第6話
その日も、放課後は自然に四人で集まっていた。
特に約束したわけじゃないのに、気づいたら同じ方向に歩いている。
最近は、それが当たり前になってきていた。
「瑞姫ちゃん、今日どーする?」
垣端くんが、下駄箱を出たところで聞いてくる。
「んー……特に決めてない」
「じゃ、スーパー寄ろ。お菓子買いたい」
理由が小学生みたいだ。
「それだけ?」
佳苗が少し呆れた声を出す。
「それだけ」
即答だった。
詩友くんは、少し後ろを歩きながら、特に口を出さない。
でも、断る気もなさそうで、そのままついてくる。
駅前のスーパーは、放課後の高校生で少し混んでいた。
「うわ、人多」
「時間帯だね」
佳苗と並びながら、私はカゴを取る。
垣端くんはお菓子コーナーに直行。
詩友くんは、なぜか飲み物の棚の前で立ち止まっていた。
「詩友くん、何飲むの?」
「……いつもの」
そう言って、スポーツドリンクを取る。
変わらない選択に、少しだけ安心する。
レジを済ませて、外に出ると、夕方の空が少しオレンジがかっていた。
「このあとどうする?」
私が聞くと、
「ファミレス」
垣端くんが即答した。
「さっきお菓子買った意味」
「デザートは別腹」
よくわからない理屈だった。
結局、またファミレスに入る。
同じ席。
同じドリンクバー。
でも、不思議と飽きない。
佳苗と垣端くんが、次のテストの話で盛り上がっている横で、私は詩友くんと並んで座っていた。
「……生徒会、忙しいか」
詩友くんが、ふと思い出したみたいに聞いてくる。
「うん。でも、前よりは慣れた」
「そっか」
それだけ。
でも、ちゃんと気にかけてくれてるのがわかる。
ドリンクを一口飲んで、私は小さく息を吐いた。
何か特別な話をしなくてもいい。
無理に盛り上げなくてもいい。
ただ一緒にいるだけで、時間が過ぎていく。
それが、こんなに楽だなんて、前は知らなかった。
帰り際、伝票をまとめながら、垣端くんが言う。
「なー、このメンツさ」
「うん?」
「しばらく固定じゃね?」
「今さら?」
佳苗が、当然みたいに返す。
私は笑って、詩友くんを見る。
詩友くんは一瞬だけ視線を上げて、
「……別に、いい」
そう言った。
その一言で、十分だった。
また明日も、きっと同じような放課後になる。
それを、少しだけ楽しみにしながら、私は家路についた。




