Day-6 僕たちの行方
ラン、ランララランランラン♪ラン、ランラララン♪
「ん、電話だ」
「冒頭からどんな着うたよ!」
「読者様方、がんばってナ○シカを御想像ください」
一行目から着うたでボケたのは無論クルス。
「もしもし・・・プツッ」
「無言で切るとは何事よ!?」
「携帯を開いて三秒もたってませんよ」
二人に何を言われようがお構いなしに、クルスは平然とコーヒーを口にする。
ラン、ランララランランラン♪ラン、ランラララン♪
「再鳴りよ!ちゃんとでなさい」
「えーっ、あんな奴からの電話なんかとりたくないよぉ」
「おだまり!泣き言言うなら、着拒しなかった自分を恨みなさい」
「なんで?繋がったのに即切られたほうが向こうは余計悔しいと思うんだけど」
「マスターはたまにすごい事言いますねぇ。ロキも教育ママみたいな口調になって」
この様子だとフレイはいつも傍観者席に居るようだ。
「もしもし・・・ああ、やっぱりアンタか・・・そうだが・・・」
どうやらクルスが嫌っている相手かららしい。
「あの人ね。よくもまぁあんな軽口叩けるわねぇ」
「確かに、あの方は人間にしては強い。我々と同格程度ですから、マスターなら勝てますが」
クルスが談笑し、二人が何やら物騒な愚痴をこぼしていると・・・
ドーーン・・・ガ、ガガァァァッ
爆発音。そして、何かの動物の叫び声のようなかんだかい音。
「何!?妖怪!?」
「この反応は・・・妖怪でしょうね。しかもかなりのレベル・・・レベル6ね」
「さっすが、フレイお得意の『魔力探査』!」
フレイには、妖怪や悪魔などの力を探知、測定する能力がある。
レベル6、というのは魔力量のレベルで、一般的には10段階ある。
半分以上のレベルに達するというのは容易ではなく、本来はレベル1や2の程度でほかの悪魔や神たちに狩られるため、そこまで育つのは少ない。
「クルス!!近いわ!!いくわよ!!」
「お前等だけでいって来い。十秒で終わらなかったらデザート抜き」
「マスター、こんなときにそんな御冗談を?」
一気に不安な顔になった二人。
一気に楽しげな顔になったクルス。
「なぁに、こんな小物。お前等二人ならすぐ終わるだろ」
「小物ったって、レベル6よ!?私たちはまだ5なんだから・・・」
「そうですマスター!いくら私たちでも、十秒なんて無理です!」
二人の弁解を受け入れたのか、立ち上がる。
だが、二人の期待とは違う言葉が返ってきた。
「わかった。お前等がそんな腰抜けだとは思わんかった」
「な・・・何を?」
「な、にいってんの?クルス・・・」
「頭使えばあんなデカブツ、お前等でも勝てんのによぉ」
「なによ!じゃあクルスがいけば!!封印解除して余裕でしたとかほざいたらぶっ殺すわよ!?」
「ちょ、ロキ・・・」
「いいだろう。確かに封印を解除してない俺はレベル3だからな」
「え!?マスターまで・・・」
制止しようとするフレイを押しのけ、クルスは外へ出て行く。
「ふん。お手並み拝見といこうじゃないの」
「もうっ、ロキったら!」
「いいわよ!これでクルスが死にそうになったら私が責任もって助ける!これでいいでしょ」
「そういう問題じゃ・・・」
そんな会話は、いつの間にか屋根の上で。
例の妖怪は、ちょうど近くの広場にいた。
「いた!あそこ!クルスもいる!」
「さぁ〜て、お手並み拝見ね」
と、ロキが不敵な笑みを浮かべた瞬間・・・
「ウウゥゥゥ、グガァアァアァ!!」
「何!?この作者が適当に書いた悲鳴は!?」
気になって少し近づいてみる二人。
すると・・・
「ターゲット確認!これより、戦闘エリアに入る!」
