未定
「お客さん、お代がまだですよ!」
「お台はすでにいただきましたが」
「食膳のお台じゃなくてお代です! お、だ、い!」
「お台もお代も同じじゃないですか」
「字が違います!」
「口に出したら同じです」
「全然違います、意味が! とにかくお代をお願いします!」
「穏は出せって言われてハイワカリマシタで出せるものではありませんよ」
「誰が穏やかなさまを出せと言いますか! お代ですお代!」
「はいはい、わかりましたよ……どうぞ」
「ありが――違うじゃないですか!」
「お台匙です。飯匙とも言います」
「現代語をしゃべってください! あとお代ですオダイ! ガイはいりません!」
「僕は仏教徒じゃあないんですが……南無妙法蓮華経……」
「お題目じゃありません! お代ですお代、Priceです!」
「Trice?」
「日本語のお代はどこに消えたんですか! ひらがなの『お』あるいは御味御汁の『御』に代名詞の『代』でお代、または御代! P-R-I-C-EでPrice!」
「チッ……わかりましたよ、いくらですか」
「舌打ちしたいのはこっちですよまったく! 締めて四万にせ――」
「僕はここの時給はいくらかと聞いたんです!」
「金が無いならはじめっから言えこの無銭飲食がぁ!」