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魔剣学院の落ちこぼれ ~神の加護を秘めし僕は、学院から世界を無双します~  作者: 蒼月ケン
第2章 魔剣学院再入学編

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episode44 エリオスvsセレフィナ 後編

 ――僕の意識が徐々に削れていくのを感じる。


セレフィナ様は人間離れした圧倒的な剣術と炎魔術でエリオスの精神を削っていた。


防御に徹するので精一杯で隙も狙えず、隙すら無かった。


「どうしましたか!もっと攻めてください!」

「やってますよ!でも…!」


セレフィナ様は穏やかな性格とは裏腹に、この戦いを楽しむように笑いながら剣をふるっていた。


神の魔術をもってしてもこの差。そして余裕も圧倒的に差があった。


 そのとき、セレフィナ様の一撃で腕がしびれた瞬間だった。


「油断しないでください!!【灼炎斬エンシャントスラッシュ】!」

「っ!? 間に合わ…!」


 防御魔術を唱える暇もなく、剣を構えた瞬間、セレフィナ様の剣が凄まじい重量と熱を伴って振り下ろされた。


防御は間に合ったが、身体が吹き飛び、地面を何度も転がる。


「これが…学年トップクラスの実力か…!」



 ―――倒れ込んだまま、悔しさと焦燥に奥歯を噛みしめていた。


「今の一撃、よく耐えましたね。ですが…」


セレフィナ様の足音が徐々に近づいてくる。


「私、そしてエレナさんにも到底及びませんわ。」

「エレナ…それでもエレナの方が強いんですか…。」

「えぇ、エレナさんに勝ったことがありませんもの。」


大災害に備えて強くなければならないのに、学年のトップクラスにすら勝てない。


 大災害――


この世界に再び訪れるとされる“破滅”の兆し。


僕はその脅威に立ち向かえる力を得るために、ここまで来たはずだった。


それなのに……セレフィナ様、そしてエレナにも届かない。


(このままじゃ……また、何も守れない……!)


 拳を握りしめる。


地面に突っ伏したまま、全身が痛みに軋んでも――心の火は消えていなかった。


「まだです……!まだ終わってません!」


 僕は叫びながら立ち上がった。


立ち上がった姿を見たセレフィナ様は、驚きつつも嬉しそうに剣を構えた。


「ふふ…その意気です!」


エリオスは震える足を踏みしめ、再び剣を構える。


「【攻撃力上昇(アタックブースト)】【速度上昇(スピードブースト)】!」


これ以上の耐久戦は不利にしかならない。ならばここで一気に攻める!


「【竜刃・速ドラゴンブレイド・スピード】!!」


速度を出来る限り高めて、金色の残像を残しながら僕は雷鳴のような速さで地を蹴る。


セレフィナ様の剣が追いかけるよりも早く、彼女の視界に飛び込んだ。


「!! 早い…!けれどまだ見えますわ!」


彼女は微笑を崩さず剣を受け止める。


彼女の周り、四方八方に剣を振るうがそれをすべて受け止められてしまう。


いや、ここからが本命だ。


「もっと早く…!【速度上昇(スピードブースト)】!」

「!?…魔術の重ね掛け…!?」


 本来同じ魔術を2回発動しても効果は2倍にはならない。無駄に魔力を消費するだけだ。


だが、エリオスは例外で、五大魔術を複数詠唱できるエリオスなら、あり得ないことも出来てしまう。


カーレリア様の魔術。それは自由翻弄な性格が魔術に付与された、神の力で実現した、"奇跡"の魔術だ。


 エリオスはさらに速度を上げ、セレフィナ様の余裕の表情が揺らいだ。


エリオスはその瞬間を見逃さなかった。


「ここだ!この一撃に……すべてを!」

「っ…!?」


「【光神天撃ライトゴットストライク】!!」


エリオスの究極奥義。まばゆい光を森中に照らし合わせ、エリオスの神剣(ホーリーソード)が一段と輝いた。


 ――その瞬間だった。


「んぐっ!?」


心臓がドクリと跳ね、一気に力が入らなくなった。


神剣(ホーリーソード)が手元から消えて、魔力の流れを感じ取れなくなった。


「まさか……魔力切れ……っ」


剣を振り抜くことも叶わず、僕はその場に膝をついた。


 セレフィナ様はゆっくりと僕に近づき、剣を下ろした。


「……勝負あり、ですわね」




――――――――――――――――――


 「まったく……魔力の管理は基礎中の基礎ですよ。」


セレフィナ様は呆れた表情をしながらも手を差し伸べてくれた。


「でも…あのまま続いていたら私は負けていました。あの速度、私には見えなかったですよ。」

「それって…本当ですか?」

「嘘は嫌いです。信じてください。」


彼女の声は冗談のようでいて、どこまでも真実味があった。


「セレフィナ様、近いうちにまた戦ってくれませんか。もっと強くなりたいんです。」

「ふふ……では、次は勝てるように鍛えておいてくださいな。私、待っています。」


 セレフィナ様は踵を返しながら、ほんの少しだけ微笑んだ。


(……私、強い殿方は嫌いじゃありませんのよ)


 その胸に小さな火が灯ったことに、彼女自身もまだ気づいていなかった。

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