58 険しき山は修練の糧
タイトル変えたい……。
でもネーミングセンスがない……。
「一日経っても死亡は確認されてないんだな?」
朝起きて一番に、烈火はなにをおいてもそう問いかけた。
七はなんのけれんもなく頷く。ここで遊びは交えない。
「はい。昨日交戦したはずの【人誑し】と【真人】は、ふたりとも生きています。どのような結末を迎えたのかは、不明ですが」
「そうか……そうか……」
烈火は神妙そうに何度か呟いて、何事か考え込むように黙ってしまう。
七は邪魔にならないよう沈黙して待った。すると、ぽつりと思案の結果が烈火の口から漏れ出る。
「荒貝 一人を放っておくのはやっぱまずいかもな」
「それは、どういう?」
「……あー、なんて言うかな」
前は戦争を掻き乱す存在として、できるなら数減らししてくれないかと期待を傾けていたものだが、考えが甘かったかもしれない。あれを軽く考えていたかもしれない。
「あいつを放置しておくと、最悪、傀儡どもが強くなるかもしれない。覚悟を決めちまうかも、しれない」
――このゲームに、真剣になってしまうかもしれない。
「真剣になる、ですか……ああなんとも、それは……」
「厄介だ」
一回殺されかけて、それで生かされるなんて経験すれば、否が応でも強くなろうと思うだろう。
神様能力なんてチートに浮かれてはしゃいでいたところを、それを否定する男に真っ向から叩き潰されれば、慢心も立ち消えるだろう。
二度と同じ辛酸を味あわないために、荒貝 一人という理不尽に負けないために。
そう、まさしく玖来 烈火のように。
烈火もまた、彼との遭遇を契機にこのゲームに真剣に取り組むようになったのだから。
あの男は良くも悪くも影響力のでかい存在だ。直に顔を合わせて言葉を交えれば、自身のなにかを変えられてしまう。無理矢理に、強制的に、心の一部を荒貝 一人が占めるのだ。それは憎悪だったり、恐怖だったり、拒否感だったり、共感を覚えたりもするかもしれない。そこは人によりけりだが。
荒貝 一人は、このゲームを回転させる風となりうるのかもしれない。
それは、正直やめてほしい。油断の隙間を埋めるような真似をされては、暗殺を狙う烈火にとっては難易度の上昇でしかないのだから。
「まあ、考えても詮ないことかもしれねぇけどな……」
烈火は、かぶりを振って思案を打ち止めた。どうにしても、届かないし干渉しえない。今はコロシアムで頑張ると決めたのだから。
だが――いずれの行動方針に、少しだけ修正が加わったのだった。
さて打って変わってコロシアムだ。烈火は気を入れ換える。一時的に本命の件を忘れて集中する。
一週間の観察と情報収集を胸に、烈火は久々に参加者用の受付に顔を出す。今日の参戦を伝え、観戦席に移動。
若干の緊張をしつつも静かに自分の手番を待つ――
「ようやく戦うか、へへ、相手によっちゃあ賭けさせてもらうぜ?」
「……」
まあ、静かにはならんわな。ここはダグの縄張りみたいなものなのだから。
ぐいぐいパーソナルスペースに踏み込んでくる。押せ押せだ。
「そういえば相手は指定しなかったのかい?」
「したら相性いいの選んじまいそうでな。それじゃちょっとセコイだろ」
対戦相手の指定が可能なことを忘れていたという事実をさらりと隠して、烈火は平然と言った。
「んなこと言ってる場合なのか? ま、対戦相手の指定は月に一回の決まりだから、そう易々とは使わないってのも悪くはねぇがな」
