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⚔️伝説の剣。福引きしたら、ドラゴンスレイヤーだったらしい……。  作者: 黒武者


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3/9

第3話:静寂の破綻と選ばれし者

福引きが世界を回す!

続きです!

深夜の教会は、冷徹なまでの静寂に包まれていた。


 この国の法を司り、規律を重んじる司祭エルド・アッシュマンは、燭台の火に照らされながら、古びた典礼書をめくっていた。


 彼にとって、この町で行われる「抽出の儀」は、単なる行事ではない。世界の理を滞りなく回すための、神聖な義務である。

「……チリン、チリン……」

 遠くで鳴るベルの音を聞きながら、彼はふと手を止めた。

ビショップ・エルドは、書類にサインをしていた。

福引に関する報告書。


紛失。破損。

そして、特賞未発生の定期確認。

形式だけの業務。そう思われている。


だが、彼は違った。

この職に就いたとき、

最初に渡されたのは祝福の書ではない。

封印記録だった。


「エルド様! エルド様ッ!!」

「……何だ、夜更けに騒々しい。法に背く不敬だぞ」


扉の向こうで、声が震えている。

「申し訳ございません! ですが……出たのです! 今、道具屋グドーの福引所にて……『特賞』が!」


一瞬、部屋の空気が沈んだ。

エルドの手から、羽根ペンが音もなく床に落ちた。

エルドは目を伏せた。


あの穴。

いつからあるのか、誰も知らない。


掘られたのではなく、

“残った”としか言いようのないもの。

王は、関わらなかった。


冒険者ギルドも、

縁起物として扱うだけで深追いしなかった。


だから、神殿が引き受けた。

運を信仰するのではなく、

運を制御するために。


棚から帳簿を一冊取り出す。

ページをめくる音が、やけに大きい。


特賞。

伝説の剣。

理論上、出ない。


出てしまった時は――


エルドは扉を開け、使者を中へ通す。


「……当選者は」

「一般市民です。冒険者登録もありません」


エルドは、帳簿を閉じた。

誰かを責める理由はない。

これは、制度が選んだ結果だ。


彼は椅子から立ち上がらず、

外套にも手を伸ばさなかった。

ただ、ゆっくりと息を吐いた。


「……わかった」


覚悟を決めた重い声だった。

神に祈るためではない。

奇跡を祝うためでもない。

あるがままに、あるがままを受け止めるために。


「私が行く」


それは命令ではなく、責任を引き受ける言葉だった。

彼はゆっくりと立ち上がり、ステンドグラスの向こう、騒がしくなり始めた夜の街を見つめる。


「……ついに出たか。停滞していた運命の歯車が、ようやく動き出したというわけか」


 エルドの瞳に、使命感という名の鋭い光が宿る。


「すぐさま布告せよ。明日、伝説の剣の引き渡しを行う。選ばれし者と共に、我ら討伐隊は封印されし『竜の住処』


――かのダンジョンへと赴く!」

次の更新は21時です!

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