episode17 山神の呪い
洞窟を出ると薄暗かった空はいつの間にか晴れていて、独特の重苦しさはなかった。
そういえばキアラルは?洞窟出てと言ったけどどこいった?
辺りを探してみると、甲高い声がエリオスに向けて聞こえてきた。
キアラル…?? え?
そこにはキアラルの容姿とは違って、まあまあ大人で、ローブが小さすぎて肩しか隠れてない女性が僕に向かって来てた。
「エリオス〜〜!!」
そのまま勢いを止めることなく僕に体をぶつけて抱きしめてブフェッ!
胸柔らか…じゃなくて!だ、誰!?
混乱しているとその女性はやっと察したようで離してくれた。
「エリオス!山神倒してくれたのね!無事でよかった〜!」
「ふぇ?はい?」
よく見ると片方目が髪で隠れていて、金色の髪がローブからはみ出ていたキアラルの髪色とよく似ていた。
…まさか!?
事の真実に気づいて呆気に取られていると、その人は嬉しそうに微笑んだ。
「気づいた?改めて私、キアラル・イアンサです!」
「えぇぇぇ!?」
どういうことだ?あのキアラルは?え?
キアラルが急に成長した現実に受け止めきれずにいると、キアラルはどういうことか話してくれた。
「私、実は山神の呪いで成長が止まってたの。」
「山神の呪い…?」
「そう、呪いを受けたのが8年前だったから…今は17歳かな?」
「ま、マジで…?キアラル…さん?」
今までキアラルのこと、ちゃん付けしてたからめっちゃ失礼なことしたと、さん付けに変えるとキアラルは首を振った。
「さん付けなんていいよ!ちゃん付けは…流石にあれだから呼び捨てでいいよ!」
「は、はい…キアラル…?」
見た目の名前がいまだに一致してなくて、まだ頭の中は混乱していた。
てか17歳だろ…僕14だから3つも年上だったのか…。
背高いし…なんか悔しい…!
キアラルの突然の変化に戸惑いつつも、少しずつ現実を受けようとしていた。だけどもまだ謎が残ってたのでそれを聞くことにした。
「山神の呪いってことは…僕が山神を倒したから?」
「きっとそう、山神様が倒されたことで呪いが解けて一気に背が伸びたと思う。」
キアラルは嬉しそうに微笑んだ。8年間もあんな姿だったんだからそりゃ辛かっただろうな…。
それにしても…あんな幼い子がこんな美人になるなんてなぁ…直視しずらいなぁ…。
「どこ見てるのー?」
「や!?どこも見てない!」
直視しずらいと思いつつこっそり見てたらバレてしまった。そりゃあんな子がなぁ…。
「ま、14歳だったら思春期真っ盛りの最中だもんねー仕方ない仕方ない!」
「な…!?」
キアラルには全てお見通しだった。僕の心の中を見透かされ、自分の中で気まずすぎて何も言い出せなかった。
「さて!とりあえず村へ行こ!」とキアラルはスキップしながら村の方面へ行こうとした。
僕は何も言わなかったが、いまだにあのキアラルが突然大人になることが、あまりに信じがたい出来事だった。
でも今考えたら、9歳にしては変に落ち着きがあったし、あの固い決意は、大人の女性だから出来たことだと察した。
…あれ?そういえばキアラルは出会った時17歳だとか、山神に呪われてるのか言わなかったんだろう。
それを村へ歩きながら尋ねると、キアラルは答えた。
きっと何か事情があると構えていると、こう答えた。
「なんか…もしエリオスが山神倒してくれてこの姿に戻れたらて思ったら、驚かしたくて!」
「すぅ…そんな理由かい!!」
年上とか関係なく溜めてツッこんだ。
「あはは!でもエリオスが倒してくれると信じた結果だよ…ありがとう、エリオス…」
そういうとキアラルは俺の頬に顔を近づけてキスをした。
「!!!///」
「あはは!顔真っ赤!」
キアラルは恥じらいもなく笑っていた。大人の女性ってこんな感じで慣れてる…?
そう思っていると口を抑えてキアラルはつぶやいた。
「…私、エリオスのこと好きになっちゃった。」