「あ、指定って制限あるんだ」
「なかったら勝てるに決まってる相手と連戦し続ける馬鹿が出てくるだろ。ファイトマネーは勝ったほうが多くもらえるんだからよ。なあ、文無し太郎さんよ」
「うるせぇ」
セコいが、金を得るためなら烈火だってやりかねない手である。まあ、Aランクにまで昇りつめた奴らなら、そんなに金に困ってはいないだろうけど。
烈火だってB、Cランクで得たファイトマネーでだいぶまとまった資金となっている。まあ、油断はできないし、余裕もそこそこだが。
今日だって負ければ稼ぎは減る。相手も同格以上なのだから一戦するだけで諸々ダメージを引きずると考えれば、連戦も難しいだろう。ならば一度の勝敗で儲けが大きく変動しかねない。高ランクのほうが高収入なのがせめてもの幸いか。
ここでの戦いは鍛錬であり、経験の糧でありながら、収入源でもあると意識せねばならない。
そう考えると一気に世知辛い……。海の警備の監視員さんに転職しようかと悩む。
まあ、鍛錬の場としてこれ以上ないので、金儲けは二の次とするしかなかろう。金欠の危機が現実のものと立ち現れるのなら、その時に別の方針を考えるとしよう。
あぁ、それとも賭けに手をだしてみるのも……。
「お、どしたい」
「…………」
やめておこう。
人の振り見て我が振り直せ。目の前のギャンブラーおっさんを見て、烈火は賢明なる判断を下したのだった。
やっぱ今日のバトルは負けらんないわ。烈火は軍帽の位置を整えつつ、決意を固めるのだった。
「Aランク闘士クライ・レッカ対Aランク闘士ヴァーユユゲル・ギレ・ゴ・グンナッド――!」
Aランク戦二度目の相手はまたも幻想種、竜人の男だった。異様に長いくて覚えづらいネーミングセンスをしていると七に聞いていたのでわかった。
というのも本当だが、それ以上に尻尾はやしてれば一目瞭然だ。なんか竜っぽい尻尾。あと皮膚の一部が鱗で覆われてる。ヴァーユユゲルさん、竜の特徴の多い竜人の人らしい。
さて、それは困るな。烈火は小剣を袖から握り、頭を回す。竜の鱗は硬質と聞くからな、それのない部位を狙うべきだが――服で隠れて胴辺りが不明で怖い。
しかもその手に持つのは白兵において剣などよりも恐ろしい、槍だ。構えからして虚仮おどしではありえない。それなりに使える。
剣と槍が争えば、三倍の技量がないと剣は勝ち得ないなどという。ではさらにリーチの短い小剣ではどうなるのだろうか。
あー、開始前から劣勢が見て取れるとか、嫌過ぎる。なんで烈火は小剣なんて真っ向勝負に向かない技量にばかり傾倒したんだよ! 趣味だよ!
「試合開始!」
宣言とともに思案は放棄。烈火は雑念放り捨てて戦闘思考にだけ没す。
幻想種相手なら即座に接近しようか。否だ、無策に槍持ちに近づけるわけがない。返り討ちにあうだけだ。ではどうするか。
考える余裕などあるはずもなく。
「“〈小〉さく〈爆〉ぜろ”」
「なっ」
「《小爆》」
指定位置に〈小〉さな〈爆〉撃が巻き起こる。なんとか転がり避ける。威力と範囲の小ささに救われた。練り込む魔力と位置指定が雑だったので生き延びた。
なんて短詠唱。あれなら直撃でも魔力障壁があるし火傷になるかならないか程度――
「“〈小〉さく〈爆〉ぜろ――《小爆》”」
「連続っ」
烈火は跳び上がるようにその場から離れる。〈小〉さな〈爆〉撃。
そのまま止まらず、烈火は狭い舞台上を駆けずり回る。逃げ回る。
「“〈小〉さく〈爆〉ぜろ――《小爆》”」
