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魔剣学院の落ちこぼれ ~神の加護を秘めし僕は、学院から世界を無双します~  作者: 蒼月ケン
第2章 魔剣学院再入学編

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27/59

episode27 三角関係

「…!エレナ…!」


ドアの向こう側には、久しぶりに会う幼馴染のエレナが立っていた。


青い髪に青い瞳、僕より少し背の低い彼女は、息を荒げながら駆け寄ってくる。

「エリオス君!!!」


僕の姿を見たエレナは、まるで太陽のように顔を輝かせた。

「はぁ…はぁ…心配…したんだよ!生きてるか不安だったよ…!」

「エレナ…。」


涙を浮かべ、僕の胸に飛び込んでくる。

「どうして帰ってこれたの…?退学になったはずじゃ…?」

「ああ~…話せば長くなるけど…、まあ色々あって再入学を認めてくれたんだ。」

「色々?」


エレナは不思議そうな顔を浮かべた。無理もない。彼女は僕の弱さを知っているから。

それに、神の加護のことはエレナに話すタイミングを見計らっていた。いきなり神の加護をもらったと言っても混乱させるだけだろうし、カーレリア様からの忠告もある。実際に使うのは本当に危機に陥ってからにするつもりなので、あまり出番はないかもしれない。


「でも帰ってきてくれてよかった…!ずっと寂しかったんだから…。」

「そんな…エレナには他に人が…。」

エレナは強いし、美人だからきっと他に素敵な人がいるだろう、という意図で僕はそう伝えた。

だが、エレナは一瞬僕を睨んできた。

「ん?何か言った?」

「いや…何でも…。」


本能が「言うな」と僕に強く抗ってきた。もし伝えたらきっと大変なことになる。そう心の底から伝わってくる。


すると、ドアからもう一人、聞き慣れた声がした。

「エリオス~!一緒に行こ…。」

金色の髪をなびかせ、片目に眼帯を付け、魔剣学院の制服に身をまとった女性が、僕たちを見て唖然としていた。


「…誰?ここは女子禁制ですけど?」

「え?あなたこそ女の子でしょ?エリオスとどういう関係?」


男子寮にエレナが入ってきた時点でアウトだったけど…。僕はその言葉を慌てて飲み込んだ。


エレナは僕を離し、キアラルと笑顔で向き合った。

エレナは笑顔…だが、その奥には別の感情が宿っているように見えた。

対照的に、キアラルはまだ状況を把握していないのか、笑顔でエレナを見ていた。


「私はエリオス君の…幼馴染よ。今は。」

「今は?」


キアラルは首をかしげた。きっと純粋な疑問だったのだろう。…あれ?僕ってエレナの幼馴染だよな?それ以外何かあったかな…。

エレナはそんなキアラルを見て口角を上げた。その笑顔は、キアラルに対してどこか余裕ができたのだろう。


「そういうあなたこそ、エリオス君とどういう関係かしら?随分と馴れ馴れしく呼び捨てにしているみたいだけど?」

「私は…エリオスに命を救ってもらったの、命の恩人よ。」

「エリオス君が?」


エレナは眉をひそめた。自虐ではあるが、エレナからしたら僕はとても弱く思われているからだ。


エレナの顔には、明確な困惑と疑念が浮かんでいた。彼女は僕を一瞥し、すぐにキアラルへと視線を戻す。

だが、エレナはキアラルの言葉を違う意味で捉えたようで、さらに話し始めた。


「確かに、エリオス君は優しいしね。でも、『強い』って言葉で片付けるのは違うでしょ?」


エレナは「強い」という言葉を、物理的な強さではなく、精神的、性格的な強さだと解釈したようだった。

その言葉を聞いたキアラルは、反発するように言葉を返した。


「エリオスは強いよ!岩の魔物を倒してくれて、村の人を救ってくれたのよ。あとは私がこの魔剣学院に入れたのも、エリオスのおかげなんだから!」

「岩の魔物…?魔剣学院に入れたのがエリオス君のおかげ…?」


エレナは疑わしげに僕を見た。

エレナの中のエリオスは、優しさはあるが、頼りになるような「強さ」はないと思っているようだった。

もちろん、退学になった後に五大魔術を習得し、強力な神の加護を得たことなど、彼女は知る由もない。


「エリオス君、どういうことなの?彼女はどこで、いつ出会ったの?」


僕を詰問するようにエレナの視線が突き刺さる。どういうことかよく分からないが、エレナは相当怒っているみたいだ。

あまり情報を広げないために神の加護を話すわけにはいかないし、五大魔術を習得したと言っても、この1週間で何をしたのかと深堀りされるだけだろう。

この場で何を言えばいいか分からず、ただごまかすことしかできなかった。


すると部屋、いや、学院全体に鈴の音が響いた。もうすぐ授業が始まるみたいだ。

それを聞いたエレナはしぶしぶ話を閉じた。


「エリオス君、行きましょう。あとで色々話聞かせてね。」

「あ!待って!場所分からないから案内して、エリオス!」


左腕にエレナ、右腕にキアラルが腕を絡めてきて、僕を引っ張るように歩き出した。

「ま、待って!さすがに離そうか…。」

「いやよ、変な虫がつかないためにね。」

「迷子になっちゃうし、エリオスといたいからね。」


僕を挟んでエレナとキアラルは無言で圧をかけ合っていた。僕の魔剣学院での再出発は、早くも波乱の予感がした。

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