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届け!!〜私を救った君に捧げる、唯一無二の私の青春〜  作者: ふなつさん
初愛編

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第3話

生徒会室を出たとき、外はもう夕方だった。

 体育祭の生徒会主催種目は、大縄跳びに決定。

 クラス対抗で、回数を競う形式。

 ルールも、安全面も、役割分担も決め終えて、今日は解散。

 「おつかれさま」

 玲奈先輩のその一言で、ようやく一区切りついた気がした。

 昇降口に向かう途中、詩友くんと並んで歩く。

 「……生徒会、思ったより忙しいな」

 「まだ始まったばっかりだからね」

 そう返しながら、でも嫌な忙しさじゃないと思っていた。

 外に出ると、ちょうど賢正くんと佳苗が待っていた。

 「おー、生徒会のお二人さん」

 賢正くんが、いかにも楽しそうに手を振る。

 「お疲れ」

 佳苗はいつも通り、落ち着いた声。

 「ありがとう」

 私が言うと、賢正くんがにやっと笑った。

 「せっかくだしさ」

 「当選祝い、行かね?」

 その一言で、流れは決まった。

 ファミレス。

 四人で集まるのは、久しぶりな気がする。

 席に着いて、注文を終えると、賢正くんがグラスを持ち上げた。

 「じゃ、とりあえず」

 「詩友、副会長当選」

 「瑞姫、総務当選」

 「かんぱーい!」

 「勝手に仕切るな」

 詩友くんが言いながらも、グラスを合わせる。

 「おめでとう、瑞姫」

 佳苗が静かに言ってくれて、胸が少し温かくなった。

 「ありがとう、佳苗」

 料理が運ばれてきて、テーブルが一気に賑やかになる。

 「これうまっ」

 「賢、食べ過ぎ」

 「まだ序盤だって」

 他愛もない会話。

 部活の話、クラスの話、生徒会の話。

 詩友くんは聞き役に回ることが多いけど、時々短く突っ込む。

 それが、なんだか心地いい。

 気づけば、みんなお腹いっぱいだった。

 「……食ったな」

 賢正くんが背もたれに寄りかかる。

 「頼みすぎ」

 佳苗はそう言いながらも、満足そうだった。

 店を出ると、夜風が少し涼しい。

 空を見上げて、賢正が言う。

 「てかさ」

 「もうすぐ夏休みじゃね?」

 その言葉に、はっとする。

 確かに。

 「早いな」

 詩友くんがそう言って、少し考えるように間を置いた。

 そして。

 「……この四人でさ」

 珍しく、言葉を探すみたいな口調。

 「夏休みに、遊びに行ったりしたら楽しいだろうな」

 一瞬、静かになる。

 「……え?」

 私が声を漏らすより先に。

 「なにそれ、めっちゃいいじゃん!」

 賢正くんが即食いついた。

 「海? プール? どっちも?」

 「騒がしい」

 佳苗はそう言いながら、でも否定しない。

 「いいと思う」

 詩友くんは、少しだけ照れたように視線を逸らした。

 「……予定が合えば、だけど」

 「合わせるに決まってるでしょ」

 私は、思わずそう言っていた。

 胸の奥が、少し跳ねる。

 夏休み。

 この四人で。

 「決まりだな」

 賢正くんが満足そうに言う。

 こうして。

 体育祭編が始まって、

 同時に、夏の約束も生まれた。

 まだ先の話なのに。

 その日が来るのが、少し楽しみになっている自分がいた。


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