それを追うように爆撃は続く。続く。追撃やまず。
ちなみにリングには外に攻撃が漏れないような結界があり、観客の安全は確保されている。
烈火は無論に別である。ひたすら最下級攻撃魔法をロクに魔力込めず狙いも定めず連打する。それが敵の戦法。無詠唱の連続魔法に近い発想だろうが、
「“〈小〉さく〈爆〉ぜろ――《小爆》”」
――バックステップ。横転。無駄な跳びはね。幾らかバリエーションをつけて烈火は爆撃を避ける。避ける。留まらない。
一応、インターバルがある分だけ見切るは可能。大雑把なだけむしろ回避が容易と言える。だが体力的にはかなりキツイ。常に動き回って爆撃を掠めて休む暇もない。動きが鈍れば《小爆》の乱打に呑まれて敗北だろう。一撃が弱くとも、仰け反ることは避けられない。即刻、槍での突貫候う。回避不可。
「“〈小〉さく〈爆〉ぜろ――《小爆》”」
なによりも問題なのは、敵が槍を持ってこちらの動きを注視し続けていること。泰山の如くどっしり動かず、だがいつでも動けるように構えている。
不用意に近づけば爆撃でなく槍に叩きのめされる。どちらかと言えば爆撃は接近戦を誘うための布石な気もする。爆撃ウザいから根元から断つかと下手に特攻すれば確実にやられるだろう。
だがまあ、ブラフの可能性もなくはなし。試してみるか――さりげなく左手を動かす。
回避の動作をして、その流れのままごくごく自然に左手が霞んだ。動いた。投擲した。
「“〈小〉さく――っ!」
ヴァーユユゲルは咄嗟に詠唱を取りやめ、槍を回す。舞わす。容易く小剣は弾かれる。ワイヤー絡ませたろかと小細工を弄すも、それもさせんと引っ込められた。ワイヤーがバレている。烈火の試合を見ていたか。
ともあれ、投げた刃を弾く程度の技量はある。当然のように投げた剣を回収しながら烈火は断定。ま、Aランクだしな。
同時に《小爆》との踊りを再開する。
いや。
「メンドグゼェ」
「っ」
一転、突撃。
《小爆》がどうのとかどうでもいい。どうせ遠距離から攻める手なんて持っていない。最終的には近接するのだ。ならば体力が削げる前に開き直って迫る。
玖来 烈火は迷わない。それが罠でも、踏みにじって突破すればよし。
「――ふ!」
そして間合いに踏み込んで、その瞬間に襲い来る暴威。
刈り取るような槍の薙ぎ。来るのはわかっていたので急停止。だが槍の技は連続する。まるで虚空に文字を書くように止め跳ね払う。舞い踊る。
鈍い風切る音が響く。ひゅんひゅんと長大な棒が自在に振り回される。切り返しのいる剣よりも、両端で攻撃できるぶん槍は連撃が速い。続く。恐ろしい。石突で払って、その勢いのまま刃が飛んでくるのだ。
それに対し、下手な回避は意味をなさない。間合いも有効範囲も広い。かわした先に槍が追いつき打ち沈めるのだから。受け止めるにも破壊的過ぎる。遠心力と梃子の原理、ついでに竜人の剛力で、下手に受けたら小剣が砕けかねない。それでなくても腕が痺れて動作が鈍る。強いて許されるのは捌いて受け流すか、前後の間合い調節だろうか。間合いの広い槍を、後退して避ける。伸ばした槍には接近して安全圏に進む。まあこの戦いでは前進を未だ成功させていないが。敵も潜り込まれるのには最大の警戒を払っている。
ヴァーユユゲル、やはり接近戦を誘うだけあって槍での技量は、高い。《小爆》連打の時と変わらず防戦一方、烈火は攻めの切り口すら掴めない。
――だから槍遣いとなんか戦いたくなかったんだよっ!
