悪魔のチートアイテム『ですっ☆ノート』は不良品?
「なーアステマ。取り込み中わるいんだが……」
「なによダイスケ! こんごの身の振り方について考えてるから、あたし忙しいんだけどっ!」
「あのさ? このノートだけど……」
「ノート? ああ……『書くと対象を殺すことができるのですっ☆ノート』が、どうかした?」
「その『ですっ☆ノート』なんだけどさ。不良品じゃね?」
「なんでよ?」
「だって、死なないもんよ……」
「誰が?」
「誰が、っうか。――祭り参加者全員が」
「いってる意味が、よくわからないんだけど?」
「だから、オレ書いたんだって。オレ以外の祭り参加者全員のこと……。祭り開始から、だいぶ経っているけどさ、いっこうに効果があらわれないけど」
「……ノート見して」
「ほら、ちゃんと書いてあるだろ」
「!? うっわ……これ、名前びっしりだ。昨日の夜、おそくまで起きているとおもったら、こんなことしてたんだダイスケ……」
「そうだよ。おまえから名簿貰っただろ。そこから数百人の参加者名を書き写すの、超めんどうだったんだけど……」
「うっわ……怖ッ。」
「ふっ……。正義のためなら……。オレは手をよごすことをためらわない」
「目がキモ……」
「なんとでもいえ。エルフ嫁の為なら、どんな犠牲もいとわない! それが、オレ以外の犠牲ならば!!」ガッツポーズで断言する。
「清々ゲスい!? それで全員殺そうとしたんだ。そこまでやるフツー? うっわ……。ひくわー」
「ノートの持ち主にいわれたくないわ! いいんだよ。全員死ねばオレが優勝だろ! あとはテキトーにちっさいトカゲみたいなドラゴン仕留めてさ。そしたらエルフハーレム皇帝にもらえるじゃんよ。……もう皇帝いないから、ハーレムは難しいとしてもエルフ嫁ぐらいの褒美ならでるだろ、帝国なら」
「ふーん。それはわかるけど……」
「だから『ですっ☆ノート』の効果が発動しないと困るんだよ、アステマっ!」
「なんで『ですっ☆ノート』に名前書いたの?」
「なんで? ……いや、だってよ、悪魔からもらった黒いノートといえばそうだろうよ。常識だろ? ノートをもらったやつ全員がそうするよ」
「は? あくまじゃねーし!」
「はいはいそうですね」
「完全スルー!?」
「で? なんで死なないアステマ? なぜノートの効果が発動しない?」
「……これダメだよ」
「ダメってなにがだよ……」
「似顔絵で描かないと」
「……は?」
「だからっ、似顔絵」
「……似顔絵」
「そう。ノートに似顔絵で描かないとダメだよ『ですっ☆ノート』は」
「………………」
「ちゃんとカラーでね。じゃないと効果発動しないからね。しかたないなあ~ダイスケは……コレもあげる」
アステマから手渡されたのは、色鉛筆やクレパスのセット。
「………………」
「ちゃんと絵で描くんだよ。だれが見ても判るレベルの似顔絵じゃ無いとダメだからね」
「ばっかやろろおおおおおおおお!! アステマ!! おまえ! ふざけるなーーっ!!」




