episode12 緊急試練
すみません!少し遅くなってしまいました!
「ん…?ここは…?」
気がつけば何もないところにいた。
確かキアラルを庇って僕は死んだはずだ…。
てことはここはあの世か…、せっかく加護得られたのに死んでしまったのか…。無謀すぎたな…。
そういえばキアラルは?あんなところに1人にさせたらどうしようもない!もしかしてもうここにいる?
急いで周りを見渡したが誰も姿が見えなかった。
「情けないわね…加護与えて1日で死ぬなんて。」
頭の中に聞き覚えのある声がした。
いや…中じゃない…上だ!
上を見上げるとカーレリア様が羽を生やして降りてきた。
「カーレリア様!」
「エリオス、正確にいえばあなたはまだ死んでないわ。」
「え!?じゃあここは?」
「私が作り出した時空間よ。」
時空間と聞いて何のことか全くわからなかった。
それを察したカーレリア様は説明してくれた。
「時空間は神が作り出せるこの世にあってこの世にはない空間…、まぁ生と死の狭間にあると思っていいわ。」
「要するに僕は死にかけてこの空間にいるってことですか?」
「まぁ、そういうことでいいわ。」
あまり理解はできていないが、まだ死にきってはないってことは分かった。
…いやそれよりキアラルは!?キアラルは生きてる!?
焦ってそれを聞くとカーレリア様は答えてくれた。
「落ち着きなさい、キアラルは生きてます。この空間は時間の流れを止めています。なので安心してください。」
「よかった…。」
カーレリア様の言葉にそっと胸を撫で下ろした。
しかし、僕はなぜこの空間に呼び出されたのだろう。まさか生死を確認するだけじゃないだろう。
「…カーレリア様…僕に一体何を…?」
するとカーレリア様はそっと微笑むと、ゆっくり話し始めた。
「エリオス、あなたはまだ生きなければならない。けれどまた生き返らせては同じ運命を歩むでしょう。」
確かに…今生き返ったところで山神に勝てる確率は非常に低い。それに剣は砕かれてしまった。
「もし、キアラルを助けたいと思うなら、もう一度チャンスをあげましょう。」
「もう一度…?」
「ええ、でも条件はあるわ。」
カーレリア様の声はどこか厳しく、しかし優しさに包み込まれていた。
「今からあなたの力を試します。成功すれば特別な力を手に入れて復活、失敗したら魂をこの世から引き離しましょう。」
失敗…要するに死ぬことだ…。念の為もう一個聞いてみた。
「…断ったら?」
そう聞くとカーレリア様は焦り始めた。
「断ったら?え、えぇ〜、断ったら…?うーん、死ぬ!」
あの神の威厳はどうしたんだよと突っ込みたくなったが、なんか怒り買いそうだったのでやめた。
「いいえ、断りません。受けて立ちます。キアラルをあそこに放っておくわけにはいきません。」
僕の答えを聞いたカーレリア様は満足そうに頷いた。
「そ、そうよね!その意気よ!では始めましょう!」
カーレリア様が右手を軽く振り上げると、目の前に黒い煙が集まり始めた。その煙は形が定まっていき、やがて人の形が出来た。
「今から100回戦行い、1回でも勝てたら試練はクリアよ。さぁ、やってみせて、エリオス。」
「ひゃ…100回戦!?」
あまりの試合数に驚いた。それほど強いのか…。
カーレリア様が話し終えると、僕の手元に黄色く輝く剣が光り輝いていた。実体はない、魔力で出来ているみたいだ。
すると影が僕に向かって襲いかかってきた。
心臓が早鐘のように打ち始めたが、勝たないといけない…!
「絶対に負けない…!」
覚悟を決めた僕は影に向かって一歩踏み出した。