心の絶叫は神子にしか届かない。だが行動は誰しもが見た。
烈火は後退した。逃げた。振り出しに戻った。
「“〈小〉さく〈爆〉せろ”」
慌てずすぐさまヴァーユユゲルは詠う。だが烈火もそれは承知のことで。
一撃、あえて受ける。その覚悟で回避を捨てて左手を稼動。そこで烈火は唐突に軍帽を脱ぐ。
脱帽――敗北の意思表示か。ヴァーユユゲルは魔法の執行に一瞬躊躇う。だが違う。そんな潔い男ではない。
烈火は躊躇の間に軍帽を放り投げる――ヴァーユユゲルに向けて、投げつける。一瞬、彼の視界は帽子で隠れる。烈火の左半身を瞬間だけ見失った。
構わず執行。そして踏み込み。
「――《小爆》」
〈小〉さな〈爆〉撃が烈火に直撃。無論、その威の大半は魔力障壁がカットして、衝撃によろけて痛いで終わる。だが隙には違いなく、追走の槍。
逃げた分だけ追い縋る槍刺突。もはや極大の弾丸の如き恐るべき突き。
には――
「え」
軍帽が〈接〉し、付〈着〉していた。
どういう――意味不明の内にも烈火の左手が舞う。力尽くにも外側へと腕を引っ張る。その姿は一本釣りの如し。
何故か槍はそれで軌道が逸れる。直進が曲がる。烈火の潜るような踏み込みと交錯し、左腕を突き刺すだけに終わる。
「ち、馬鹿力が!」
だが、これで。
最後の右投擲が叶う。
小剣の短さでは届かないが、投擲ならば突き刺さる。
「ぐっ」
そしてヴァーユユゲルの鱗ない首筋を――血管を掠るように斬り裂く。
当然、血が噴水のように噴き出す。派手に赤がばら撒かれ、一瞬誰もの動きが止まる。ただひとり、この状況を引き起こした烈火だけは鋭く叫ぶ。
「さっさと治療しないと死ぬぞ!」
「しっ、試合終了! 勝者クライ・レッカ! 手の空いている者、すぐに治癒師を呼べ!」
慌しく終了した戦いの後、烈火は医務室にまで来ていた。左腕に槍ブッ刺さったし。あと、殺しかけたヴァーユユゲルさんの様子も見ておいた。無事に生き残ったらしい。よかった。
ああでもしないと勝利を相手と審判に伝えることができなかったのだから仕方がない。投擲せずに勝った宣言しても、避けれたからと言われるかもしれない。投げてわざと外しても、本気でやって外れただけと言われて反論が難しい。適確にダメージを与え、即座に終了となる致命の部位を狙ったのも道理だろう。
だいぶ悪辣ではあったが、まあヴァーユユゲルさんは生存したわけだし、それでよしとしよう。うん。
で、烈火は烈火で腕の怪我も治してもらった。とはいえ三日間は安静にしてろといわれたが。傷跡がもはや穴だぜこりゃ、槍怖い。異世界の治癒魔法とかいう驚異的な回復法でさえ、即時完治ができないとか。ゲームほどの理不尽回復はできないらしい、残念。まあ、さらに熟達した上位の治癒師様なら一瞬回復もありえたらしいけれど。
「それでさ、あれ、なにやったんだ?」
「あれってなんだよ。主語もなく理解できるほどお前と付き合い長くないんだけど」
毎度のように医務室から帰れば、ダグが待ち構えている。お前はストーカーかなにかなのか。
半眼の烈火に関せず、ダグはやっぱり馴れ馴れしい。
「嘘こけ、狼少年。わかってんだろ? あの、帽子を投げつけてからのくだりだよ。なにがどうなって槍が逸れたんだ? こっち側からじゃイマイチわからんかったぞ」
「……手を晒すのは嫌だ。代価に他の闘士の情報寄越せ」
「ち、仕方ねぇなあ。いいから教えろや、気になるだろうが。帽子になんか仕込んであるのか?」
「まあ、正解だな」
烈火は軍帽を脱いで、その裏地を見せる。紋章が刻まれていた。
「《接着》の紋章魔法だ。これがあるから、おれがどんだけ派手に動いても帽子がとれねぇ」
「……それ、つまりファッション用の紋章道具か?」
「たぶんな。けど使えないわけじゃない。たとえば、おれの武器に小剣があるな。それも、ワイヤーがくっついた」
「うん? そうだな、何度か投げて使ってるのを見たな。ワイヤー絡ませたり、投擲した剣の軌道を後から変えたり。で、それが? 帽子と関係あんのか?」
