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⚔️伝説の剣。福引きしたら、ドラゴンスレイヤーだったらしい……。  作者: 黒武者


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第34話:名前のない英雄。伝説の落とし子

 掲示板の前でエルドが憤怒に震え、ルシアが呑気に溜息をついていた、その時だった。


「あ、あのう……」


 控えめだが、芯の通った声がルシアにかけられた。


 振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。使い古された革の軽鎧を纏い、腰には手入れの行き届いた短剣。その佇まいからして、修行中の剣士であることは一目で分かった。


「その背中の大きな剣って……もしかして、『ドラゴンキラー』ですか?」


「? あ、これ? えーと、まあ、なんかそんな感じの剣だよ。そう、たぶん」


 ルシアは曖昧に答えた。彼にとって、この緋色の剣は「ドラゴンスレイヤー」という仰々しい名で呼ばれているが、他人に自慢するような愛着はまだない。ただの重くて物騒な「福引の景品」なのだ。


「え〜、すご〜い! 本物の伝説の剣ですよね。やっぱり、近くで見るとかっこいいなぁ……」


 少女の瞳は、純粋な憧憬にキラキラと輝いている。その熱視線に、エルドが眉をひそめて割って入った。


「はて、お嬢さん。今しがた、その剣を『ドラゴンキラー』と申されたか?」


「そうです。ドラゴンキラー! 私、子供の頃におばあちゃんからその伝説を聞いて、それで憧れて剣士になったんです。まだ見習いだけど、いつかそんな剣が似合う英雄になりたいなって」


 エルドは一人佇み、深い思案に沈んだ。


(先ほどの、交換可能な『福引の理』といい、今度は『ドラゴンキラー』という名の相違……。


 この地の「理」は、我々の知る聖地グレースランドのそれと、根本的に食い違っておる。これは、ここの福引管理者と直接話をせねばならんな)


「お嬢さん。その伝説とやら、どのような内容か教えていただけますかな?」


「えーと、確か……昔、強大なドラゴンが統べる暗黒の世界で、あるパーティと勇者がその『ドラゴンキラー』と呼ばれる聖剣を手に入れ、討伐したっていうお話です。ただ、その剣は本当にあったのか無かったのか定かではないこともあって……」


「なるほど。伝説とは常に、語り継がれる過程で尾ひれがつくもの。……時間を取らせてすまなかった。礼を言う」


「はい! 頑張ってくださいね、剣士様!」


 少女はルシアの背中の剣を最後まで羨ましそうに見送りながら、人混みの中へと消えていった。


「なあエルド。ドラゴンキラーだってさ。俺が持ってるこれ(ドラゴンスレイヤー)とは、また名前が違うんだな。やっぱり偽物なんじゃないか?」


 ルシアが期待を込めて言ったが、エルドの目は笑っていなかった。


「……偽物か本物か。それを確かめる場所へ向かうとしましょう。そろそろ九時ですな」


 時計塔の下で合流した一行は、ルシアとエルドが持ち帰った「情報のズレ」に沸き立った。


「ドラゴンキラー? 興味深いわね。ベルシュタイン家の記録には、ドラゴンスレイヤーの別名としての記述はなかったけれど……」


 リフルが指を顎に当てて考え込む。ロゼリアもまた、騎士としての直感からか、剣の柄に手を置いて険しい顔をしていた。


「まあ、そのあたりの『管理』がどうなってるか、役場に行ってハッキリさせてみては?」


 ストーリアの案内で、一行はメルディナ中央役場の重厚な扉を叩いた。


 そこには、グレースランドの聖職者とは程遠い、事務的で、どこか世俗的な空気を纏った「福引責任者」の男が座っていた。


「……ほう、グレースランドの司祭殿が、わざわざこんな辺境の福引について抗議に来られたと?」


 責任者の男は、エルドの剣幕にも動じず、面倒そうに書類をめくった。


 エルドと、この地の理を司る男。二人の「福引の理」を巡る、最初の対峙が始まろうとしていた。


なななんと。


明日も9時くらいです!

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