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お祭り男はエルフハーレムという見果てぬ夢をみる

「……すきにすればいいじゃない」



 じゃあ、好きにしちゃおうかな……。このシチュエーションで『好きにする』って言葉が表す行為って、健全な男子としては、ひとつしかないよね! 健全な男子なら!


 ――って、違う。


「なに勘違いしてんだよアステマ」


「……!?」


「オレが望むのは、駄女神のおまえじゃない。エルフだ」


「エルフ?」


「エルフ嫁をよこせ」


「エルフ? 嫁?」


「……エルフ嫁はファンタジー好き男子の永遠の夢。究極にして至高の存在。故にそれが叶えられるというならば、死んだオレも浮かばれる。というか、どうせ生きていても嫁はおろか、ブラック企業に命をすり減らされるような、しょうもない、くっだらない未来しか待っていなかったであろうオレにとって、むしろ僥倖。だから異世界でエルフ嫁と存分に幸せに暮らす所存。だからチェンジ! おまえチェンジ!」


「――ッ。なんていう侮辱」


「憤慨するまえに、服を着た方がいいぞ」


「ダイスケのバカッ!」


 ――バシッ。


「いたっ」


 ……なぜにビンタ。



 ☆



「ここに来る前に、街で何人かのエルフ娘とすれちがった。どの娘もひじょうに可愛かった。なのでエルフ嫁をオレにください」


「え? あたしが? どうやって?」


「どうやって? って、おまえ女神なんだろ? どうにかしてだよ」


「たとえば?」


「たとえば、……そうだな。オレに惚れまくる魔法をかけるとか。オレにエルフを従属させるスキルをくれるとか。いや、ここはオレに圧倒的な力をくれてもいいぞ。支配してやる……エルフの抗う心をねじ伏せて、逃れられぬようにして……次第に、ぐふふ」


「――ふっ」


 すんげー鼻からの笑い。


 ……アステマの汚いモノをみる視線に、オレのこころが傷ついた。


「と、とにかく! なんらかの手段でだよ!」


「えー無理」


「無理って、判断はやっ!」


「そんな能力無いし」


「なんでもいうこと聞くって」


「あたしのできることなら、なんでも聞く。だからさっき――」


 人差し指を噛み、赤面するアステマ。


「あーそういうことか……。ったく、駄女神が! やっぱ使えねえな……。しかたねえ服を脱げ。とりあえずオマエでガマンしたる」


「とりあえず。て……なんていう鬼畜」


「どうした? 駄女神。はやく脱げよ。さっきの続きだ――」


 この際アステマでいいや。サクッと捨てとこか。

 まぁ、十二分にかわいいし。相手にとって不足はない……。


「するかボケ!」


 ――ドス。


「ぐふっ」


 こんどはみぞおちにグー。


 うずくまるオレ。


「自分でエルフに声かけてこいクズ! 連絡先とか聞けばいいだろ? 結果はどうなるかしらないけど、自分で動け!」


「ぐ……っ、バカ! そんなこと……オレに、できるわけないだろうが! 他人ですよ。しかもエルフですよ。ブロンドですよ。恥ずかしいし、もお、ぜんぜんっムリ」


「いや、あんた……。他人で女神のあたしには容赦ないんだけど……」



 ☆



「あーなんかやる気なくなったわー。祭り」


「それは困るんだけどっ!」 


「べつにオレは困らないし。明日棄権するわー。がんばってなアステマー」


「ちょっと待ってダイスケ! それだけは……」


「だってオレにメリットねーもんよ。ご褒美アステマってもなー。そこまで魅力ねーな。ドラゴン追うリスク冒してまで欲しいかと聞かれたらイラネ。おまえにそこまでする価値ねー。ちょっと可愛いからって、うぬぼれんな!」


「く、こいつ……殺してやりたい。……って、もう殺してたっけ。――あ、そういえば?」


「うん?」


「『ドラゴン追い祭り』で優勝したら、皇帝が望みの褒美をくれるよ」


「!? なぬ!!」


「でっかい帝国だし。エルフ嫁ぐらいなら余裕じゃない? むしろエルフハーレムでも、ぜんぜんオッケーだと思う」


「エルフハーレム……。そ・れ・だ!!」


「眼がこわいんだけど……」


「ッシャー! ハーレムきたあああああああああ!! (∩・∀・)∩ワッショイ! ワッショーイ!!」

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