「《接着》の帽子と小剣とワイヤー、ここまで言えばわかるだろ。おれは割とワンパターンだぞ」
ダグは数瞬悩み、はたと閃く。確か烈火がシャリファンと戦った際にも、似たようなことがあったのだ。
腕を動かして、敵の武具を逸らす。ワイヤーを伝った攻撃阻害の技だ。
「あー、ワイヤー絡ませるのはヴァーユユゲルも警戒してたもんな。だから、《接着》で槍に小剣をくっつけたのか」
あの時、軍帽を投げ――直後に烈火は左で小剣を投擲していた。軍帽を刺すように、後押しするように、同じ射線に。
そして軍帽の《接着》により小剣は付〈着〉し、その勢いのまま前進。ヴァーユユゲルの槍にまで到達する。到達して、〈接〉して――くっつく。軍帽を経由し、巻きつかずとも槍と小剣が《接着》したのだ。
軍帽は、放り投げる段階で三十秒は魔法が持続するだけの魔力は注入しておいた。この結果は必然である。余談であるがこの軍帽、ツバの部分は別途後付したもので、故にそこは《接着》の対象外。魔法が発動している時にも持って不都合がないのだ。そのため《接着》を執行しつつ投げることもできる。今回のように。
「んで、あとはシャリファンの時と同じだな。ワイヤーをつけた左手を動かして、槍の刺突をズラしたわけだ」
ちなみに軍帽を投げた際にヴァーユユゲルの視界を遮れたのは、烈火が狙ったわけではなかった。偶然、幸運に恵まれただけ。その幸運がなくとも、結果は変わらなかったとは思うが、儲けは儲けだ。
「けどよ、あれもしもヴァーユユゲルが刺突以外を選んでたらやばかったんじゃねぇのか? 薙ぎや払いじゃあ、ワイヤーで邪魔立てしても構わずやられてたんじゃねぇの」
「は? あの場面で刺突以外するわけねぇだろ、そういう位置取りに退いたんだから」
「……ん? そりゃどういう……?」
「だから、おれがバックステップで後退しただろ? あれは間合い的に考えて、槍を振るんじゃやや届かない場所なんだよ。代わりに刺突ならちょうどギリギリ仕留められる」
そういう絶妙な立ち位置を、烈火は選んだのだ。
こちらは投擲で決めるつもりだったので、間合いを離しても問題はなかったし。
烈火が逃げるように後退した段階からその後の顛末は、彼の想定した通りでしかなかったのだ。
「まあ、負けの目があったとしたらあれだ。軍帽に気付かれて《接着》の魔法が魔力切れおこすまで待たれてたらヤバかったな。タイミングだの別動作との並行だので色々と気は遣ったつもりだが」
「…………」
ダグは、もはやなにも言えなかった。
「代わりに私が言いましょう。玖来さん、怖いくらい凄くて気持ち悪いです!」
(どこがだ、ボケ!)
忘れ去られてそうな魔力障壁とかいう懐かしい設定。玖来さんが魔法使わないから……。
一応これがあるのであまり詠唱が短い――魔力を込める工程が短い=込める魔力が少ない――と、ダメージにすらならないです。なので詠唱は基本的にある程度長めにしないと魔力の無駄になってしまいます。今回のように怯ませる程度はできますが、さらに巨大な魔力量の持ち主ならそれすら防ぐ。
竜族の特徴
幻想種。
最高長命種であり寿命は千年にも及ぶ。竜族には三段階があり、それぞれで姿が変わる。
幼竜:生まれてから三十年の時期、小型の竜の姿をしている。成長後と比すれば魔力も低く、弱い。
成竜:幼竜期を終えた後の姿。最も数が多く、竜人とも呼ばれる段階。人に近づき、背丈も二メートルに満たない。人との差異は身体の一部が鱗で覆われてたり尻尾があったり羽があったりする点。三種の特徴全てを含有していたり、一種類だけの場合もあり、個体差が激しい。個人によってはほぼ人と見分けがつかない場合もある。ただ、翼を持つ者は希少。
真竜:成長しきった竜であり、人の姿を捨てた真の竜。十メートル以上の巨体となる。魔力は膨大で、身体性能も極めて高い。一人で災害にも匹敵しかねない強大な力を保有する。ただし全ての竜人がなれるわけではなく、成竜期で生を終える者のほうが多い。正しき修練と魔力量の向上、長い歳月を生きた竜人のみが至る極地。
余談だが別に亜竜という竜型の魔物も存在する。