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魔剣学院の落ちこぼれ ~神の加護を秘めし僕は、学院から世界を無双します~  作者: 蒼月ケン
第2章 魔剣学院再入学編

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episode54 エリオスは何処へ

 エリオスは治療に専念している間、エレナたちは学院備え付きの大浴場でリラックスすることにした。


エリオスの意識が戻るまでは強張った体を解くことはできなかった。


もしエリオスが目覚めなかったら…そんな想像をするだけでも胸が痛い。


 普段はある程度人がいて、少し居心地が悪かったが、幸いにも今日は誰1人いなかった。


まあ、隣にはキアラルさんがいるけどね。知り合いなら全然いいや。


 体をお湯で洗い流し、石鹸で体を洗っていると、

キアラルの腹部に、深い切り傷があるのを見つけた。

でも傷の感じだと切られてから相当時間が経っているのだろう。血なんかは出る気配もなく、肌に溝ができていた。


「キアラルさん、その傷…。」


その言葉を聞いてキアラルは「何のこと?」と気づいていなかったが、すぐに腹部の傷のことを言ってると把握した。


「あぁ、これ?小さい頃に魔物に襲われちゃって…田舎だから病院にいけなかったし、包帯で巻くことしか出来なかったなー。」


キアラルは悲しそうな顔をせず、笑いながらお腹を撫でた。


「そんな…軽く言うの?」

「まあ過去のことだしねー、傷は残るけどもう治ってるし!」

「はぁ…あなたもエリオスくんに似てるわね。」


キアラルは「え?どういうこと?」と首を傾げていた。


エリオスくんもキアラルさんも、自分が傷ついても相手を優先する。自分のことなんて後回し。それだけエリオスくんが優しいのは分かってる。


けれど…それは私にとっては気に食わない。エリオスがいなくなったら、ここにいる意味がなくなる。


実際エリオスくんが退学したあとの1週間は、虚無の日々を送っていた。やりがいもなく、やりたいこともなく、ただ無意味な時間を過ごしていた。


 気が付けば、エリオスくんに依存してるなぁ…私。

迷惑に思っていないだろうか。でも離れることなんて出来ない。


 私がそんなことを考えていると、キアラルさんがこちらをじっと見ていた。


「ねぇ、エレナ。もしかして……エリオスのこと、特別に思ってる?」


 その問いかけに心臓が跳ねた。思わず石鹸を落として。手を滑らせながら手に取った。

「あ、当たり前でしょ…。幼馴染だし…。」

「ふーん? それにしては、ちょっと目が必死すぎるんじゃない?」

「っ……!」


 図星を突かれ、言葉が詰まる。視線を逸らした私の横顔を見ながら、キアラルさんは小さく笑った。


「元々分かってるよ。エリオスと幼馴染かぁ~。いいなぁ~。」

「…軽く言わないでよ。エリオスは、ほんとに鈍感なんだから…。」


エリオスくんがいなくなったら生きていけない。そう言ったのにエリオスくんから答えは聞けなかった。

気付いてないんだろうな。私の気持ちに。


 体に着いた泡を洗い流し、湯船につかった。

肌を包み込む蒸気。、少しだけ揺れる水面。普段は騒がしいこともあって、人の声がない浴場を耳で楽しんでいた。


 するとキアラルも入ってきた。しかも私の隣に。別に嫌ではないが、広い浴場でわざわざ私の隣なんて、面白くないだろうに。 

この静まり返った浴場に、しばし沈黙が流れる。

気まずい…。話さないならわざわざ隣に来なくてもいいだろうに。


 するとキアラルさんが口にしたのは、まるで子供のような素直な声だった。

「…じゃあ、負けないよ。私だって、本気だから。」


向けられた視線に、胸がちくりと痛む。

エリオスを巡って、改めてこの人と競うことになる。


キアラルさんとの戦闘面では、剣術さえ警戒すれば勝てるかもしれない。

ただ、キアラルの容姿にふと目線を落とすと、そこに豊穣な果実が2つ。私にはない。


 ふと自分のを見下ろすと、自分にはないふくらみが目に飛び込んで、

その奥に映っている自分の頬で火照っている自分の顔に深くため息をついた。

(エリオスくんは……大きいのと小さいの、どっちが好きなのかな…。)


エリオスくんの性格的に見た目で選ぶ人ではないのは分かる。

でもやっぱり男の子…そういうのに興味はあるんだろうな…。

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