番外編
自分の部屋。
ベッドに仰向けに倒れ込んで、私は天井を見つめていた。
……思い返すと。
私、ほんとに忙しい。
ちょっと優しくされたら舞い上がって、
ちょっと不安になったら落ち込んで、
勝手に勘違いして、勝手に傷ついて。
「……ばかだなぁ」
小さくつぶやいて、枕に顔を埋める。
玲奈先輩に突っかかったときの自分とか、
噂を聞いて一人で絶望してた自分とか。
思い出すだけで、恥ずかしい。
ベッドの上でごろごろ転がりながら、足をばたばたさせる。
「もう……ほんと、なにやってんの私……」
でも。
その中に、ふっと浮かんでくる場面がある。
――緊張してるだろ。
――樋口は、ちゃんと準備してきた。
詩友くんの、あの不器用な声。
それから。
コンビニのアイスケースの前で、
「奢る」って、当たり前みたいに言った横顔。
思い出した瞬間。
「……っ」
私は、布団をぎゅっと掴んだ。
顔が、熱い。
心臓が、うるさい。
「……ご褒美って……」
そういうこと、さらっとやるから。
期待しないようにしてたのに、
やっぱり、してしまうじゃん。
ベッドの上で、横向きになって、膝を抱える。
不安になる日も多い。
考えすぎてしまうことも、きっとまたある。
でも。
あの日、あの帰り道は、確かに嬉しかった。
それだけは、間違いじゃない。
「……明日」
小さく呟いて、目を閉じる。
結果発表。
どうなるかは、まだ分からない。
それでも今は。
少しだけ、いい夢を見られそうな気がしていた。




