2/4
Scene 2:休憩スペース
「課長、あの、水城さんって、最近ちょっとドライですよね……前はもっと話してたのに」
「うん?土井くんか。そうだな、前までは頼めば夜でも付き合ってくれたんだけどな。最近は“時間外は対応しません”ってはっきり言う」
土井は眉を寄せる。
「それって……やる気がないってことですよね?」
課長は少し目を伏せた。
「どうだろうな。たぶん、“やる気を削られた”んじゃないか」
コーヒーメーカーの音が、遠くでボコボコ鳴る。
土井はマグカップを握りながら、机の向こうで笑う水城を思い出す。
「俺たちは昔、“仕事がすべて”みたいに思ってた。でも今の子たちは、たぶん、“仕事は生活の一部”なんだ」
「……“静かなる退職”ってやつですか?」
「よく知ってるな」
「SNSで見ました。“辞めないけど、心を出さない働き方”って。なんか、格好いいような、寂しいような……」
土井は自分の心の中で、少し寂しさを感じた。




