どうしてここに?」抱かれたニケアがそう応える。


 母さま? そうか、この女性がニケアの母親なんだ……たしか名前は『イケ』だっけ。母というよりも姉で十分通じる若さと美貌。さすがはエルフ。美しいまま外見年齢が止まるだなんて……。まっこと天晴れな種族よの!(何目線


「ニケ! わたしの愛する娘! もう離しませんよ!」


「う……、ちょ、くるしいです」


 あまりにもつよく抱きしめられたので苦しがるニケア。苦しいのは、つよく抱きしめられたという理由だけではなさそうだ。だって、母さまの胸があまりにもデカいから……。


「ニケ! こんなにも大きくなって!」


「……うぐ、……母さ……ま」


 あんな胸に、顔を埋もれさせられたら息できないよね。窒息しそう。


「皆も心配して、ここに来ているのですよ。はやく会わせてあげたい」


「ほんとに……、……苦し」


「あなたがバレンヌシアにいることは、祭りの映像で観ましたよ。そのあとで、バレンヌシアの街が魔力壁で囲まれたまま、一切出入りが出来なくなったと聞いて、いても立ってもいられず……」


「――カクッ」


「!? どうしたのですかニケ! しっかりするのです!」


「…………。」


 って、ニケア窒息したーーーーー!!


 母さまどいて! ニケアしんじゃう!!



 ☆



「コホッ……コホ」


 咳き込むニケア。よかった。無事だったか。


「大丈夫ですかニケ? いきなり気を失って……。やはり身体が弱っていたのですね……。ちゃんと食べられていましたか?」


 ちがいます。原因は貴方です。貴方の乳です。


 それにしても、ニケア母。おそろしいまでの胸のおおきさ。オレもここまでの乳をリアルでみたのは、はじめてだ。まさしく――


 爆乳。


 ……すげえ。


 リアルでみて、なにが爆なのか理解できたよ……。いろんなものがはじけ飛んだ。その爆発力。あっとうてき質量感。まさに爆。これこそ、巨を越えた爆であろう。


 えっと、オレ。いま、なにしてたんだっけ……。


「いたっ!」ニケア母(乳)にみとれていると頬から激痛がした。原因は、いつのまにか左右に立っていたアステマ&フェス。それぞれが、オレの頬をおもいっきりつねってきた。


「なにすんだよ、おまえら!」


「べつに」「……ふん」そっぽを向く2人。えらく不機嫌だな……。


 理由はなんとなくわかるけどね!


「ダイスケさん。アステマさん、フェスさん。紹介します。ニケの母さま――」


「みなさま。はじめまして。イケ・アムステルダムです」


 エルフの女性は優雅な笑みをうかべて、そう名のった。もちろん、動作をするたびに胸は揺れる。もう、ぷるんぷるんと。そこだけ別枠で動画の演出処理されてません? 職人いい仕事してるわー。リアルだけど!


「「――チッ」」


 こら! そこの2人! 舌打ちしない!


「……あんなのチートじゃない」「……チートじゃな」


 斜め下をみながらつぶやく2人。その瞳は地の底を覗くように仄暗い。チートて! たしかに君たちの『ない胸』に比べればチート級だけど、気持ちわかるけど!


うち(ドラ追い)では使用禁止だね」「そうじゃな、規制じゃ。ハウス(ドラ追い)ルールで使用禁止じゃ」


 いや、それ何ルール! 勝手に禁止しないで!


「アステマさん、フェスさん。よくみてくださいね。ニケの母さまですよ。これがニケの母さまです! わかりますか? ニケの言葉の意味が! 血の繋がったニケの母さまですよー!!」


 うつむく2人の視線の先にもぐりこむニケア。そこから見上げるように、超至近距離にカオを近づけて煽っている。嫌そうな顔をして視線を逸らすアステマとフェス。ここぞとばかりに反撃を加えているニケア。ほんとうにうれしそうだね……。


「……ニケア。あんまり2人をいじめないくれ、そのへんで」


「ふぅ……ダイスケさんに免じて、今日はこのくらいにしておいてあげます」満足げにニケア。


「エルフって、ほんとに……」「性格わるい。やっぱり嫌いじゃ」


「ごめんなさいダイスケさん。すこしニケは大人げなかったです。でもダイスケさんも好きですよね? おおきな胸」小声でオレにささやく。


「いや、あの。面とむかって聞かれるとなんか照れるけど……好きかな。でもニケアのことは、胸の有無は別にして好きだから」


「…………ダイスケさん」すこし耳が垂れて、トロンとした表情をうかべるニケア。オレ達はすこしの間見つめ合う。


「「――チッ」」


 それを邪魔するように大きな舌打ち。


 ――キッと舌打ちの主達を睨むニケア。アステマとフェスがプイッとする。


「母をみてくれましたよね。だからニケも期待度大です。いまはちいさいですが……きっと育ちます。スペックはあるんです。ニケはやればできる子なんですよ。期待していてくださいね」


 やわらかな笑みをうかべ、そんなことをいうエルフ。その背伸びをしている感じが、オレにはたまらなく愛おしい。なんとも暖かい気持ちになる空間がここにはあった。



 ――ぱたぱたぱた。



「ねえさまー!」「ニケお姉様ー!」

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