例の有名すぎるアイテムを得て。確信する勝利。
「アステマ、聞かせてくれ『ドラゴン追い祭り』の勝利条件は?」
「……急に、すんごい凜々しいねダイスケ。さっきまでと顔つきが違う。……別人だ」
「茶化さないでくれアステマ。オレには目標ができた。むしろ、このために生きてきたと言っても過言では無い」
エルフ嫁はファンタジー好き男児の夢である。さらにハーレムは全男児の夢であろう。エルフ嫁のハーレムというのは……つまり夢×夢だから、そんな夢∞!!!!
「数を多く仕留めるか。いちばん大きいサイズのドラゴンを仕留めるか、だけど……」
「だけど?」
「毎年、毎年、帝国の騎士団長が優勝してるんだよねー。だから盛り上がりに欠けるっうか。騎士団丸ごと参加でグルだからさー」
「なんて汚いやつらだ」
「そんで皇帝が褒美の望みを聞くと『帝国の永遠の繁栄でございます』とか騎士団長がいうの」
「うっわ、サブっ……」
「そこで風穴をあけようと、異世界のお祭り男を喚んだんだよね……。そしたら盛り上がるかなーって」
「……喚んだというか『撥ねた』だけどな」
「あと……」
「あと?」
「なんか面白そうなので、転生させてみたっ!」
「それ! ダメ女神の典型的なやつ!! ネタにされるぐらいダメなやつ!」
「だいたい、ダイスケっていう名前が紛らわしいのがダメなんだよ。おしかったなー」
「……いや、オレの世界ではわりとある名前だ」
……全国のダイスケさんよかったですね。被害者がオレで。
☆
「アステマよこせ」
「!? ついにあたしを歯牙に……」
「そのボケはいい。チート能力だよ。オレによこせ。なにがなんでも騎士団に勝たねばならん。オレにはその理由ができた」
「???」
「いいかアステマ。異世界に転生させた女神はもれなくチート能力を転生者に与えるのが、女神としてのしきたり、伝統であり、礼儀だ。いまなら☆5が貰える! とか、10連ガチャ無料! とかレベルに常識な話だ」
「なんかよく解らないけど……。え? そうなの?」
「そうだ。それだけは譲れない」
「うーん。なにかあったかな……」
「どんなに使えない能力でもいい。なぜなら、その使えない能力が後に花開く展開というのがアツいからだ。むしろその意外性が『――おっ?』となり、多くの読者の心をわし掴む」
「……何目線かよくわからないけど、説得力ハンパないね」
「どうせ駄女神のおまえのことだから、ちんけな能力しかないんだろう。そこに微塵も期待はしていない」
「ッ――本音!?」
「なにかあるだろ? 『じゃんけんで必ず勝てるに』能力とか、『子供が風船を飛ばして木の枝にひっかかっているときだけガンチート覚醒』能力とか、『卵をどんな割り方をしても破片が入らない』能力とか」
「……あのさ、すんごいバカにしてるよね、あたしのこと」
「なにかよこせ」
「うーん、そうだなあ。能力は思いつかないけど、アイテムなら……あるよ」
「おっ、能力じゃ無くてもいい。チートアイテムというのでもぜんぜんアリだ」
「じゃあ、これあげる」
渡されたのは一冊の黒いノート。
おい、これってまさか!? あの有名すぎるアイテム……あのノートか!?
だとすれば、最強のチートアイテム。まさか!
「書くと対象を殺すことができるの『ですっ☆ノート』だけど……」
「うお、きたぁああああああああああああああああああああああああ!! くはッ、あははははははははははははははははははははははッ!」
「なんていう哄笑。貴方まるで……」
「勝ッ―――――――――――――――――――――――――――――た!!」