episode29 ブラッドの思い
「凄いよ!エリオス君!いつの間にあんな張り合えるようになったんだ!」
「エリオスはやっぱり頼りになるよ~。」
バルガの前に立った時、不思議と恐怖ではなく怒りが沸いてきた。
どうやって先に進むか考えてきたとき、エレナがいてくれたおかげで被害を抑えれた。
「いやぁ…でもエレナの氷魔術のおかげで逃げれてよかったよ。」
「ふん、当然でしょう!エリオス君のためなら誰でも氷漬けにしてあげるわ!」
その言葉を聞いたキアラルは、さすがにさっきの氷魔術を見たせいか、僕を盾にしてエレナから離れた。
「私だって…剣術はブラッド先生より上なんだから…。」
そうつぶやいた瞬間、後ろから低音響く声がした。
「ならもう一度証明してみるか?」
「ぴっ!?」
キアラルは驚いて尻もちをついた。
「あ、ブラッド先生、どうしたんですか?」
エレナはブラッド先生に何事もなかったかのように話しかけた。
エレナもブラッド先生のことを尊敬しているようで、
贔屓しない、実力主義者、男女平等など、前に僕にブラッド先生の尊敬している点を熱弁していた。
「キアラル、一度勝ったからと油断しないことだ。本番は魔術を活用して剣を交える機会があるからな。」
「は、はい…。」
キアラルはその言葉に反省したようで、俯きながら返事をした。
そしてブラッド先生は話をつづけた。
「エリオス、今日から再び魔剣学院の生徒になるわけだが、これは特例だ。退学者を再び学院に入れるのは貴様が初だ。次再び退学するようなことがあれば学院だけでなく、社会でも傷が入る。それを心に秘めておけ。」
「はい!」
「そしてキアラル。」
「は、はい!」
「魔力がない者を学院に入れるのは滅多にないことだ。だが貴様はそれほど剣術に才があるのを私が認めた。その剣術に自信を持ち、さらに磨きをかけろ。」
「…はい!頑張ります!」
「…では授業に遅刻しないように。」
二人に話し終えたブラッド先生は用が済んだようで、一言残して去っていった。
「…エリオス、ブラッド先生に何をして認めさせたの?」
エレナは疑い深い顔をして僕に顔を近づけた。
けどすぐに表情を戻して、キアラルの方に顔を向けた。
「あなた、剣の才能があるって?」
「え、えぇ…。」
キアラルは少し困った顔をしてエレナに警戒していた。
「…キアラルさんといったわね。私と手合わせしなさい。」




