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episode6 エレナvsセレフィナ

 「これより!課外授業を始める!」


エリオスがいなくなったあとの学院では、課外授業が行われていた。


課外授業では実践訓練やダンジョン攻略など、さまざまな活動をしている。


今回は実践式で戦闘訓練を行うようだ。


生徒それぞれ森のランダムな位置にワープされ、時間内まで生き残れたら単位獲得となる。


時間まで隠れてもいいし、戦って相手をおとすのもよし、

ルールは森さえ出なければなんでも良い。


 課外授業が始まり、森の中の適当なところにワープされた。


私は特に戦ったりはしない。適当に木に登ってそこで時間を潰す。


「…いつもならエリオス君と組むんだけどなぁ…」


エリオス君は剣術魔術の才がないという理由で、みんなから狙われやすい。

そのためいつも私が守っていた。それでエリオス君も単位を取得できていた。

それでもエリオス君は単位不足に退学になってしまった…。もっと私にできることがあったら…。


 課外授業ほったらかしで考え事をしていると、突然前から剣が飛んできた。


「おっと!」


反射的に剣を取り出して弾き返すと、剣は意識を持ったように地面に降りていった。

その先を見ると誰かが剣を手に取り、私の方を見た。


「エレナさん、あなたと一戦申し込みます!」

「セレフィナ様⁉︎」


セレフィナ・オルフォース。赤髪と赤い瞳が特徴的な人だ。オルフォース家という貴族のお嬢様で、その身なりから上品さがわかる。


セレフィナ様は炎魔術の使い手で、魔術だけでも学年トップを争うほど強い。

私のような平民と、貴族が同じ教室にいるわけないので普段は別の教室にいるが、実力もありときどき戦ったりする。


「セレフィナ様、望むところです!」


普段戦う気はないが、セレフィナ様は違う。


セレフィナ様と戦う時は毎回違う行動するし、自分を高めるのにちょうどいい。


それにいつもセレフィナ様と戦うと互角で決着がつかないことが多く、勝ちたいという欲が闘心を引き立てた。


 鞘から剣を抜いて、剣に氷魔法をまとわせた。


「今日は負けませんよ!エレナさん!」


セレフィナ様も同様に剣から炎魔法をまとわせて、私に斬りかかってきた。


氷剣で受け止めると、あたり一帯に炎と氷が散らばった。


炎と氷の相性でいえば炎の方が強いが、魔力量は私の方が多いためちょうど良くなる。


「【炎弾(ファイヤーボール)】!」

「っ!【氷弾(アイスボール)】!」


セレフィナ様は一瞬で炎弾(ファイヤーボール)を作り出し放ってきたが、負け時と氷弾(アイスボール)をすぐ放ち、お互いの魔法を相殺した。


その隙をみて、すぐセレフィナ様の後方に動き、次の魔法の準備をした。セレフィナも同様に距離を取るが、その瞳は喜びに満ちていた。


「エレナさん!やっぱりあなたとの戦闘は楽しいです!」 

「私もです!でも手加減する気はありませんよ!」

「わたくしも手加減いたしません!」


セレフィナ様はそう言うと右手を前に掲げ、大きな炎の魔法陣を地面に描き始めた。


熱気がエレナたちを巻き込み、周囲を巻き込んだ。


「紅蓮の炎よ、大地を熱で炙り、炎で包み込め!【灼熱地獄(インフェルノ)】‼︎」


セルフィナが大魔術を唱えると、肌が燃えるようにとてつもない熱が襲ってきた。


「ぐっ…!【|絶対零度《アブソリュート・ゼロ】‼︎」


急いで上級魔法を唱えて周りを極寒のフィールドを作り出したが、一瞬で溶けてしまった。


「そろそろ認めてください!わたくしの勝ちだと!」


セルフィナがそう宣言すると大魔術が爆発し、魔法陣内で火柱が空まで突き抜けるように登っていった。


「はぁ…はぁ…エレナさん、楽しかったですわ。」


流石に大魔術を使ったセルフィナは、疲れが溜まったようで息切れをしていた。


でもライバルであるエレナを倒したことができた…!


これでエレナを超えることができた…


達成感で心の底から喜びを噛み締めていた。


 その時だった、さっきの魔法陣から強力な気配を感じた。


「(そ、そんなまさか…あの大魔術を受けて生きているはずがない…!)」


あの灼熱地獄(インフェルノ)は常人なら死んでもおかしくはない。


それをエレナが受け止める術があるわけ…!


 しかし、セレフィナの悪い予感は当たった。


気配がする方を見るとクリスタルのような形した氷の物質があり、徐々にひび割れてきた。


そしてそのクリスタルが崩れると、中から異様な空気を漂わせる者が現れた。


その者の髪は銀色の風となり、静かに揺れていた。


瞳は恐ろしいほどに白く、人間らしさが一片も感じなかった。


そして何より見る者を圧倒するほど巨大な氷の大剣が握られていた。振れば振るほど周りが凍てつき、圧倒的な存在感を示していた。


「え、エレナ…さん?」


思わず声をかけると、エレナは冷たい目でこう言った。


「"人間の限界はそのようなものか。"」

「え?」



 …気がつけばセレフィナは森の外に投げ出されていた。


エレナと戦いに敗れたのだ。


あのエレナは人間ではなかった。もはや神をも想像させる力があった。


いったいエレナにはどれほどの力が眠っているのか…。



一方その頃…


 エレナの姿は元に戻っていて、一時意識を失っていた。

そして起き上がると自分の周りの木が黒く焦げていて、地面は氷を張ってた。


周りの惨状を見てエレナは頭を抱えた。


「あぁー…また魔力暴走させちゃった…。」

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