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異世界での癒やし屋  作者: ぱむ
1/3

プロローグ







私は膝を抱えて座り、目の前の泉を眺めていた。




ここは、私が前に居た世界とは違う。


私は泉を眺めながらここに来たときの事を思い出していた…。







―――私の名前は 藤野とうの 理愛りあ

私の両親は私が産まれてすぐに事故で亡くなったらしい。物心ついたときには両親は居なく、写真でしか見たことはなかった。そして私は叔父と叔母に預けられ育てられることとなった。

叔父と叔母は優しく私を本当の子供のように育ててくれた。2人はいつも暖かく私の事を見守ってくれてる。そんな二人の事が私は大好きだ。


そして私は25歳になると一人暮らしを始めた。

最初は叔父と叔母は心配していたけれど、最終的には私の意思を尊重してくれた。


私は福祉の資格を取り介護職に務めていた。

今思えば介護の仕事は自分に合っていたと思う。もちろん嫌な事もあったけど、それでも皆に有難うと言われる事が嬉しくてやり甲斐を感じていた。



そして叔父や叔母、友達や仕事仲間に囲まれながら毎日を平穏に暮らしていた。



―――それなにの…何故こんなことに?



特別な事なんて何一つなく、いつも通りの変わらない日だった。仕事帰りにいつものスーパーにより、両手に買い物袋を下げ家に帰った。



両手の塞がった手で悪戦苦闘しながらもなんとか鍵を開けて中に入った瞬間である。


その後何が起こったのか分からない…。気付いたときには知らない部屋のベットで目が覚めていたのである。


夢かと思いまた瞼を閉じ、そしてまた瞼を開ける。

しかし、風景は全く変わらない。


少し身体を起こして辺りを見渡す。


一瞬病院かと思ったが、こんな木造で出来た病院なんて見た事ない。しかも家具などは日本では見たことない形をしている。


『きっと仕事で疲れてるんだ…もう一回寝よう。』


そう思い横になろうとした瞬間である。


バタンッ!!


勢いよく扉が開いたのと同時に少しふくよかな体格の女性が私の顔を見るなり満面の笑みで何か良く分からない言葉を喋りながら近づいてきたのである。


彼女は私に何かを話しかけてるが私にはさっぱり分からなかった。日本語でもなく英語でもない…。


私は苦笑いしながら日本語でここは何処かと試しに話しをしてみたが、もちろん通じない。


――――どうしよう…


そう思った瞬間だった―――

頭の中に一気に変わった図形や言語が流れ込んできた。


一瞬何が起こったのか分からず、私は瞬きを繰り返しているとさっきの女性が私の顔を心配そうに覗き込んでいた。


「大丈夫かい!?」


さり気なく言われた言葉に私は思わず


「はい…なんとか大丈夫みたいです…」


と返答した。


―――ん?んんん?あれ…?


少し考える間があったが、すぐにさっきの出来事のお陰で何故か言語が理解でき、そして自分も喋れるようになったことに気が付いた。



そして私は気付いてしまった…。

日本でもなければ地球の何処にもない場所…。


夢ではなくこれは現実なんだと…嫌でも突き付けるように五感が研ぎ澄まされ体中で感じた。いや、理解したと言ったほうか正しいかもしれない。


ここは異世界だということを―――







――――――――――――

―――――





この泉には日課のように毎日通っている。



もう私が居た世界に帰るのは諦めたはずなのに…。


今もこうして眺めてしまう。


私が倒れていた場所。森の中にある濁りのない透きとおった綺麗な泉。



この場所に私は倒れていた。



そう…すべてはここから始まった…。



私の新しい人生の始まりの場所である。







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