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魔剣学院の落ちこぼれ ~神の加護を秘めし僕は、学院から世界を無双します~  作者: 蒼月ケン
第2章 魔剣学院再入学編

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episode55 迫り来る魔の手

申し訳ございません!!

相当遅くなりましたが一旦投稿再開します!

episode55 迫り来る魔の手

 「エリオス、怪我の調子はどうだ?」


目覚めてから翌日、早朝にブラッド先生が訪ねてきた。


いまだに慣れないな…退学前は僕のことを空気のように扱っていた先生が、今では鳥のさえずりさえ聞こえない朝から来てくれるのだから。


「はい、昨日よりは痛みも引いてきました。」

「そうか、良い兆しだな。」


 ほんのり微笑むと、ブラッド先生は真剣な顔をしてベッドの近くの椅子に腰をかけた。


 僕はずっと気になっていたことをブラッド先生に聞いてみることにした。


「先生、どうしてリオンくんがヴァイルに汚染していることを、フェリル先生は知っていたんですか?」


話を聞いたブラッド先生は、顎に手を添えて答えた。


「確か…フェリルが()()()()知っていたみたいでな。すぐレミリアに汚染のことを話したらしい。」

「たまたま…今度会ったら聞こう…。」


そう思うと、ブラッド先生は首を振った。


「今フェリルは停職処分が下されている。生徒2名がフェリルの研究に巻き込んでこの有様だからな。」

「あぁ…、あれ偶然じゃなくてフェリル先生がわざと送ったんですね…。」


あの先生ならやりかねない…生徒に容赦なく鉄槌を下したり、研究に巻き込んだりするからな…。


 「さて、本題に入ろう。リオン殿がヴァイルの汚染にやられているということは…。」

「…はい。ヴァイルに汚染された魔獣が、ダンジョンの奥地にいました。」

「やはりか…。」


ブラッド先生は片手で頭を抑えて深くため息をついた。


僕も分かってはいるが、徐々に大災害の時が迫っていると思うと、少しも心が休まらなかった。


「それでは、エリオスとリオン殿が討伐したのか?」

「ええ、ほぼ相打ちですが…。」

「詳しく話せ。無理のない範囲でな。」


 僕はダンジョン奥地で起きた一連の流れを一部始終話した。

奥地では汚染されかけていたコボルトがいたこと。

魔力の流れが乱れて禍々しかったこと。

リオンくんのような加護を持たないものは体調に異常をきたすこと。

汚染魔獣に僕とリオンくんで本気で戦いあったことを…。


 全てを話し終えると、ブラッドは難しそうなことをして口を開いた。


「…話が分からんな。神の加護を持つお前が、なぜ対応しきれなかったのだ?」

「うっ…。」


いくら対応が変わったと言えど、厳しい教師ということに変わりはない。ブラッド先生の鋭い眼光が刺さって、言葉が詰まる。


 何故対応しきれなかった。

リオンくんを守るのに必死だったから…?いや、それだとリオンくんが足を引っ張ってるという言い方になる。


じゃあ魔獣が強かったから…?…これでは僕が弱いみたいだな…。


「…弱いから…。僕はリオンを守りきれず、自分の魔力を管理しきれないまま、ギリギリで倒すのが精一杯で…っ!」


 自分の無力さ、力が及ばない悔しさで涙が溢れた。


「…エリオス、私は責めてるわけではない。生きてきただけでも十分だ。だが、分かるだろう…これから何が待っているか…。」


ブラッド先生の言葉にハッと気づいた。


今回はヴァイル汚染魔獣はあくまでヴァイルではない。

ヴァイル汚染魔獣はヴァイルの汚染によりヴァイルの力をほんの一部受け継いだもの。


本当の敵は、これの何十倍。いや、何百倍のほどの強さを持つ。


こんなところで弱さに悲観するより、戦いに集中しなければならない。


 腕で涙を拭うと、ブラッド先生に体を向けて決意した。


「ブラッド先生…僕を鍛えてください…僕を強くしてください!!」


 その声は、弱さを吐き出した直後だからこそ、揺るぎのない決意として響いた。


ベッドの上で必死に頭を下げる僕を、ブラッド先生はしばし黙って見つめていた。


「……やっと、いい顔をするようになったな。」


低い声でそう呟くと、先生は腕を組み、ゆっくりと立ち上がった。


「だが指導はしない。」

「!!…な、なんで…?」


予想外の答えに唖然とした。1ヶ月も経たないうちに大災害が来るというのに…!!


「私が指導するより、他に良い人材を紹介しよう。」

「え…!?」


さらに予想外の答えに圧倒した。


「よ、良い人材って…?」

「それはまだ言えない。だが今日上層部と話をまとめ次第、明日またここに来よう。」


ブラッド先生は一体何を考えているんだ…?


「僕は今すぐにでも強くならなきゃいけないんです! 先生にしか頼れないと思って…!」


必死に言葉を絞り出したが、ブラッド先生は微動だにせず、その鋭い眼光で僕を射抜いた。


「落ち着け、エリオス。焦るな。強くなるのに最も必要なのは、己の弱さを知り、己に合った師を得ることだ。」

「己に…合った師…?」

「そうだ。お前の力は規格外だ。神の加護を持ちながら、それに振り回されかけている。私が導くより、お前を正しく扱える者がいる。」


 ブラッド先生は窓の外に視線を向けた。

気がつけば日は登りきっていて、少しずつ鳥のさえずりが聞こえてきた。


「大災害まで一月を切った。私たち教師も全力で備えねばならん。…だからこそ、お前を任せられる人物に預ける。」


胸がざわつく。誰なんだ…? 僕を導ける人材って…。


「それは…どんな人なんですか?」

「詳しくは言えん。だが、その者はお前にとって試練となる。受け入れる覚悟を持て。」


 そう言い残して、ブラッド先生は静かに立ち去っていった。


 残されたのは、胸に渦巻く不安と期待。

誰なんだろう。どんな人なんだろう。


でも、僕は決めたんだ。もう逃げない。


「試練でも、何でも来い…。僕は……強くなる。」


そう呟いたとき、日の光が僕を照らしていた。

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