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私を試す婚約者様 捨ててあげましょうか?(連載版))  作者: おかき


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2/4

ざまぁ開始

昨日は楽しかったなぁ〜。

朝の支度をしながら昨日、トニーと街で遊び回った事を思い出していた。


そこに急ぐようにノックがなる。

(来たわね。)  

扉を開けるとトニーがいた。


「お嬢様!王宮から急ぎ登城せよとの封書が!!」焦るトニーに

「あら!早いわね!予定通り王宮に行くわ。トニーも行くわよ。」


固まる執事を引き摺り玄関へ向かう。

王宮からの馬車がいた。

両親もどきもいる。

「キャロル!いったい何をやらかしたのだ!!」

怒る父に

「あら?やらかしたのは私じゃなく、あなた方が大切に育て上げたお義姉様でしてよ?」

言い返すと、父もどきは口をパクパク金魚さん。

心の中で馬鹿にしながら馬車に乗り込んだ。

トニーは緊張しながらも、私に付いて来てくれた。




王宮に着いた。騎士に案内された先は謁見の間。

(ふ〜ん下手に出てきたわね。他にも高位貴族がいるのかな?

最後は大恥をかくのだから、呼ばない方が良かったのにね〜。)

キャロルは楽しみながら扉が開くその先にいる陛下に視線をやった。


王座の前にてカーテシーをする。

王座の1段下に元凶である、第3王子ライナスと婚約者のメリッサ公爵令嬢がいた。

観客は高位貴族。やっぱりね〜。

圧力かければ、何とかなるとでも?