「ミゲ○!?」
「えっ!?あの西○貴教さんが声優の!?」
パクリながら妖怪と対峙するクルス。
魔力は無いに等しい今のクルスは、身体能力のみでたたかっているのだが・・・
「ギャォォォオウゥゥ!!!」
「フン!いくら図体がでかろうがぁ!」
全長が三倍近くあるであろう相手に、クルスは平然と立ち向かっている。
「そぉーら、堕ちろぉ〜っ!!」
「またミゲ○だ!!」
「好きなの!?西○貴教さんキャラ!?」
実際すきなのは作者です。
「ウガァァァァァァァッ!!!」
クルスに勝てないと察したのか、周りの建物を破壊しようとする妖怪。
「チッ!手当たり次第かよ!この野郎生意気なぁ!!」
「あぁ〜っ、今度はハ○ネだぁ〜っ!」
「やっぱり西○貴教さんつながりだ〜!」
もはやパクリを楽しんでいる二人。
そんな二人を察しているのだろうか。
クルスもパクリを続ける。
「なら、僕は・・・君を討つ!!」
「キ○だぁ〜っ!!」
「くっ、退かぬというのなら・・・!!」
「アス○ン〜〜っ!!」
「こんなとこで・・・こんなとこでオレはぁっ!」
「シ○!」
「さぁ、見せてみろ力を!」
「ステ○ング!?」
「お前〜っ!!」
「わかりづらいけど・・・ス○ラ?」
「チッ、ヒーローは柄じゃないってのに!」
「○ゥさん!!」
「レパートリーには問題ないようですね」
「直ちに戦闘を中止しろ!でないと・・・お前の魂、狩る!!」
「あれ?種じゃないんでは?」
「あれは、ソ○ルイー○ーのマ○かも・・・」
そんなこんなでパクリを続けること約2分。
「ガ・・・ガルルルゥゥゥ・・・」
「終わり!」
殺された妖怪は消えるため、最期は死神の鎌で葬られるのが普通だ。
なのでようやく鎌を出したクルスは、妖怪にとどめ。
「うっし、任務完了!」
「クルス!!」
「マスター!!」
走り寄ってきたロキは、ためらい無くクルスに飛びつく。
「うおぅ!?どうしたロキ?」
「・・・ぅぅ。ごめんなさい・・・」
「あぁ!?」
「ごめんなさい!!」
「あがぐげぇっ!?」
力いっぱい抱きしめられ過ぎたせいで、クルスの腰が御臨終なさった。
「あ、ご、ごめんなさい・・・」
「ったく、しゃーねーなぁ・・・」
「もう。ロキもまだ子供ですね」
「あんたが言うな!」
夜。
クルスはというと・・・
「ロキ・・・ちょっといいか?」
「なあに?クルス・・・」
「腰・・・痛い・・・」
「・・・ごめん。湿布もって来る・・・」
うつむいて湿布を探しにいくロキ。
それを見送るクルス。
「ったく、しょげちゃって。可愛いとこあるんだな、あいつ」
「ツンデレってやつですか?」
「そうそう。最近噂の(?)」
「クルス〜、もってきたよ〜。マッサージしてあげるから寝転がって」
「お?なんかやさしいねぇロキ」
「わ、私はいつでも優しいわよ・・・」
棒読みで答えるロキをからかいつつ、素直に寝転がるクルス。
マッサージをしようと、袖をまくるロキ(何故?)
そして・・・一撃。
「どう?気持ちいい?」
「そうそう、そこそこ・・・うがっ!!」
「え?どうしたの?」
「ほ、ほひは・・・(こ、こしが・・・)」
「マスター、は行しか言えてません」
「ええ!?ご、ごめんなさいぃ〜」
後日、クルスは病院で一週間の絶対安静を申告された。
読んでくださりありがとうございます。
作者の結謳です。
今回も引き続き、メイン三人の漫才(?)でした。
次回はヒロイン二人も転入します。
そろそろ同時進行で執筆中の『夢魔との生活』のほうともリンクさせていきたいと思います。
それでは、そちらのほうもよろしくお願いします。