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episode5 神の力

 「あなたは誰なんですか…?」


洞窟の奥から白いシスターのような服を着た人が金色の光をまとわせながら僕に近づいてきた。


こんなところにいること自体怪しい。でも警戒はするが悪い人とは思わない。


僕の傷はあっという間に消えていて、疲労感もない。


 すると、その女性が口を開いた。


「私はカーレリア…といってわかります?」

「カ…カーレリア様⁉︎」


カーレリア様、それは四神の中の一人で、魔術の神だ。


世界の常識で4人の神の名前くらい知っている。


あれ…?でもカーレリア様は老人のお爺さんじゃ…?


そう思いながらカーレリア様を見ると察したようで。


「あなたが考えているカーレリアは、間違いです。」

「そうなんですか?」

「ええ、人間は長い年月で情報が廃れていくもの。今では名前しか正しい情報ないんです。」


カーレリア様は困った表情をしながらため息を吐いた。


「え?じゃあカーレリア様は五大魔術を作り出した、というのは?」

「それも違います。正しくは百大魔術です。」

「ひゃ、百!?」


そんな多いん!?と驚愕しているとすぐカーレリア様は話し始めた。


「ええ、けれど人間が使えた魔術がたったの5つで、人間が勝手な解釈で、私が5つしか作ってないということになったんですよ〜。」

「そ、それは災難で…」

「でしょ〜。」


なんか…神様ってもっと偉い風かなって思ってたけど、結構話しやすいな…。


 カーレリア様は何か思い出したように、本題に入った。


「そうそう、あなたの戦い見事でした。自身の身を捨ててまでモンスターに立ち向かい、死をも恐れず傷を顧みず、私感動しました。」

「は、はぁ…そりゃどうも…。」


そしてカーレリア様は顔を輝かせてこう言った。


「あなたの戦いを讃えて、神のご加護を差し上げます!」

「…ええ!?」


神のご加護、それは誰もが憧れる力で、それを得た者は必ず英雄になれるという。


「ぼ、僕にいいんですか!もっと強い人とか…。」

「元々強い人に加護与えても効果は薄いし、加護与える人を見極めないと悪用する者も出るわ、それに…、」

「それに…?」


何か大事なこと言うのではと構えた。


「ノルマがもうすぐ終わっちゃうから!」

「…え?」


どういうこと?と首を傾げると教えてくれた。


「神のご加護は100年に1度という決まりがあるの、私サボってたらもうすぐ100年経ちそうで困ってたの!」

「えぇ…。」


そんな適当な理由と思いつつも、ご加護もらえるなら理由は何でもいっかとなった。


 洞窟の奥深くで、カーレリア様の神聖な光であたりが照らされ、僕はじっとその場に立っていた。


「さぁ、準備はいいですか?」


カーレリア様の光がより一層強くなった。


「はい…!お願いします!」


カーレリア様の手からまばゆい光が生き物のように僕の体を包み込み、体の中が熱くなった。


しばらくすると光が消えて、僕の中の力強さや清々しさが残った。


「これで加護は受け取ることができました!早速塞がった出口を壊してみてください!」

「えぇと…?こうですか?」


試しに手を出して、岩よ壊れろ!と念じてみた。


体の中に新たに宿った力が熱を帯び、手のひらから突き抜けていく感覚があった。


その瞬間、カーレリア様の光に触れたような眩しい輝きが手の先から放たれた。


 すると、目の前にあった岩が一瞬で砕け散り、轟音と共に洞窟に陽の光が入ってきた。

どうやら既に夜は明けていたようだ。


「すごい…本当に壊れた…!」


夢みたいだ、心臓が激しく鼓動しかすかに手が震えていた。


「よくやりました!」


陽の光がカーレリア様を照らしてより神々しさが増した。


「ありがとうございます…カーレリア様…!」

「どういたしまして、しかし加護に頼り切っては力になりません。これからはあなた自身の力で道を切り開いてください。」


 僕は彼女の言葉に力を得て、まっすぐに出口の方へと足を踏み出した。


洞窟の外には、広がる青空と無限の冒険が待っていることを、僕は確信していた。


洞窟を出たその先に、どんな試練が待ち受けているのかはわからない。


しかし、カーレリア様の加護を受けた今の僕には、そのすべてを乗り越えられる自信があった。


「ありがとう、カーレリア様。必ず、期待に応えてみせます!」


そう誓い、僕は大きく息を吸い込んで、これから始まる新たな旅へと歩みを進めた。







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