アホらしい。

顔に出さないが馬鹿にする。


「昨夜、隣国より急ぎの手紙を受け取った。内容は伏せるが、キャロル嬢についてであった。これをどう思うのだ?」


陛下が私に物凄い圧をかけてきた。

魔力で。

陛下はたかが伯爵家の娘と思っている。

王家が、陛下自身が出ればやり込めると勘違いしている。


「どう思うか。ですか?今までの全てが不愉快?でしょうか。」


周りが怒りの声をだす。

不敬だ!何様だ!と。


「私は学園でライナス殿下とメリッサ嬢に、散々嫌がらせを受けていますわ。

暴言、暴力。全てを我慢しましたわ。」


証拠はこれです。

と、右腕を出した。そこには魔力攻撃を受けた跡がある。

ライナス殿下が言い訳しようとしたが


「魔力の痕跡を調べて頂いても?誰の魔力かはっきりしますわ。」

そう提案する。

そこまでするキャロルが、嘘をつく理由が無いのだ。周りは思案する。


「魔力跡を調べてはっきりさせましょう。陛下。」

そう宰相が指示し、魔法師団長を呼びに行かせた。

団長は直ぐに来て即座に私の腕に解析魔法を掛ける


キャロルの腕から魔力が出て来た。

家紋が魔力で作られ2つ浮かび上がる。

魔力は放った本人に戻っていった。


犯人確定。


ライナス殿下だけでなく、メリッサ嬢までも攻撃した事実。

周りは信じられない目で2人を見た。

ライナス殿下とメリッサ嬢はへたり込み「違う。違う」何かを言っている。


ライナス殿下が立ち上がり

「お前が先に私達に不敬な事をしたからだ!!攻撃される様な事を先にした、お前が悪いのではないかっ!!」


喚く殿下に私は白けた目を向けた。

「不敬とは?」

問いかけるが、殿下はダンマリ。

メリッサ嬢は顔面蒼白で私を見ている。

視線で助けを求めてきた。

メリッサ嬢に対して無視を決め込む。


「殿下やメリッサ嬢にした不敬とは何ですか?殿下。お答え下さい。」

宰相が問うも殿下は答えない。

答えられない。

そもそも不敬などしていないのだから。


「殿下達にした不敬ですか?覚えはありましてよ?」

全員がキャロルを見る。


「圧倒的な点数で試験で首位を取りましたしね!私が。」

「試験でも魔法でも剣術でも、全て私が上です。それが不敬だ!!と、攻撃しましたね。」

「メリッサ嬢はただ容姿に負けたから、嫉妬でしょうね。」


キャロルは陛下を見る。

「私は隣国の王位継承権を所持します。順位は一桁。

この意味を陛下は理解しておられますか?」


陛下が勢いよく立ち上がり、ワナワナ震える。

怒りではない。恐怖にだ。

横にいる王妃も宰相も顔色を悪くする。

理解している周り数名も同様に。

理解出来ない者は戸惑う。


隣国はこの大陸で最大の国土と武力を持つ大帝国の事。

しかも、王位継承権を持つ一桁の者は王族と位置付けられる。

他国に居てもだ。

大帝国の王族に魔力攻撃をし、怪我を負わせた。

しかも、社交界では散々キャロルを虐げていたのだ。

戦争やむ無しとまでなるのだ。


何も返せない陛下に

「理解出来ましたか?この国が私に何をしてきたか、その結末がどうなるのかを。」


陛下は膝から崩れ落ちた。


ライナス殿下も教育は受けているのだ。理解出来るであろう。


「陛下。私は戦争をしたい訳でも、誰かを処罰したい訳でもないのです。

祖母が身分を公表するのを嫌がり、知らない方も多かったのも理解はしています。」

ですが。

「気に入らないからと、虐げ嘲笑う。尚且つ、他者を魔力で攻撃して良い理由にはなりませんわ!」

「私はただ、自分の立場をきちんと得たかった。ただそれだけですので。」


「後はそちらで対処して下さい。処罰も戦争も無しですから。」


カーテシーをし、退室した。


謁見の間を出て、これまたビックリの人物がいた。

カールが心配そうに立っていた。

王宮に呼び出された。そう聞いて急いで来たらしい。

案外良い奴だった。


私はカールを朝食を食べに行くあの店に連れて行った。王宮で固まるトニーを引き連れて。

キャロルと美里の話をした。

今は私は美里なのだと。キャロルの記憶はある事を。

カールは私を見つめ


「キャロルにはとうに見捨てられていたのですね。

やりは方は間違っていましたが⋯⋯キャロルに好意を持っていました。」

落ち込むカールに

「キャロルも貴方に好意を持っていましたよ。義姉が来るまではね。」


虐めるのも忘れない美里に、トニーは呆れた目をむける。



「夜会でのキャロルの態度は、今まで見た事がなかった。キャロルは変わったのだと。

まさか、他の人と入れ替わっていたとは思いませんでした。」


沈黙が続く。


「キャロルが入れ替わったのなら、あちらの世界で幸せになって行けますか?」


「向こうの私の家族は物凄くお人好しなのよ。困っている人に手を貸すのは当たり前の考えなの。

もしキャロルが入れ替わりを伝えたら、必ず家族として受け入れてくれるし愛してくれるはずよ。」


ウンウンと頷く。


「それならば良かった。

私が不幸にした分、あちらの世界で幸せになれるのならば入れ替わりも悪くないのでしょうか⋯⋯。」


「ところで、私との婚約ですがそのまま継続して頂けますか?

キャロルが向こうで幸せになるなら、こちらでの美里さんを幸せになる手助けをしたいと思いまして。」

「キャロルを苦しめた贖罪でもありますし。」




美里は、う〜んと悩む。

この人から私自身は何もされてないし⋯⋯。どっちかと言うと、どうでもいい人?

「あのね。キャロルに嫌な事をした主要人物にはやり返せたの。だから、婚約とかどうでもいいのよね。

だけど、知らないで親切をポイはダメな気がするの。」


「でもね、私がキャロルとしているから、キャロルが美里としてあちらの世界で生きている。

私がそう思いたいだけかもしれないじゃない?だから、自分が納得するまで自分の考えで人生を生きたいのよ。」


「とりあえず、保留ね。ダメ男は好きじゃないから、スパダリ目指してね!」


(本人目の前にして、ダメ男って⋯⋯。

虐めてるのか、天然で本音が出るのか⋯⋯。小悪魔めっ!!)

トニーは心の中で突っ込みをいれ、


「お食事が冷めてしまいましたが、頂きましょう。」


保留にされたカールだが、キャロルへの贖罪の為に頑張ろうと決意する。



3人で食事をとり、カールと別れた。

明日はお祖母様の待つ領地に帰る。

家族もどきに、最終的な嫌がらせをする為に⋯。


領地に戻る為に自分で準備をしていると。

「お嬢様。お客様です。」

はて?約束なんてしていないが⋯⋯。トニーが伝えに来たなら大丈夫な相手だろうと、応接室に行く。


そこには、カールがいた。どうしたのか尋ねると、

「エリザベート(お祖母様)様に挨拶と謝罪を。キャロルに対する過去の自分の態度を謝罪したいのです。」


「私とキャロルは別人なのをお祖母様は受け入れてくれてるから。謝罪なんて今更じゃないかな?」


きつい言い方に仔犬のように、ションボリする。

この仔犬を置いて行けるほど薄情にはなれない⋯⋯。

仕方ないな。

頭をヨシヨシしながら了承した。


笑顔が可愛いこの仔犬。

今まで何処にいた?領地に向かうのが少しだけ楽しみになる。


領地に着いた仔犬は、深々とお祖母様に謝罪した。

言い訳もせず、自分がキャロルを追い詰めたと。


「誰か1人が悪い訳じゃないよ。全員が加害者なんだから」


慰めたつもりが、慰めになってない。

お祖母様とカールは、地にめり込む程落ち込む。


「何だか、ごめんなさい。

気を取り直して、次の計画のお話をしましょう!!」ニコニコ❀


美里の言い分は正しいだけに、落ち込むしかないお祖母様とカールだった。


謝罪が終わると、カールは王都に戻って行った。

これからは一貴族として、キャロルに顔向け出来ない事はしない。

と、お祖母様と約束していた。


カールの乗る馬車を見送ると、入れ替わりに早馬が邸に来た。

門番から王城からの使者である事を説明される。

「応接室に案内するように。」

お祖母様の言葉を使者に伝え、私とお祖母様は先に邸に入る。


応接室には使者が立ったまま待っていた。

「お座り下さい。」お祖母様の言葉で皆席に着く。

「陛下からです。」

渡された封書には、陛下の封蝋印が押してあった。

お祖母様が中の書類に目を通す。

その中の一通を私に渡して来た。


ライナス王子とメリッサ公爵令嬢の処罰の内容だった。

1年間、王都の修道院にて清掃作業と雑用をする事。

身分は一切考慮せず、処罰される理由も公表する。と⋯⋯。

美里の心境としては、1年間なんて短い気もするが。

この世界でのこの処罰はとても重い。

高位である程プライドをへし折られるから。


お祖母様に視線を向け、了承した。


(キャロルは納得するかな。

貴族として生きてきたキャロルなら、納得するのかな⋯⋯。)


美里は不安を隠しながら、応接室の窓からあの日の草原を思い出していた。


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